勇馬が、夢の扉を開いた―。2020東京五輪代表選考レース・MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)は15日、東京・明治神宮外苑を発着点とする五輪本番とほぼ同じコースで開かれ、雪国・妻有が生んだマラソンのトップランナー、服部勇馬(25、トヨタ自動車、中里中出身)が東京五輪出場権をつかみ取った。服部は40`過ぎからの接戦で驚異の粘りを発揮、優勝した中村匠吾(26、富士通)に8秒差の2時間11分36秒の2位でフィニッシュした。服部選手はレース2日後の17日、妻有新聞社に電話を入れ「援馬隊の旗が見え、頑張らなければと力になった。東京五輪出場は地元の声援のお陰。十日町、津南の皆さんに応援ありがとうと伝えて下さい」と感謝を話した=関連記事2面、8面。
レースはスタート直後から設楽悠太(27、ホンダ)が飛び出し独走する展開となった。服部ら2位集団は一時、2分以上の差をつけられたが、気温がスタート時の26度から29度を超す暑さとなり、25`過ぎから設楽が失速、37`過ぎに服部と中村、日本記録保持者の大迫傑(28、ナイキ)らが逆転。39`過ぎに中村がスパートをかけて抜け出し、続いて大迫、服部が追う展開に。服部は胸に付けた、祖父母の写真を入れた妹・葉月さん(15)手作りのお守りに何度も触れると、先行する大迫を42`手前で抜き去り、2位でフィニッシュ。驚異の粘りで東京五輪代表切符を手にした。
服部選手は本紙に「代表選考レースに向け、直前の菅平合宿で40`走の翌日に麓から10`以上駆け上がる厳しいトレーニングに取り組んできた。その成果が最終盤につながった」と話し、「レースでは状況を見極めながら冷静に走ることができた。必ず2位以内に入りたいという強い気持ちを持って走った。代表権を取ることができてうれしい」と喜びを語った。
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関口芳史・十日町市長=心からお祝い申し上げます。多くの市民に感動を与え、子どもたちの夢を大きく育んでくれたものと確信しています。陸上5000bに取り組む弟の弾馬選手と共に東京五輪に出場されることを大いに期待しています。
十日町市陸上競技協会・南雲政治会長=念願が叶い、こんなにうれしいことはない。体調を管理し、東京五輪では立派なパフォーマンスを見せてほしい。十日町一丸となって応援します。
中里スポーツ後援会・上村斉会長=バンザイ、やったーという感じだ。後援会活動を大いに盛り上げていきたい。東京五輪での活躍を期待します。
中里中時代に陸上を指導した江村浩一教諭(現塩沢中)=車で駆け付け声援をおくった。東京五輪出場がまだ信じられないくらい。でも本当にうれしい。本番では体調に万全を期して思いっきり走ってほしい。
服部兄弟応援団・援馬隊・吉楽一彦隊長=2位に入った時、バンザイ、バンザイと喜び合った。うれしくて涙が出た。東京五輪では大応援団を組んで駆けつけたい。
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東京五輪マラソンの代表権をつかんだ服部勇馬選手は、来月中旬にも十日町市を表敬訪問する可能性が出てきた。
服部選手によると、来月18日に新潟市内でテレビ局の取材を受け、翌19日にはデンカビッグスワンで開催のイベントに特別ゲストで出演する予定。それに合わせて十日町入りが可能かもしれないという。ただ東京五輪に向け早くも合宿がスタートするということで、実現するかどうかは未確定だ。
写真・神宮外苑の41`付近で力走する服部勇馬選手。このあと大迫選手を抜き2位に入った(9月15日、本紙・村山栄一撮影・東京神宮外苑で)