「火焔型土器が聖火台となれば、新潟と言う名が大きく発信できる」。花角英世知事は力を込めて語った。火焔型土器が多く出土する県内6市町で構成する「信濃川火焔街道連携協議会」と花角知事は13日、文部科学省を訪ね、林正文大臣と面会。2020年。東京オリンピック・パラリンピックの聖火台デザインに「縄文文化の象徴である火焔型土器を」と要望。これまでは同協議会、十日町市始め縄文国宝を持つ自治体と縄文サポーターズが文科大臣や五輪組織委員会に要望を続けていたが、県トップである知事と連携した要望は初めて。東京オリパラ開催まで2年を切り、期限が迫っているなか、知事が先頭に立つ縄文スクラムでの聖火台実現に関心が集まっている。
林文科相との面会には、花角知事、同協議会長・磯田達伸長岡市長、同副会長の関口芳文十日町市長、桑原悠津南町長らが出席。面会時間は15分余だった。終了後に記者会見。林文科相は熱心に耳を傾けたが、『基本的にはデザインの採用は五輪組織委員会の役割』と伝えたという。花角知事は「縄文は、日本文化の源流と言うものにふさわしい。日本文化を世界に知って貰うひとつのきっかけになると思う。火焔と言うのは炎。聖火台にも非常によく合うと考えている」と見解を語った。
今夏、十日町市出土の国宝も出品された東京国立博物館「特別展 縄文」は37万人余が来場。都市部での縄文文化への関心が増している。翌14日は磯田長岡市長は縄文文化発信サポーターズ代表幹事、関口十日町市長は縄文国宝所有自治体として、昨年に続き五輪組織委副会長・遠藤利明代議士と面会し、改めて要望。この中で遠藤氏は新国立競技場での聖火台設置場所が未決定な点に触れ『競技場に聖火台はおけず、開会式の点火後、外に移動するとか、同じものを二つ作り対応する』などと現段階での構想を伝えたという。
県知事と初連携の要望。同協議会副会長の関口市長は「県知事が我々と一緒に動いてくれるようになったことに意義がある。聖火台要望は知事を先頭に一点に絞った展開ができるようになったのが大事」とする。一方、五輪聖火台要望活動初参加の桑原町長は「林大臣も上野の国立博物館の縄文展の反響を感じていた。戦闘せず、共生してきた日本人のDNAを引き継ぐ、日本人の心を世界に向け発信したい」と話した。
2年前から続く、火焔型土器聖火台への要望活動。開閉会式は演出統括に狂言師の野村萬斎氏が就き、五輪開閉会式は映画監督・山崎貴氏(映画『三丁目の夕日』シリーズなど)、パラリンピックはクリエイティブディレクター・佐々木宏氏(ソフトバンク『白戸家』シリーズなど)が担当。聖火台のデザインも3人が中心となり考えるという。開催まで2年を切り磯田会長は「演出検討は形になっている可能性があり、最終段階で知事と一緒に要望書を渡したのは大きな力になる。決して新潟、長岡を含めた地域自慢の話ではない。五輪はスポーツと文化の祭典。日本のためにも決まって欲しい」と話す。
さらに20日にも花角知事、同協議会から磯田長岡市長、関口十日町市長、國貞勇人三条市長が共に、鈴木俊一東京五輪担当大臣への要望活動を行った。