就任すると全国最年少の自治体トップになる首長選挙候補が名乗りを上げた。2期在職の現職が今期限りで退任する津南町。任期満了(7月8日)に伴う町長選は6月19日告示、24日投票で行う。すでに橋真二氏(57・前塩沢信用組合監査室長)と半戸哲郎氏(66・元町職員、元町議)が出馬を決めているなか、町議会副議長の桑原悠氏(31)が20日、出馬表明した。新潟県内の田上町長選で33歳候補が出馬するが、桑原氏はさらに若い候補となる。選挙事務所となる自宅脇の車庫2階で会見した桑原氏は『地域医療・農の再興・観光』を掲げ、「歴代町長の歩を踏みしめ、上村町政が進めた津南ブランド化への取り組みを評価し、子どもたちが大人になった時、良い町だと帰ってくるふるさとを作りたい」と決意を述べた。桑原氏は今月29日の町議会臨時議会後、同日付の議員辞職願を提出する意向だ。このため6月の町長選では町議補選を同時選で行うことになる。辞職後の来月早々予定の臨時会で後任の副議長を選出する予定だ。
6年前、被選挙権(25歳)を得て東京大公共政策大学院の現役学生で津南町議選に出馬、トップ当選し、全国ネットで評判になった桑原氏。20日の出馬表明会見には新聞・TVなどマスコミ8社が詰めかけ、31歳の出馬表明の言葉を取材。津南町貝坂の自宅脇、車庫2階が選挙事務所。同席は元JA津南町営農部長の風巻忠義・後援会長。用意された資料の激励メセージには大学院時代のゼミ教授で野村総研顧問の増田寛也・元岩手県知事、元総務大臣も。いまも年数回、ゼミ生と共に増田氏は来訪し、交流している。
桑原氏は津南町を「成熟期にある」と位置付け、人口減少・高齢者など山積する課題を『希望・愛・参加』をキーワードに「グゥーンと前に進める政策で取り組む」とする。その最重要解題に『農の再興』を掲げる。「大も小も共存共栄できる儲かる農業を創りあげる。生産者と行政・農協・関係機関をつなぐ農業支援人材を配置し、新たな法人化も視野に農業所得の向上に取り組む」と話す。新たな品種導入や気象情報活用など生産から営業・販売までを総合的に取り組み、農の再興をめざす。
地域医療の取り組みは「町立津南病院のあり方が課題だが、常勤医師の確保に具体的に取り組む。さらに独自に海外留学や研修制度を充実し医師確保に取り組み、県立十日町病院と総合的に連携し、総合診療医の後期研修など地域医療の充実に取り組む」と具体策の一端を示している。
若者や女性活動支援では先端情報による研修支援を行い、2、3年間での人材育成に取り組み、所得アップにより定住促進に結びつける方針。自身が2児の母である立場から働きながらの子育て支援にも力を入れる。「親たちが交流する場づくりにより、かつてあって預け合いの仕組みを支援し、保育園や学校生活をサポートする仕組みを作る」など子育てにも力点を置いていく。
人口減少対策では『関係人口』の拡充を掲げる。中心市街地の空き店舗を町が借り上げ、活用を広げ、津南町に関係する町外者を対象に『第2町民制度』を立ち上げ、交流人口の増加を移住・定住に結びつける方針。「国内外の人との関係づくりが重要になってくる。成熟期を迎えている町の良さ
は外からよく見える。町にある資源・文化などあるものを一歩ずつ進め、誠実なまちづくりをめざす」としている。
具体的な政策は月内に作成し、集落懇談会に入る計画。自立を選択し、人口減少が進む津南町の新たなリーダー像を『1人の強いリーダーの時代ではない。多様な価値観をチームにし、主体性を尊重し取り組むコーチングするリーダー』が求められているという。掲げる「地域医療・農の再興・観光」を、議員活動で広がった国県行政関係者、学術分野、生産活動グループなど幅広い人材群により自治体運営をリードする方針だ。観光面では「町長直轄部局を設置し、地域の文化資源によるブランド作りを進める。日本版DMO(観光地づくり経営法人)登録をめざす」とする。ニュー・グリーンピア津南については「資本力あるプロの経営者に担って貰うのがいいのでは」と話している。
就任すると全国最年少の自治体トップになることは、「津南町の存在感自体が高まる。これは大きいと思う。この国の国土の80%余が町村だが、町村の人口は10%をきっている。小さな自治体だが、山椒のようにピリッと光る津南町を作る」と決意を述べている。来月から地区懇談会に取り組み、政策を訴える方針。なお町議補選が同時選で行うため、「若い人たちから出てほしい」と擁立にも関わる方針だ。
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津南町長選に出馬を決めている橋真二氏(57・前塩沢信用組合監査室長)は来月から地区懇談会を秋山郷から開き、町内30地区余りで開く方針。桑原氏の表明につて「有権者が判断するでしょう」と話す。一方、3度目の町長選挑戦となる半戸哲郎氏(66・元町職員、元町議)は22日に中央部の大割野に事務所開設。同様に来月から集落懇談会をスタート。桑原氏について「こちらはこちら。政策で訴えたい」と話している。