原発再稼働問題を争点化した医師で弁護士の新人、米山隆一氏(49)が初当選した新潟県知事選。15日の投開票は、接戦の前評判をくつがえし、午後9時過ぎには「米山氏。当確」が出た。十日町市、津南町の選対事務所では、米山氏を推した社民、自由、共産、さらに自主参加の民進関係者30人余が集まった選対事務所では、午後9時過ぎ、ネットニュースで米山当確を知り、TVで確認し、全員で歓喜の万歳で抱き合った。一方、自民支部幹部、行政トップらが集まる森選対の十日町市、津南町事務所では、一様に沈痛ムードで、当確が決まると、あいさつもなく、事務所を後にする姿が目立った。現職・泉田裕彦知事は24日で退任。25日、新知事・米山隆一知事が誕生する。来月16日からの臨時県議会で、米山知事が何を語るか、大いに注目される。
「こんな街宣では、有権者の気持ちはつかめない」。選挙中、自民関係者がもらした言葉が、現実のものとなった。前長岡市長・森民夫氏(67)は長岡市長や全国市長会長の経験を全面に出し、当初はジュークを交えた余裕ある街頭演説をしていた。だが、この時すでに、「演説の内容が薄い。自民支持者が多い中山間地なら通じるが、浮動票が多い都市部では通じないだろう」とする危機感が、森選対にはあった。
だが、修正されるどころか、争点絞りにより「原発再稼働」が最大論議となった。米山氏は早くから、県民意識をつかむように「泉田知事の路線を継承する」と街頭演説で明言。一方、森氏は、「国の原子力規制委員会の判断を受け、県技術委員会で充分に検討し、安全性が確認されなかったら、国にノーという。私だからノーといえる」と、言い回し表現になり、有権者にはストレートに伝わらなかった。
加えて、政権与党・自民政権が原発再稼働に前のめりの印象から、森氏の自民推薦が足を引っ張る形となった。
6月の参院選に次ぐ勝利となった「野党共闘」は、次期衆院選への弾みとなったと見ている。米山選対の十日町事務所の自由党十日町の本間侃氏は、「この2連勝を次期衆院選につなげたい。野党共闘をもっと強固にする必要があり、十日町の基盤づくりが必要」と、参院、知事選を通じた野党共闘を、さらに組織化する必要を強調している。