
「ドル箱」の特急はくたか廃止で運輸収入が10分の1に落ち込んでいる北越急行・ほくほく線で、新たな収入源確保や魅力づくりが始まっている。全国的に人気が広がるサイクル(自転車)活動と鉄路が連携した『サイクルトレイン』、さらに沿線に世界規格のスキー施設「モンスターパイプ」建設による誘客など、沿線からも同線利用増への取り組みが動き出している。
「ほくほく線沿線地域振興連絡協議会」(会長・関口十日町市長)は20日、六日町で新年度総会を開き、同会の交通政策部会が「サイクルトレイン」の調査研究に取り組む方針を決めた。同トレインは列車内に自転車を持ち込みでき、あるいは各駅にレンタル自転車を設置し、駅前駐車場を確保し「パークアンドライド」により、鉄路を使って自転車の旅ができ、外国では大きな人気を呼び国内でも取り組む鉄路が増えている。
調査活動は、先進事例で平成15年4月からサイクルトレインに取り組む3セク「上毛電鉄」を視察し、実現の可能性を探る。全国で14鉄路が取り組み、上毛電鉄が全国トップの年間2万5千台の自転車持ち込み数(平成19年度実績)で、最近さらに増加傾向という。
一方、南魚・石打丸山スキー場に、ワールドカップ開催できる国際規格『モンスターパイプ』を南魚沼市は今年建設し来冬開業。計画では石打丸山スキー場チロルゲレンデに長さ170b、高さ6・5aのハーフパイプコース。事業費約1・3億円。W杯開催できる国際規格コースとなる。
ほくほく線協議会委員の南魚沼市観光協会・小野塚昭治会長は、最寄駅・上越線石打駅へのほくほく線停車を求める。「世界規格のパイプコースは大きな誘客要素だ。新幹線湯沢駅から石打まで複数の鉄路ルートができれば利用増に結びつくはず」と誘客効果を強調する。同地はフリースタイルスキーW杯で2季連続総合優勝した小野塚彩那選手の出身地であり練習の拠点でもある。石打駅周辺にはスポーツ施設もあり、五輪事前合宿などの誘致も視野に入れている。
収入の9割を占めた特急はくたか廃止で経営環境の厳しさが増す北越急行・ほくほく線の第32期(平成27年度)決算は、普通列車だけの運輸収入となったが、前年比22%増、23万人増の利用実績。だが収支状況は厳しく営業損益は約6・4億円となっている。21日に十日町市で決算発表した渡邊正幸社長は「特急廃止の影響は極めて大きい。新たな中期計画を策定したが、平成30年に運賃10%値上げを予定し、国や県の財政支援を受ける中で、向こう40年間はやっていける見通しだ」と、厳しい経営事情ながらも新潟県や沿線自治体の支援を期待しつつ、一方で新たな収益分野を模索する取り組みも始まり、廃止する変電所の「データセンター化」などを視野に入れている。
『6億円の収入を上げるのに12億円の費用がかかっている』のが特急廃止後の北越急行の経営状況。費用軽減のためピーク時104人の従業員が今年3月末で76人に人員整理。さらに沿線3ヵ所(津池・大島・大潟)の変電所廃止を打ち出す。
なかでも注目は、十日町市・美佐島駅にある津池変電所。廃止後、その建物を活用し『データセンター』設置を構想する。ほくほく線には光ケーブルが敷設され、電力供給も可能で、建物冷房化もでき、需要が高まるデータセンター設置を視野に研究し、新たな収益源にしたい方針だ。
さらに先月、運送大手・佐川急便と事業合意した「貨客混載」。同線の上下最終便を活用し、貨物運輸を担う計画。渡邊社長は「試験的に今秋から取り組み、事業化の見通しをつけたい。貨物輸送には国の助成が期待できる」と、さらに新たな事業展開する方針だ。
27年度決算は、営業収益6億1843万円、営業費用12億5946万円と「6億円の収入を上げるのに12億円の費用がかかっている」現状で開業以来初の赤字決算。平成9年3月開業以来、26年度決算まで連続黒字による内部留保は3月末125億9500万円だったが、前期から取り崩しが続き、28年度も3億円余を取崩す計画で、来年3月末は122億円余の見込み。一方、普通車利用は平成21年度から100万人突破を維持、27年度128万6千人。中でも高校通学が2万人増。南魚エリアの津南中等校通学がバスからほくほく線利用に変わったため。直江津圏、十日町地域のビジネス利用14万人、芸術祭効果で7万人などで普通列車は前年比23万人増となっている。
写真・美佐島駅にある津池変電所を廃止し、データセンター設置を構想している