歓喜の初当選から3週間、今月15日、栄村の第6代村長に就任する森川浩市氏(56)。今月4、5日には震災地、熊本へ行き、小野泰輔副知事と会い、震災地を経験した栄村として被災者支援を約束した。「今回は森川浩市、一個人としての訪問。ただ15日に村長に就くと話し、栄村として被災された方々を受け入れる用意があると小野副知事に伝えた」。急きょ集めた義援金や救援物資を手渡し、支援を約束した。空路が取れず陸路片道9時間かかった。当選後、森川氏は多くの面会や連絡を受け、事実上「新村長」として動き始めている。村長の公式就任は15日だが初登庁は16日。8日、自宅で今後の村政運営を聞いた。
関心が集まる副村長人事。「先ず村内公募し、私の政策を理解し、実現する取り組みを共有できる人材を求める」。公約通り公募し、9月議会に提案する意向。ただ、「求める人材がなければ、国に頭を下げて人材をお願いする。その場合は来年4月着任になるだろう」。
さらに森川村政の中枢になる『特命対策室』。「人口2千人余の村こそ企画政策部門が重要。政策立案、国県事業の情報収集など村政全般を視野に入れるセクションが特命対策室。課長クラスによる政策会議と併存の部署」。行政職員3人、一般公募職員(臨時職、年間雇用、1年任期)3人余の6〜7人の対策室を8月までに立ち上げる方針だ。
「特命対策室と課長の政策会議に同じテーマを出し、それぞれが研究協議する。出てきた事業プランを一つのテーブルで協議し、村事業として立案する。スピード感が必要で、特命対策室には人材を起用し、『村長、何やってるんだ』などと意見できるセクションにする」。一般公募の狙いは「村民からどんどん村政に参加してほしい。気軽に役場を訪れられるようにオープンな専用室を設ける」。
選挙中、関心を集めたのが『村長カフェ』。誰でも、何でも、気軽に村長と話せる場を設ける。当面、村社会福祉協議会が定期開催する「悩みごと相談会」に村長が同行し、先ずは「出張・村長カフェ」に取り組む。今後は村総合福祉センター内に毎月1日『村長カフェ』を開設。ただこれは副村長が決まってから。
人口減少対策は緊急課題。毎年4組が結婚し、子どもが生まれないと人口千人を割ると推計される栄村。『子育てと地域経済』と結び付ける。地域経済では中小企業・個人事業の育成を掲げ、秋山郷観光再生を定住人口政策に結びつける。「村の公共事業を土木以外でもどんどん発注したい。仕事が増えれば雇用も増え、所得の安定が子育て環境整備につながる」。
『子育てするなら栄村』を掲げる。生活形態の多様化に対応する。「土日が仕事の人も多い。休日保育で対応し、子育てしやすい栄村に取り組む。 『栄村で子育てしたい』と言われる子育て環境づくりに取り組む」。
地域経済の主軸の観光業、特に秋山郷観光に力点を置く。例年5月末の開通の秋山林道の大型連休前の開通を実現する。「秋山の人たちの後押しも必要で県に直訴する。危険個所の対応に取り組み、大型連休前の開通をめざす。これは地域経済に大きく影響する」。
さらに秋山郷観光の特色化をめざす。『赤い温泉』『白い温泉』。現在の小赤沢「赤い湯」(楽養館)、苗場山3合目付近で自噴する「炭酸泉」を活用し『白い湯』を構想。「赤い湯、白い湯、この対比が大きな特色になる」。
栄村産業の要的な存在であるべき栄村振興公社の改革に取り組む。「過去・現在・未来」をこれまでのデータを元に企業診断し、可能性を探る。「やはり人材だろう。可能性を最大限引き出す振興公社経営をしたい」と強い意欲を見せる。
村長選後、対戦した相手陣営関係者も訪ねてきた。「選挙は選挙。村民が一つになって、栄村づくりに取り組みたい」。16日の初登庁後、村職員に話す。「冬場でも安心して暮らせる、日本一安心して暮らせる栄村づくり、それが私の使命」。いよいよスタートラインに立つ。