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2016年03月の津南新聞「トピックス」

過去の津南新聞トピックス
季節の表情「ミズバショウ咲く」、川西野口  4月1日号
 ○…雪国に春の訪れ―。春を告げる花・ミズバショウが咲き始めた。周辺の田んぼには未だ30a余りの残雪が覆うなか、川西地区の「野口水ばしょう公園」では雪消えを待ちかねたかのように、ミズバショウが白い花を広げ始めた。暖冬少雪で昨年より10日以上も早い咲き方で、間もなく満開になりそうだ。5月3日に「水ばしょうまつり」を開き、地域亜あげて春を満喫する。

 ○…同公園は、低地には珍しく、自然発生した可憐な花たちがいっせいに咲き乱れることで人気。長さ150b余り、面積約190平方bの小川に、周りの山や田んぼから清らかな水が流れ込み、数千株が自生している。「水ばしょうまつり」では多勢の人たちが訪れて園内を散策。豚汁や地酒に舌鼓を打ちながら雪国に訪れた遅い春を味覚と共に堪能する。

リベラル健在、白川勝彦氏が叙勲祝いで「狂の時代」、現政治を批判  4月1日号
 東大卒、十日町市出身の弁護士で、34歳で衆院初当選し、6選の間に自治大臣・国家公安委員長を務め昨秋の叙勲で旭日大綬章を受けた白川勝彦氏(70)の叙勲祝賀会が26日、ラポート十日町で開き、かつての後援会・勝友会関係者など280人が集まり、当時著した「新憲法代議士」の「行動するリベラル、汗する知性」を感じさせる白川氏の「いまの時代は狂った時代。俺は狂っていないと言える人間が必要だ」と、熱意ある言葉が、再び参集者を引きつけた。

 叙勲祝いはかつての勝友会幹事長だった島田政之助氏を発起人代表で開催。当間高原リゾート、ほくほく線開通など白川氏の尽力を称え、「十日町市は将来、都市機能を失っていくといわれるが、大勢の力があれば変える事ができると勝友会メンバーは学んだ。これを次の世代に伝える必要がある」とあの時代の思いと行動力を述べた。白川氏を支持し、本部役員で陣頭指揮に関わった91歳の瀧澤栄輔氏は、あの十日町市民体育館での4千人集会を語った。「出馬を決意した十日町高の後輩を応援しようと立ち上がった。あの4千人集会が今も思い出される。今日は白川学校の同窓会だ」とかつての仲間たちの集結を称えた。

 久々にふるさとの舞台に久仁子夫人と共に立った白川氏は、歴代の勝友会長の名をあげ、「山内正豊、月岡健二、登坂行雄、滝沢東湖、樋口熊蔵の皆さんの力添えをおかげ」と感謝。さらに「長い間、政治を見て来た者として、いま世界中が狂っていると感じる。いまは「狂の時代」。だが、その中で俺は狂っていないと言える人間が、いま必要だ」、「政治にはアドレナリンが出ないとやれない。もう議員になる気はないが、政治家は続ける。ホームページ「永田町徒然草」は毎日、数万人が見てくれる。どうか、皆さんも見てほしい」と、久々の『白川節』の一端が聞かれ、参集者から大きな拍手を受けた。

キラリ看板娘・島田成美さん・ネージュ  4月1日号
 ○…「思いっきりジャンプして。とっても上手よ」。保育園の遊戯室に声が飛ぶ。将来の運動能力に大きな影響を与える、保育園児を対象にしたコーディネーショントレーニングだ。「ラダーやミニハードルなど持って保育園を回り、遊び感覚で運動能力がアップするよう活動しています」。幼児から高齢者まで様々なトレーニングを展開しているNPО法人ネージュ・スポーツクラブ。主に保育園児のインストラクターを務め4年になる。

 ○…昨年の夏、先進的なトレーニング方法・SAQの講習を受け、1級の資格を得た。「取得した知識を正しく伝え、活かしていきたいです」。休日は読書やドライブ、友だちと時々、一杯も。ただ、いつも運動に取り組む園児の顔が浮かぶ。「先輩にすばらしい指導者がいます。そんなインストラクターになりたいですね」 (ネージュ)

緑のハウス登場、山間集落にシエアハウス  4月1日号
 雪国でのスローライフを実現したい移住希望者に、体験の場として活用できる、築45年余りの住宅にドイツ建築の息吹を吹き込んだ緑色の十日町市営「竹所シェアハウス」が同市竹所に完成。1日から入居が始まった。
 同シェアハウスは、同所に暮らす古民家再生のスペシャリストでドイツ人建築デザイナー、カール・ベンクス氏が手がけた50軒目のデザイナーズ・シェアハウス。個室は4畳半から8畳まで6室あり、部屋代は光熱費込みで月2万3千円から2万8千円。入居条件は1ヵ月以上3年以下となっており、すでに10代から40代の男女3人の入居者が決まっている。同集落には別荘を含め14棟の住宅があり、うち8軒はカール・ベンクス氏が手がけたデザイナーハウスで、ピンクやグリーン、オレンジなどカラフルな家が点在している。
     ○
 竹所は同市の中心地から車で約30分、星峠に近い松代地区山間部で、集落には11世帯27人が生活しうち移住者は6世帯14人で「竹所住民」より増えている。他に別荘も2棟ある。同地区の五十嵐富夫区長は「若い世代の移住者が増え、小正月行事が復活したり、山菜てんぷらパーティーやホタル鑑賞会、クリスマスパーティーなど、四季を通じてイベントが増え、楽しい地区になっている。更に若い人が入ってくるのでうれしい」と話している。

掘れ、掘れ、掘れ、恒例に地面出し競争、津南で  3月25日号
 ○…「それ掘れ、やれ掘れ」。豪雪地のハンディを逆手にとり、ゲームで楽しみながらグラウンドの雪消し作業を行おうと20日、津南中グラウンドで豪雪地面出し競走が行われた。地元はじめ十日町から力自慢の青年や親子など一般、ファミリーの部に14チームが出場、コスプレチームも参加し「キモワル」な雰囲気を漂わせながら、『雪掘り一番』に挑戦した。

 ○…NPО法人タップが主催し今回が5回目。例年だとグラウンドには1b以上の残雪があるが、暖冬少雪の今年はわずか20aほど。このため制限時間10分、幅1bで何bまで進むか特別ルールで実施。その結果、残雪がほとんどない場所を選んだ「大道LОVE・B」が唯一、時間内に30bを突破し優勝。また前日の夜中に長岡まで衣装を買いに行ったというコスプレチームも裸や女学生姿で健闘していた。

「1点」が与えてくれた時間、東京大合格の神戸隆太さん(中里)  3月25日号
 1点に泣いた。だが、その1点が与えてくれた1年間が、自分を変える時間になった。東京大学理U類に合格した神戸隆太さん(19・中里)。1年前の自分と、いまの自分の変化を実感している。
 「医師になろうと思ってきましたが、この1年で自分が変わりました」。津南中等校6学年の昨年。慶応大医学部、防衛医大に合格しながら、京大医学部、東大に退けられ、「浪人」を決める。東大は後期日程を受験。得点開示を見て、悔しさが倍増した。150点で合格、神戸さんは149点だった。この1年間、新潟市の予備校に通った。

 「6月頃まで尾を引きました。あのタイひとり旅が転機でした」。7月の12日間。タイへひとり旅。最初の2日間は、「自分はいったい何をしているんだ」と自問したが、3日目に出逢った同世代や旅の人たちとの交流で、モヤモヤは吹っ飛んだ。勉強の事は全く考えず、ひたすら動き、話し、食べ、遊んだ。
 「リフレッシュでき、すっきりした自分を感じました」。帰ってまもなくの8月初め。東大受験者(各類別)だけが受ける東大実践模試があり、理U類で全国トップの成績を上げた。悔しさを引きずっていた夏前とは違う自分が、そこにいた。

 「小さい頃からずっと医師をめざしてきましたが、高校2年の後半頃から、医師という仕事への疑問が膨らみました」。京大、東大に退けられたことも転機となり、進む方向性を考えた。文系、法学部への思いが増した。
 今期の東大前期日程の発表は3月10日。掲示はなくインターネット発表。同日正午、自分の部屋のパソコンでしっかり受験番号を確認した。「嬉しかったです。すぐに友だちに連絡しました」。家族も大喜び。津南中等校の東大合格は2人目。

 なぜ、東大なのか。「あの教授に学びたい、あの分野を勉強したいという思いもありますが、私は全国から集まる学生との出会いに魅かれます。価値観のぶつかり合い、それがとても楽しみだし、多くの出会いがあるはずです」。今月末に三鷹の東大学生寮に入り、来月1日から新入生合宿が始まる。入学式は12日。3年進級時に学部を選ぶ。国の中枢を担う人材を輩出する「法学部」をめざす。
(恩田昌美)

今夏の決戦、野党一本化が焦点、自民・水落氏、中原氏が気勢  3月25日号
 今夏の参院選から1人区になる新潟選挙区。野党一本化に関心が集まるが、自民現職で2期目の中原八一氏(56)は、全県の自民支部大会などに出席し、支持を訴えている。20日には自民十日町支部の第52回定期大会に全国区の水落敏栄氏(73)と共に出席し、再選への支持を訴えた。十日町市の下条上新田出身で、日本遺族会長の水落氏は国政報告の中で、子ども時代の貧困経験などを話し、「未来を担う子たちの教育と安心して暮らせる道路網整備が私のライフワーク」と懸案の高規格道十日町インター、新十二峠トンネルなど地域課題への取り組み姿勢を強調した。

 同支部(支部長・尾身孝昭県会議長)定期大会は、結党60年の自民の歴史でも有数と活動歴がある支部。白川勝彦氏が衆院現職時代は千3百人余の党員だったが、今期の党員は395人で政党離れが同地でも進んでいる。支部大会には今夏に改選を迎える水落、中原両参院議員のほか佐藤信秋、塚田一郎両参院議員も臨席し、改選の2氏への支援を要請した。
 一方、野党共闘は、民主(民進)の衆院現職、菊田真紀子氏(46)が党本部の意向を受ける形で出馬辞退を打ち出し、生活の棟の森裕子氏(59)での一本化調整が進んでいるが、民主勢力には離党した森氏には抵抗感があり、野党共闘の候補一本化は難航している。無所属出馬も模索する森氏は、県内各地で原発再稼働反対をアピールし、『こどもたちの未来のために行動する会』代表を掲げ、「こどもたちが安心して暮らせる未来を、こどたちに贈るのは、私たちの役目です」と訴えている。無党派層など「原発再稼働反対」を支持する世代層などを巻き込み、原発再稼働推進の自民勢力との対抗色を強く打ち出している。

パンづく、世界大会で3位に、津庵出身・樋口達也さん  3月25日号
 世界の舞台で銅メダルに―。今年1月にイタリア・リミニで開かれたパンづくりの世界大会「SIGEP(シゲップ)」に津南町辰之口出身の樋口達也さん(36、川口市在住)が日本代表として出場。イタリア、スイスに次ぐ3位と活躍した。「自分たちの力は発揮できたけど、優勝できず残念。日々の仕事を今まで以上に大切にし、精進していきたいです」と話し、さらにレベルアップをめざしたいと意欲的だ。

 日本として初出場の大会で、前回までのデータがない中で挑戦。大会は2人1組で行い、樋口さんは同世代の松田武司さんと共に、前日準備1時間と当日8時間の競技に挑んだ。製パンは、チャバタと独自性のあるパン(課題パン2種類、自由課題パン3種類)、ヴィエノワズリー(2種類)と焼きタルト(2種類)、食事パン(塩味のパン9種類)の全ての作品を競技指定時間内に提出。初出場ながら見事3位となり、来年イタリアで開催されるパンの大会「AB Tech」への出場権を獲得した。

 出場することが決まったのが昨年10月初旬で、大会までの準備期間がわずか3ヵ月。通常は1〜2年の準備をかけて臨むのが一般的だという。大会1ヵ月前にようやくアイテムが決まり、年が明けてから8時間の通し練習を2回行ったが、2回ともタイムオーバー、不安を抱えたままイタリア乗り込んだという。現地では、ボローニャにあるパン屋で3日間テストベーキングを行い、日本で使用している小麦や水との違いを確かめた。

 本大会では、日本チームのブースの前に各国チームの審査員や観客が集まり、「緊張した上に追い打ちをかけるように慣れない機械設備に戸惑ってしまった」という。それでも時間の経過とともに調子も上がり、「良い精神状態でパンの製作に取り組む事ができ、思い通りのパンができた」という。
 樋口さんは津南高卒後、日本菓子専門学校の製パン技術学科で2年間学び、パン職人の道に。現在、デイジイ東川口店長を務めており、「今後もパンづくりの技術を更に高めていきたい」と話している。

写真・世界で3位になった樋口さん(左)

キラリ看板娘「市村悠さん 27歳・ みさ伝」  3月25日号
 ○…「いらっしゃいませ」、女性としてはちょっと低目の声。カラオケでは声量を響かせる、そんな感じ。店ではもちろん、笑顔で応対する毎日。包装が得意で、お中元やお歳暮では忙しいなかでもテキパキこなしていく頼もしい存在だ。「商品がいっぱいで、ちょっと迷うこともありますが、お客さんにとっては楽しい場所になると思います。ぜひお気軽に見に来てくださいね」。

 ○…休日は本を読んだり、友だちと買い物に出かけたり。「口紅やチークなど化粧品を集めるのが好きです」。家族は両親、祖父母、兄との6人。「食事など母が作ってくれるので楽にさせてもらっています」と笑う。その一方で「友だちは結婚したり子どもができたり、そんな話が増えています。そろそろ相手を…」。自分で使うお祝い事の引き出物を選んで包みたい気持ちも。

全日本、FISで優勝、準優勝、五輪めざす佐藤姉妹  3月25日号
 全日本ナショナルチームメンバーで昨シーズン活躍し、2年後の韓国・ピョンチャン(昌平)五輪出場をめざすスノーボード選手で津南町出身の佐藤夏生(22・レカム所属)、佐藤亜耶(20・早稲田大2年)姉妹は、今月10日の第22回全日本スキー選挙権のスノーボード「スロープスタイル」で亜耶選手が準優勝、夏生選手が5位入賞。同大会前後に開いたFIS公認大会でも2人はほぼ大会で入賞し、五輪出場に大きく近づいている。

 スロープスタイルは尾瀬戸倉で開き、国内一線級選手が出場。ワールドカップ転戦中に踵を負傷した夏生選手は、治療しながらの出場となり、本来の実力を出せなかった。だが13日のビッグエアー競技では故障ながら準優勝し、ナショナルチーム入りが濃厚になっている。一方、亜耶選手は好調を維持し、FIS大会では第1戦で優勝し、他の2大会でもすべて4位以内で実力を見せている。なおビッグエアーは次回五輪から正式種目となり、夏生選手の得意種目でもあり活躍が期待される。

写真・五輪めざす佐藤夏生(右)、亜耶選手

同日イベント、連携し誘客アップを、今月12日ビッグ3イベン重なる  3月18日号
 3月は冬や雪イベントが毎週末に開催される妻有エリア。だが、行事が重なるため、「行きたいけど、行けない」、こんな声が数年前から出ている。今月12日、3つの大きなイベントが重なった。全国から出場者殺到の松代「のっとれ松代城」、雪原に2万のスノーキャンドルが灯る幻想的で人気の中里「清津雪原カーニバル」、スカイランタンで全国人気の「津南雪まつり」。共に1万人前後の来場者となり、各参加者からは、「雪原キャンドルを見たい」や「スカイランタン、上げたい」などが出ている。そこで今回、新たな取り組みが生まれた。隣接地の中里と津南で「連携交流バス」を運行し、両イベントのメインを体験できる取り組みを行った。

 午後4時半時過ぎ、ニュー・グリーンピア津南から「清津雪原カーニバル行」のプレートを掲げた観光バス1台が出発。同津南では午後7時45分から人気の「スカイランタン」が上がる。清津スキー場では午後6時から雪原に2万のスノーキャンドルが灯る。両会場は往復約40分ほど。観光客は清津の幻想的なスノーキャンドル、たいまつ滑走など堪能し、同津南のスカイランタンも体験できた。
 この連携は両観光協会事務レベルの協議で実現した。津南町地域振興課・江村善文課長は「今回は試みでバスを走らせたが、滞在時間などの課題はあるが、一つのモデルになるのでは。さらに連携交流を深めたい」と話す。一方で同日開催への課題は残り、相互連遺の必要性を感じている。

 清津雪原カーニルを統括の中里支所・富井良幸主任は「同日開催の影響はあるが、中里地区の宿泊施設はスカイランタンのお客さんで埋まっていた。今後も重なる事が予想されるが、連携を考えたい。両会場を映像で結ぶなど相乗効果を考えたい」と話す。雪原カーニバルは旧中里村時代から第2土曜開催で、津南雪祭りが第1土曜から第2に昨年から移っている。過去最多の来場は1万5人、昨年、今年と7千人台になっている。
 特に今回、「スカイランタン」人気が全国的に広がり、津南には12日だけで町人口を上回る1万1千人が滞在。スカイランタンが目的だけに他への流入は少なく、情報提供や他イベントとの連携が今後の課題になる。

 十日町市観光交流課・渡辺盛一課長は冬の限られた期間内でのイベント集中の課題を話す。「冬イベントは1月以降ほぼ毎週あり、特に3月の土日は集客数が多いイベントが重なる」。一方で「今回、中里と津南でシャトルバス連携は一つのモデルになるのでは」。行事のメイン時間、イベント内容の見直しなど相互連携の可能性を探る方針だ。

写真・のっとれ松代城。津南スカイランタン、清津雪原カーニバルと12日にはイベントが重なった
 

明日へ「9000`、自転車ひとり旅、自分に挑戦、柳沢徹さん」  3月18日号
 まだ、サドルを漕ぐ足に、ハンドルを握る感触が手に、あの感触が残っている。95日間、約7600`のカナダ自転車の旅。キューバ1400`を含むと110日間9000`の旅を終え、帰国したのは1月末。「やったなぁ」。実感がジワリと湧いている津南町の柳沢徹さん(24)。
 
 2年前の7月。一念発起。「自分探し、自分を試してみたい」。ワーキングホリデーでカナダに渡り、語学学校に通いながら地
元の造園屋で働く。半年後、東部のマニトバ州ウィニペグに移る。畜産農家で住み込みで働くなかで、自転車でカナダ横断する人、リヤカーで大陸横断する人を知る。
 「まさに自分に挑戦です。よしっと、即決でした」。40年前の変則付の4中古自転車を100j(約8千5百円)で求め、テント、ヘルメット、バッグなども準備した。

 カナダ最東端のニューファンドランド島を先ずめざした。約6600`。カナダの大自然を走った。漆黒の夜空に満天の星、ミルキーウェイ(天の川)がくっきり。真っ青な空。そこは野生動物の世界でもある。テント泊では間近にブラックベアが現れた。「なぜか身の危険は感じませんでした」。
 アクシデントにも遭遇。テント泊で野営した場所にあった毒草に触れ、皮膚炎に。かぶれが進行し両足に水ぶくれが。休憩に入ったパーキングで自転車仲間から「これは重傷だ」と救急手配を受け病院へ。3日間の点滴。救急処置用品を受け旅を続行。完治まで2週間ほどかかった。

 ルート途中、同じような自転車の旅人に多数あった。多くが年上。「夫婦や年配の人など、時間を楽しんでいるようでしたもちろん若い人もいます」。情報やメール交換。日記は英語と日本語でつけ、フェイスブックやブログを週一回ほど両語で発信。自転者仲間と情報交換した。
 ニューファンドランドには9月末到着。数日前には雪にあった。6600`でテント泊53日。「アメリカを走ろうと思い国境まで1000`走りましたが、入国できませんでした」。米国は入国を厳しく規制し、宿泊先や友知人の紹介がないと入国させない。フラリ旅で何の準備もなく、入国を拒否された。

 残りのビザ期間、以前から関心があったキューバに行く。同様に自転車の旅、約1400`走破。「牛や馬で農業する風景など、かつての日本を思い起こしました」。だがスペイン語圏で英語が通じない。「地図や絵で示し、なんとかコミュニケーションしました」。急速にアメリカ化する国情を垣間見た。「貧富の格差が広がっている印象です」。
 
 「ありふれた日常の幸せ、実感しました。家がある、食べ物がある、水がある、友がいる、その日常の幸せです」。一日8時間余り自転車で走った。自分と向き合う時間。長い坂道は苦しい。自分を奮い立たせる。「狂ったように大声で叫びます」。ギリギリの自分への挑戦。
 旅を共にした自転車は自宅居間に置いてある。無数のキズの一つひとつが、9000`走破の証し。その相棒のかたわらで、旅の記録をまとめている。  (恩田昌美)

キッズ英語塾、遊び塾、イングリッシュキャンプも、十日町市  3月18日号
 「グローバル人材の育成」や「大地の芸術祭に関わるおもてなしの力の育成」をと、十日町市は新年度から英語特区として先進的な英語教育を進めている岡山県総社市などを模範に、『イングリッシュキャンプ』や『キッズ英語遊び塾』など英語教育の充実をめざす。関口市長は「小さい時から楽しく英会話を学ぶことで、未来が大きく変わる可能性がある」と期待感を示し、具体的な授業や講座に取り組んでいく方針だ。

 同市では、中学校の英語科授業力養成講座を年2回実施しているほか、ALTやCIRなどの中学校派遣、さらに小中学生を対象の土曜英語寺子屋塾、カナダ・ビクトリアへの語学体験ホームスティなど進めているが、新年度からは新たに松之山中学校をモデル校に指定し英語授業の充実に取り組むほか、高校英語クラブと中学校の交流、中高生などを対象に「英語ボランティア講座」を新設する。また英会話寺子屋塾の特別講座として英会話だけで生活を行う「イングリッシュキャンプ」(1日コース、1泊2日コース)を奴奈川キャンパスなどを会場に行う計画だ。

 一方、小学生を対象にした取り組みでは、小学校の外国語活動に日本人外国語活動指導助手とALTをペアで派遣。さらに土曜英会話寺子屋塾に加え小学1、2年生を対象にキッズ英語遊び教室を設け、遊びながら英会話が身につく環境を設けていく方針だ。
 なお、模範とする総社市では幼稚園児から外国人指導助手による英語レッスンを年間95日程度設け、小学校では週1〜3時間、中学では週4〜5時間の英語授業やオールイングレッシュレッスンなど取り組むなど英語授業を拡充させている。
 蔵品教育長は「先進地を参考にしながら、小さい頃から遊びを通して英会話に親しむことが大切。親しみを持って英会話が身につくことができれば」と期待している。

震災復興への祈り、県境地震から5年  3月18日号  
 長野新潟県境地震で震度6強の激震に襲われ、震災関連死3人が犠牲となり、全村で家屋全壊など大きな被害を受けた栄村で今月12日、復興を祈る灯明祭がJR森宮野原駅前で開かれた。復興支援ボランティアなど村内外関係者の尽力で高さ4b余の雪山を作り、『3・12 栄村』の雪文字に子どもたちが点火し、5年の歳月を振り返りさらなる復興を祈念した。

 今年は地元森集落や森商工振興会の呼びかけで、商店街や集落内、国道117号沿道に復興キャンドルを設置。子たちや高齢者など地域総出で取り組み、東日本大震災の被災地も想い、復興の願いを形にした。

 家族で来場した青倉の広瀬佐代子さん(43)は、「地震後はとにかく慌ただしかった。いまは落ち着いたけど、3月になるとあの時のことを思い出す。震災の時に保育園だった息子は、この春から6年生。早いねぇ、あっという間です」と5年間を振り返っている。震災から日常生活戻りつつある一方で、村内の建設会社に勤める30代男性は、「復興交付金で建物を作るのもそろそろ終わる。この先仕事があるのかなって心配」と将来不安を話す。これまでは復興交付金で建設ラッシュで公共事業が多くあったが、今後の関連事業は望めず、若者など就労の場づくりが大きな地域課題になっている。 

キラリ看板娘「市川 美乃里さん 大阪屋商店」  3月18日号
 ○…「冬は灯油の配達、春は農薬の問い合わせ、秋はお米の注文。季節によって、内容も変わってきます」。電話応対やレジ、最近ではふるだと納税の米発送の管理など様々な業務をこなす。入社3年目で、実家のある松代から毎日三十〜四十分かけて通勤し続けている。「遠くから通勤していることを知っているお客さんもいて、雪の多い時は「大丈夫か?」と声をかけてくれます。嬉しいですね」。

 ○…休日は自宅で過ごすか思いっきり外に出るか。自宅で過ごす時は、録画しておいたテレビドラマや映画を楽しむ。小学校からの仲間の多くは、進学や就職で関東へ出ている。仲間が地元で集まれるのはお盆ぐらい。そのため友達に会いに関東へ出ることもしばしば。「泊めてもらったり、一緒にコンサートに行ったり。遊びに行くのが楽しいです」。(大阪屋商店)

SLきもの製作、飯山線を発信、今秋SL運行を支援  3月11日号
 今秋11月、飯山線全線では49年ぶりにSL運行が実現するが、沿線観光をさらに盛り上げようと、きものの街・十日町市の『SL運行を応援する市民の会十日町』と地元きもの会社が連携し、自然豊かな飯山沿線をSLが走る風景を描いた『世界で一枚のSL訪問着』の製作に取り組んでいる。鉄道ファン、特に女性ファンが増加するなか、きものまち・十日町ならではの取り組みに、全国の『鉄女』の関心が集まりそうだ。

 市民の会・木村喜郎会長は5年前のSL運行時から、「きもの街らしい取り組みができないか」と、SLきもの構想を温めてきた。業務関係で交友があり、こだわりの「逸品づくり」に取り組む市内の手描き友禅 『柏田屋』に協力要請。デザイナーや友禅作家を擁する同社は「十日町のきもの業界をアピールできれば」と快諾。先月から取り組み、今月初めに絵柄プランが完成した。

 里山の自然豊かな飯山線沿線をイメージし、桜、向日葵、野草などが咲き、緩やかな山並みを背にSLが煙をたなびかせ走る絵柄。柏田屋の滝沢進・取締役営業部長は「初めて取り組むモチーフだが、沿線の自然の中を走るSLの雰囲気を出したい」と取り組む。4月の十日町求評会や各所での展示会などに出品し、飯山線にSLが走ることをPRする方針。今月末までに微調整を繰り返し、仮縫い状態まで創る方針だ。
 飯山沿線に呼びかけ、今秋のSL運行を応援する市民の会・木村会長は「前から考えていた構想が、ようやく柏田屋さんのおかげで実現する。きもの街とSL、このSLきものは大きな発信になるはず。手描き友禅で描くSLと飯山線。いまから出来上がりが待ち遠しい」と絵柄プランを見ている。

 同応援する会は飯山市にも誕生し、両グループが連携し11月予定のSL運行を成功させたいとしている。なお、SLきものは4月11日開幕の「十日町市・求評会・品評会」、さらに5月のクロステンで開く特別招待会、7月の中野市で開く展示会、さらに9月に東京で開く十日町フエアに出品・展示する計画だ。 

施設診断で修繕計画必要、4月からクアハウスを指定管理でTap経営  3月11日号、
 津南町の健康増進施設「クアハウス津南」と「サンビレッジ津南」の運営管理を4月からNPO法人Tap(タップ)が受けることになった。今月末で10年間、指定管理で運営した「苗場福祉会」が契約満了となることで、町が指定管理の受託者を昨年末に募集し、Tapが応募し、3月議会で指定管理委託が決まった。

 NPO法人Tap(尾池三佐子理事長)は平成25年3月に町内関係者で設立。これまで町総合センターの管理運営業務や社会体育、中津川運動公園管理、健骨体操事業などを町受託事業で取り組むほか、子ども対象の活動や語学、野外活動など独自プログラムに取り組んでいる。新年度4月から健康増進施設の指定管理受託により、従来の事業費が倍以上になり、Tapの事業展開に期待が集まる。

 町によると、今月末まで受託の苗場福祉会には年間2640万円の委託費で運営を任せ、4月からのTapも同額の委託費で運営を委ねる。ただ、町施設のため修繕費や施設備品などは、町支出と受託者側負担を区別する方針だ。Tap事務局の江村大輔局長は、「本来は施設診断を行い、修繕すべき箇所を洗い出し、それに基づく修繕計画を作り、町施設である以上、その修繕計画に沿って計画的に修繕すべきであり、先ずは施設点検を早急に行いたい。運営プランはあるが、すぐ実行するのは課題があり、徐々に具体化していく方針」と話している。

 同施設には、トレーニング機器やプールなど、健康トレーニングには最適な場所であり、近隣のトレーニング施設の休業もあり、利用者が増加傾向にある。「プールを使った健康づくり、トレーニング需要が多く、活用方法を早急に考えたい」(江村事務局長)として、部分改修なども視野に入れ、施設修繕と含め町に要請する方針だ。なお4月以降は当面、現状のままの運営を行う方針だ。

ゴミ焼却一本化に課題残る、4月から中里・松之山が十日町センターへ  3月11日号
 ゴミ収集・焼却事業の広域化が課題の妻有エリアで、来月4月からゴミ収集の形態が変わる。3月まで津南地域衛生施設組合が業務していた「中里・松之山」地域は、合併時の方針通り、十日町地域清掃センターが業務を行う事になる。このため、津南地域組合が運営するゴミ焼却施設の管理費負担で十日町市(中里・松之山)分がなくなり、津南町と栄村の負担が増えることになる。年額約2千3百万円(修繕費用により増減)が新年度以降、負担増となる。さらに平成30年度までには方針を具体化することになっている「ゴミ収集・焼却の一本化」、十日町地域センターへの一本化が課題になり、今回の負担増で地元行政の取り組み姿勢が問われ、「独立維持」か「一本化」かの選択に迫られている。

 市町村合併前は、津南地域組合は津南町・中里村・松之山町・栄村の4自治体で運営。合併後、中里と松之山が十日町市となり、合併協議で10年後には十日町地域センターに入ることが決まっていた。このため来月4月から、中里・松之山のゴミ収集・焼却は十日町地域センターが行う。津南地域組合とゴミ収集の有料、分別収集の細分化など一部で異なるが、これまで住民説明会を開き、理解を求めてきた。
 一方、津南地域組合のゴミ焼却施設は、平成4年4月から稼働、建設後24年が経過。年間の運営経費は施設修繕の増減により変動があるが、年間約1・3億円を要している。これを人口割、前年度処理実績などで案分し、負担額を決めている。

 4月から中里・松之山が十日町センターに移ることで約38%のゴミが減少する。平年ベースで算出すると約5千万円の負担金に相当する。ゴミ減量による維持管理費の軽減は、施設の稼働条件にもよるが、それほどの減額にはならず、試算では津南町と栄村の2自治体で約2千3百万円の負担増になる計算だ。
 予算段階で見ると、27年度当初予算での負担金は、津南町8990万円、栄村1538万円。これが新年度28年度当初予算では、津南町1億920万円、栄村1889万円と、津南町で約2千万円、栄村で約3百万円の」負担増になっている。
 ただ、課題は残る。津南地域組合の焼却施設は、平日、ゴミ持込みができる。4月以降、これまでのように中里・松之山地域からの持込みも想定される。関係者は「持込むたびに、住所確認するのもおかしい。従来の習慣を変えるのは大変で、増して十日町センターまで搬入するのも、松之山・中里地域の人たちは大変。柔軟な対応が必要では」の意見も聞かれる。

 さらに課題は平成30年度をめどに取り組む「ゴミ収集・焼却業務の一本化」。十日町センターは今年度、延命改修で施設をリニューアルした。これにより津南エリアのゴミ焼却も受け入れる容量を確保し、十日町側では「要請があれば対応できる」としている。
 だが津南エリアには、特別な事情もある。一本化により焼却施設の維持管理費は軽減するが、広範な地域のゴミ収集・ゴミ持込み、さらに最終処分場の問題など、行政レベルと共に住民理解が伴う案件が多くある。4月からの焼却ゴミ収集は中里・松之山は十日町センターだが、し尿処理・火葬場は従来通り、津南組合の使用する。このため津南地域組合の構成には、十日町市はそのまま加入している。このため、構成市町村事務レベルで「専門委員会」を組織し、『一本化』などを継続的に協議・研究している。なお、4月から中里・松之山の焼却灰は、相応量を津南組合の最終処分場に搬入することになっている。

明日へ「生きたコーヒーの味・夫婦で自家焙煎で」  3月11日号
ログハウス風の小さな店が旧川西・商店街通りの菓子工房シェ・ヤマザキの敷地内にある。ドアを開けるとぷーんとコーヒーのいい香りが漂う。店舗面積わずか3坪。ここが地域で唯一の自家焙煎コーヒー豆専門店・mealcraft(ミールクラフト)だ。
     ※
 オーナーは千葉出身でアドバンスド・コーヒーマイスターの資格を持つ盛岡貴裕さん(43)、店長は妻の綾美さん(40)。夫婦二人三脚で切り盛りしている。「コーヒーはコメと同じ農産物で、焙煎されたコーヒー豆は生鮮食品と捉えています。ですから鮮度が大事なんです。『コーヒーは生きているんだな』と感じる瞬間を楽しんでいただけたらうれしいです」と貴裕さんは話す。
 コーヒー豆陳列ケースにはコロンビア、ブラジル、インドネシアはじめ、希少な商品というケニア、コスタリカなどの豆がずらりと並ぶ。二人で考案した香り豊かで飲みやすい越後妻有ブレンド『だんだん』や『じょんのび』、さらに期間限定のブレンド『チェリー・ブロッサム』なども人気だ。
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 隣接する菓子工房は、綾美さんの実家でもある。ふたりは、働いていた東京で知り合って結婚。コーヒーの専門店にもよく足を運んだ。「いつかこんな仕事ができたらいいな」。IT関係の仕事に就いていた貴裕さんだったが、ふたりともそんな思いが募り、開店を夢見ながら5年ほど準備、8年前にオープンした。
 「少しばかりの蓄えを崩しながら、ようやくお客さんも増えてきました」と話す綾美さん。「10年続けて、ようやくスタートラインだと思っています」。
 お客の大半は一般家庭の個人。もちろん地域のレストランなどからの注文もあるが、「売上げの8〜9割は個人のお客さんです」という。それだけに、口コミが大きな力になる。
     ※
 「コーヒーそのものを知っていただく、体感してもらえる場にしていきたいです」と話す貴裕さん。厳しい試験をクリアーして取得した、全国でも2百人余りのアドバンスド・コーヒーマイスターの資格を生かし、「妻有のお土産の代表となるようなコーヒーパックもつくっていきたいです」と胸を膨らませる。あったかなふたりの心がこもったような、そんなコーヒーを。

10代のまなざし「村山拓未さん・十日町松之山分校・18歳」  3月11日号
 卒業証書を受ける時、16人で行った沖縄修学旅行の思い出がよぎった。かけがいのない仲間たちと共有した時間。その愛おしさを感じた。「最高の3年間でした」。
 今月2日、車免許を取得。4月から群馬の専門学校で4年間、車整備士関係を学ぶ。通学にはバイクを使う。そのため今月中に普通二輪免許も取得予定。「車は自分が働くようになってからです」。

 父の働く姿を見て、車が好きになり、進路も自然に車関係へ。「具体的な進路は高校に入ってからですが、整備士の父の影響が大きいです」。4年間、ハイテクが進む車整備関係を学び、在学中に整備士資格を取得する。
 高校3年間、仲間たちとバンドを組み音楽活動した。小学4年時、音楽サークルで出場の大会で、「打楽器の演奏が良かった」と講評され、それが契機で打楽器の楽しさを知り、中学では陸上部ながら自宅で電子ドラムを叩き、高校で4人編成の「スリーノット」を組む。3年時では先輩が卒業したため楽器演奏が得意な先生を誘い、この1年間、バンド活動した。「卒業でバンドは解消ですが、これからも機会があれば音楽を続けたいです」。昨年、バイトで蓄え念願のマイドラムセットを求めた。

 4月からは群馬で自炊生活が始まる。これから今月いっぱい、母の指導で「調理特訓」が始まる。入学式は4月3日。「日頃から父に言われている言葉があります。『努力』です」。父の言葉を胸に、目標に向かう。     (恩田昌美)

キラリ看板娘「上村 沙由美さん・22歳」  3月11日号
 ○…「♪そうよ私はさそり座の女…」、お客さんからよく言われる。「もちろん世代は違いますが、その歌は懐かしの歌謡曲などテレビを観て知っていました。複雑な心境ですね」。高卒後、現在の職場に勤めて4年。事務仕事が大半だ。「仕事の効率を上げるため、エクセルなどもっと上手に使えるようになりたいです。今は顧客管理ソフトに格闘中です」。

 ○…電話では最初に受ける時が多い。「声のトーンとか気をつけています。最初のひと言で、お客さんの反応が変わってくることがありますから」。声のトーンには気を遣うが、恋のトーンはもう一歩。「二十歳を過ぎたら、友だちに恋人ができたとか、結婚が間近だとかいう話をよく聞くようになりました。少し焦りも出てきました」。社業のように、雪をも融かす熱い恋もちょっと夢見て。               (北越融雪)

サンヨ、サンヨ、裸押合い  3月11日号
 ○…残雪にサンヨ、サンヨの声響く―。雪国に春の訪れを告げる十日町の伝統的な祭典「多聞天押し合い祭り」が3日夜、市内川原町の来迎寺・多聞天で開かれた。時折、雨が降るなかサラシを巻いた裸の男衆が「サンヨ、サンヨ」の掛け声の中、境内から投げ入れられる福札や福俵などを激しく奪い合った。

 ○…五穀豊穣、無病息災などの願いを込めて、若者たちが裸で押し合う勇壮な伝統あるまつりで来迎寺の略縁起によると、裸押し合い祭りが初めて行われたのは明治16年と記録されている。来迎寺に安置されている木造阿弥陀如来立像は鎌倉時代後期作、像高42・5a、ベンガラ漆塗(衲衣は漆箔)で、平成8年に十日町市指定有形文化財に指定されている。多聞天青年部の押合いが始まると熱気は最高潮に。「サンヨ」の声で十日町地域は本格的な春を迎える。

バイクで配達、女性郵便局員  3月11日号
「こんにちはー。郵便でーす」。元気な黄色い声が響く。独居世帯や郵便受けに入らない郵便物がある場合は、声をかけ住人を呼んで手渡すからだ。「誤配のないよう気をつけるのが一番です。玄関近くに家の人がいれば、必ず挨拶しています」、そう話す元気な女性郵便配達員だ。
     ○
 十日町・津南地域の集配6郵便局で、バイクによる郵便配達員は150人余り。うち女性配達員は3人だけで、原付バイクでなく110tのバイクに乗って颯爽と配達しているのは村山さんだけだ。「土市地域を中心に配って3年になります。今月からは市街地も配ります。配達作業はよい運動にもなるので、風邪もひかず健康につながっているようです」と『配達効果』を話す。
 半年ごとに更新となる期間雇用社員だが、すっかりベテランの域、信用度も高い。「でも時々、転んだりもするんです。大きなケガをしたことはなくアザができる程度だけど、よくステップやミラーなど曲げちゃっています」と笑う。期間雇用とはいえ配達は夏場だけではない。冬も社員と同じように配達する。「脇道は雪が残るので、バイクを置いて歩くのが多くなるんです。時間もかかるし、体力も使いますね。この冬は暖少雪で動きやすくて助かりましたが、昨年は大変でした」。
     ○
 夏場にこんな出来事があった。いつも通り配達していると、ある民家の玄関にヘビがいた。しかしよく見ると、動く気配はなくどうやら死んでいる様子。
 近くにいたおばあちゃんは「おらやだて。父ちゃんもやだと言って何もしてくんねんだ」と言う。「仕方がないので、私がスコップを借りてすくい取って近くの川に流しました」。それ以来、『強いお姉さん』のあだ名が付いたとか。「配達地域の人と顔見知りになっていますので、配達以外でも何か役に立つことがあればと思っていたのでよかったです」。
    ○
 部屋の壁紙を張り替えたり、ペンキを塗って雰囲気を変えたりするのが好きで、その度に小学2年の男児と保育園年長の長女の子ども2人が喜ぶ。いわゆる『職人気質』だ。しかも「料理を作るのも余り好きじゃないんです」と言い、夕食などはほとんど夫が担当しているという。
 そんな『元気印母ちゃん』、今日も笑顔を振りまきながら赤いバイクに乗って配達だ。

桜1000本寄贈、日本さくらの会がNGP津南へ、5月末に植樹祭  3月4日号
 ◎…国内に300万本、世界60ヵ国に寄贈活動を続ける公益財団法人・日本さくらの会(本部・東京新宿区)から津南町のニュー・グリーンピア津南に1000本の桜が寄贈されることになった。同会評議員で東京新潟県人会副会長で弁護士の春日寛氏(東京十日町会長)の橋渡しで実現した。5月末に同津南で植樹祭を開く予定で、先月26、27日選出されたばかりの「日本さくらの女王」「日本さくらプリンセス」や春日氏、同本部関係者が来訪し、樹高3・5bの桜を植樹する。同津南の樋口明社長は「大変ありがたいことです。広大なエリアに満開の桜、夢が広がります」と喜んでいる。

 ◎…同さくらの会は1964年設立。歴代の衆院議長が会長を務める。67年から毎年、桜苗の寄贈活動を続ける。申請受付で審査し、今年度は全国196ヵ所に2万3千本を寄贈。東日本大震災復興にも支援。さらに2年に一度、さくら女王とプリンセスを選出し、世界各国や国内の行事や啓発活動などの親善大使として活動する。その選手大会を先月26、27日、東京・ニューオータニで開催。全国から137人の応募で1次選考を通過した26人が公開本選会へ。2日間の選考大会はドレスと振袖審査、さらに同会評議員の春日氏や日本交通社長ら5人の審査員による質問。国際親善が伴い、英語力が求められる。

 ◎…審査員の尾崎行雄記念館長で尾崎行雄の孫・原不二子氏は流暢な英語で質問。審査員からは社会問題、国際情勢、日本的なおもてなしとはなど、多分野に渡って質問。会場には一般150人余も来場、緊迫の審査を見守った。女王候補は18歳から23歳の学生で、中には3ヵ国語を話す国際派やスポーツ万能など多彩な人材が揃った。

 ◎…結果は、さくら女王1席に、カナダ留学後、米国の大学医学部をめざしたが帰国。北海道大歯学部2年の増田愛子さん(22・愛媛・松山市出身)、「国境なき医師団の一員となり世界で働きたい」。女王2席はデンマーク留学経験を持ち、英語、デンマーク語、ドイツ語が堪能な早稲田大国際教養学部3年の山下ひまわりさん(21・東京世田谷出身)、「外交官をめざすために多国語を学んでいます」。さくらプリンセス1席は下野侑紀さん(19・国際基督教大アーツサイエンス学部2年・兵庫出身)、プリンセス2席は染矢智美さん(21・慶応大法学部・神奈川出身)が選ばれた。審査好評では「この選考会は日本のリーダーを輩出する場になっている」と有望な人材に期待した。桜寄贈を橋渡しした春日氏は「地域の役に立てれば嬉しい。植樹祭には女王も出席する」と話している。

写真・桜寄贈を橋渡しした春日寛氏(左)とNGP津南の樋口社長(右)。さくら女王の増田愛子さん(左から3人目)と山下ひまわりさん(右隣り)2月27日、東京・ニューオータニで

「できれば県立県営で」、十日町病院運営で関口市長  3月4日号
 県立十日町病院は今年5月2日、建設中の外来病棟が完成し、部分開業するが、関心が集まる運営主体が29日の県議会で取り上げられた。質問に対し県病院局・若月道秀局長は、入院病棟が完成、全体開院する平成32年度までは病院局が運営、つまり県営のまま行い、「平成32年度をめどに安定した医療サービスを提供できる主体を検討する」と方針を示した。

 県立十日町病院は、12年前の2004年10月23日発生の中越地震で深刻な被害を受け、震災翌日に就任した泉田知事が改築方針を示唆。一昨年7月着工し、改築中の外来病棟は5月2日に開院。この間、運営主体は「公設民営」方針を泉田知事が示し、厚生連で具体化しかけたが実現せず、以降は地域要望で根強い『県立県営』を求める流れになっている。
 県会では自民・富樫一成氏(胎内市)が「整備基本計画で『27年をめどに運営主体を決定する』となっているが」と質問。県病院局・若月局長は「当分の間、病院局で運営」とし、全体開院の32年度までに運営主体を具体化する方針を示した。

 この県方針について地元十日町市の関口市長は1日の定例会見で質問に答え、「県の病院であり、泉田知事の公設民営方針は大事であるが、我々としては、医師募集など様々な課題を考えると、できれば県立県営のまま運営していただくのが、経営の安定性の面でも大いに寄与するのではないか」と、県立県営の維持を明確に述べている。
 さらに、「県立加茂病院の改築は、県立という枠組みの中で検討されており、この事も県当局に話していく必要がある」と他の県立病院改築の動向と合わせ、十日町病院の県立県営継続を県に要請する方針だ。

写真・2014年7月10日の十日町病院改築起工式で

「原発問題、解決は泉田知事で」 3月4日号
 今年10月24日任期満了を迎える泉田裕彦知事は29日の県議会で一般質問に答え、「道半ばの施策も多々ある。これまでの県政運営を含め、いま一度県民の皆様に信を問いたい」と事実上の出馬表明を行った。再出馬で関心が集まるのが『原発問題』だ。

 県議会の議事録などによると、柏崎刈羽原発の再稼働について泉田知事は「その是非を判断する場合、安全性が最大のメルクマール(指標)となる。県民の生命や安全、財産を守ることを最優先すべきだ」と判断基準の一端に言及している。さらに「観念的に『脱原発』と言ったことはない。『安全が確認できても再稼働の論議はできない』とは言っていないし、その考えに変わりはない」と、再稼働推進の自民系を意識した微妙な言い回しをしている。

 この発言に原発再稼働反対派からは「後退した」、「いや知事選を意識した言葉で基本部分は変っていない」など受けとめ方が分かれる形になっている。原発から30`圏の十日町市・関口市長は、「なんらスタンスは変わっていない。(再出馬を私は)支持する。原発問題は泉田さんに任せるのが一番いい」と、再出馬支持を表明し、原発問題には泉田知事と連動していく方針を示した。
 今年10月16日予定の県知事選は、いまのところ新人出馬の動きはない。今度の知事選の最大争点は「原発問題」。特に再稼働論議が焦点になる。それだけに泉田知事は、県議会の質問に対し言葉を選んで答えた。

 この答弁について関口市長は、「(原発に対し)もっとも厳しいスタンスを取っているのが泉田知事だ。それは変っていないと思う。要は泉田流の文法というのか、不思議な世界であるが、言っていることは正しい」。
 さらに、同市長は知事発言を捉え、「脱原発とは言ったことがないとか、再稼働反対と言ったことはないというのは正しいし、実際言ったことがないのは事実だろう」。今回の発言で「そう言ったからといって、東京電力に対する追及のレベルが低下することは、泉田知事の場合ないだろう。今回は政治的な発言と思うが、本質的にはなんら変わっていないと私は思う」と見ている。

キラリ看板娘「小海和菜さん」 3月4日号
 ○…「お客さまから『また来たい』と思われるよう接客に務めているつもりです」。食堂が中心の接客係。笑顔と、そして「席に着いたお客さまを余り待たせないよう心がけています」。仕事に就いて3年ほど。学生時代からだ。「本当は人見知りで接客は苦手だったんです。でも顔なじみのお客さまが増えて、挨拶を交すうちに馴れてきました。もう初対面の人でもふだん通りに応対しています」。

 ○…家にはハムスターの『モルツ』と生後4ヵ月余りの子猫『ミオ』。ビールと日本酒の名前から名付けた。「そんなに飲むわけじゃないけど、お酒は好きだから。モルツはビールの缶と同じ色だったんです」。じゃれついてくるミオ。「一緒に寝るのが一番の楽しみになっています。とってもかわいいし、とってもあったかいんです」。
 (ごはん屋あぜみち)

弥生の表情「卒業、おめでとう」  3月4日号  
「探究心が強い君は大学進学はベストな選択だったと思います。一歩踏み出すことによって道が拓かれます。活躍を願っています」「入学当初は表情が固かったけど、芯の強さを感じました。笑顔を大切に自分の道を切り拓いていって下さい」「困っている人に寄り添う優しさがありました。きっと職場でも愛されキャラになることでしょう」「1年生の時の欠席1日を除き、4年間の精勤は立派でした。4月からは職人としての技術を身につけていって下さい」「過酷ともいえる早朝5時からのバイトと学校生活をこなした君には頭が下がります。きっと職場でも頼りになる存在になるでしょう」「文字や言葉が苦手で苦しんだと思いますが、目で捉えた画像を絵や立体で表現することについては特殊ともいえる能力が備わっていました。その能力の開花が楽しみです」卒業、おめでとう。

 県立高校の卒業式シーズンを迎えている。十日町、津南地域の高校卒業式は2日から行われ、最多は十日町285人(前年295人)で、5期生が卒業する津南中等校は68人(同67人)。各校の卒業式日程と卒業予定数は次の通り。
 2日◆十日町高定時制(鈴木重行校長)午後4時、卒業予定20人(男子15、女子5)
 3日◆十日町(鈴木重行校長)午前10時、同285人(同137、同148)◆十日町総合(霜鳥孝幸校長)午前10時、同150人(同53、同97)
 4日◆松代(小池和公校長)午前9時半、同63人(同28、同35)◆川西(滝澤卓校長)午前9時半、同57人(同31、同26)◆十日町高松之山分校(鈴木重行校長)午前10時、同16(同7、同9)
 17日◆津南中等教育学校(遠間春彦校長)午前10時、同68人(同29、同39)。

東京五輪へ大きな一歩、服部勇馬選手(中里出身・4月からトヨタへ)  3月4日号
 東京五輪に向け大健闘の走り―。今夏のリオデジャネイロ五輪代表選考レース・東京マラソンが28日に開かれ、五輪出場をめざす中里出身の服部勇馬選手(東洋大4年)が初マラソンながら30`過ぎで一時、日本人トップに立つなど大健闘。最終盤で抜かれたものの日本人4位でゴールした。

 今年1月、五輪の登竜門でもある箱根駅伝に東洋大のキャプテンとして出場、エースが揃う花の2区で区間賞をマークするなど活躍し、大学時代からフルマラソンへの挑戦をめざしていた。東京マラソンは昨年の大会に出場する予定だったが、アキレス腱痛で断念、その悔しさを胸に今回の大会に挑戦した。
 レースでは、中盤まで日本人2位グループに付け、30`付近で一気に抜け出して快調に飛ばすと、日本人トップだった大学時代のライバル・村山謙太選手を捉え、一気に引き離した。沿道の声援に応えガッツポーズを見せるなど日本人トップでのゴールが期待されたが、35`過ぎからパワーダウン、マラソンの厳しさを味わった。

 勇馬選手は、ゴール直前にもライバル勢に抜かれ、タイム2時間11分46秒の日本人4位だった。インタビューに応え「残り7`、力不足と弱さが出てしまった。ようやくスタートラインに立つことができたので、次のマラソンに向けしっかりやっていきたい」と話し、夢の東京五輪出場に向け意欲を見せている。


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