津南町の観光拠点、ニュー・グリーンピア津南とマウンテンパーク津南が大きな転換期を迎えている。共に町有施設で公設民営。10年間の業務委託は、マウンテンパークが3月末で、ニュー・グリーンピアは今年9月末で契約満了となる。津南町・上村憲司町長は、両観光拠点の今後の運営方針を具体化するため、4月から専任担当の非常勤特別職「参与」を設置。先月末まで観光・産業関係を統括した地域振興課長・石橋雅博氏を参与に任命し、「マウンテンパーク津南、ニュー・グリーンピア津南、町内温泉施設、ホワイトデータセンター」など『特命事項』を担当。その第一弾となるマウンテンパークは、先月末で契約満了した民間運営会社「クロスマイル」と9月末まで6ヵ月間限定で4月1日に契約。石橋参与は「委託費はゼロ。クロスマイル側からの強い要請があった。6月には10月以降の経営体制を具体化させる」と方針を話している。
町はこの方針を7日の町議会全員協議会で説明した。3月末まで10年間、業務受託した「株式会社クロスマイル」(梅邑太郎社長)。町は当初、同社との契約更新の意向は全くなかった。特に上村町長は「現状のままの更新はありえない」と、同社のこれまでの経営実績に疑問を抱いていたが、「クロスマイルから強い要請があり、4月以降、町が管理する費用を考えた時、限定期間だが委託した方が町財政的にも有利」(石橋参与)と判断し、9月末までの業務委託を決め、今月1日、クロスマイルと契約を交わした。
ただ、前年度までのように委託費は出さない。「すべて自前で行うという条件。ボイラー故障などで営業できなくなった場合、その時点で打ち切りもあり得る」(石橋参与)と厳しい対応も視野に入れている。
今後について石橋参与は、3つの選択肢があると説明。『ロッジとスキー場の継続経営』『ロッジだけの経営』『廃止』。民間コンサルに調査依頼し、その資料データなどから方針を判断すると共に、クロスマイルを含む民間2社から新たな経営計画が提出されており、「6月には新方針を決めたい」としている。
一方、地元雇用や地域経済に大きな影響を持つニュー・グリーンピア津南は、今年9月末で10年間の契約満了。町は受託する『津南高原開発株式会社』(松崎和秋社長)に「経営継続」の方針を条件提示で伝えているが、そこに大きな条件を付記している。それは「修繕費捻出の賃借料」と「社長交代」だ。
先月初め、上村町長と担当課長(石橋参与)は松崎社長ら同社幹部に10月以降の運営方針を伝えた。開業30年が経過する同津南は今後、大規模な施設修繕が求められ、町財政とも関係し、『賃借料=修繕費』的な費用が求められる。これは営業利益アップを求めていることでもある。この日、町は後任の社長候補を提示した。
津南町と津南高原開発は『大家と店子』の関係。町有施設のニュー・グリーンピア津南は公設民営で津南高原開発が受けているため、民間会社の津南高原開発の経営方針に、出資者でない町は「口出し」できない。だが今回町は『津南町の命運を握るニュー・グリーンピア津南の今後は、町にとって最大の重要事項』と契約期間の満了前に、あえて今後の経営方針・運営体制の考え方を示すことで、同津南の重要性を強調している。
この社長交代は7日の議会全員協議会で出た。同津南の今後を担当する石橋参与は、後任社長候補の氏名を上げて説明した。本紙の取材に対し、「この10年間の津南高原開発の実績、さらに松崎社長の経営は高く評価する。松崎社長は光善会(株主で首都圏で福祉施設経営)の理事長であり、津南と東京の行き来は大変であり、10年を節目に新たな経営者を迎えることで、さらに発展的な経営を期待したい」と説明した。
今月1日、津南高原開発の取締役会を開き、町の意向である社長交代、後任人事などが報告されたが、津南高原開発は「あまりにも唐突であり確認事項が多々あり、町に確認を求めている」と町からの回答を受け、社内協議を経て方針を決める意向だ。
津南町が招聘を予定する後任者は現在、石川・白山市の白山スキー場を経営する株式会社スノーエリアマネジメント社長の加藤正夫氏(60・湯沢町)。ナスパニューオータニ総支配人室長や長野・竜王スキーパーク総支配人、さらに北海道・ウィンザーホテル洞爺湖参与などを務める一方、スキー関係では北陸信越索道協会会長代行、石川県スキー場協会長などの役職を務める。
今回の津南町の方針を津南高原開発がどう受け、対応するかが注目される。
6月末の株主総会前の役員会で方針を決める意向で、町方針通りに進むと取締役会で新体制が決まり、7月から新社長就任となる。松崎社長は「私は6月で退任となるが、後任は地元津南町の方が引き継ぐ形が良いと考えている」と話し、町方針とは一線を画している。今後の両者の話し合いに関心が集まる。