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2014年02月の津南新聞「トピックス」

過去の津南新聞トピックス
「28度超」検証で100d放流、水温抑制が増量根拠に  2月28日号
 発電用水の不正取水で5年前、水利権取り消し処分を受けたJR東・宮中取水ダム。『信濃川のあるべき姿』を調査・検証するため、暫定的な水利権(5年間)による試験放流調査は今年最終年を向かえる。その放流方法を決める国の第25回信濃川中流域水環境改善検討協議会が25日、十日町クロス10で開かれ、地元十日町市が要望した「変動放流の継続」が決まった。さらに、魚類の生死の境とされる「水温28度」への上昇を抑える調査を行うため、真夏に毎秒100d放流が実現する。この100d放流の成果が、試験放流後の本放流に大きく影響する。「納得いくまで100d放流を検証する」と関口市長は語る。水利権の期間更新による6年目以降の『川の流し方論議』で、100d放流の成果が大きなカギを握る。その成果が放流増量に結びつくことになる。
 
 25日の協議会では、試験放流をチェックする第6回宮中取水ダム試験放流検証委員会の方針をそのまま決めた。地元十日町市はこの検証委員会に『流況型変動放流の継続』を決めるよう働きかけ、同検証委員会の報告書に、「1年では調査検証できない」という表現の盛り込みを実現。その方針のままに協議会でも決まった。この方針を強くバックアップしたのは、同検証委員会・同協議会委員である大熊孝・新潟大名誉教授。「少しの変化は見られるが、1年では効果が検証できない」と、変動放流継続の必要性を強調し、十日町市の方針を後押しした。

 この変動放流は、以前から大熊教授が推奨する放流方法。「(ダムからの放流は)自然の川に近づけた状態で川に水を流す」ことが最大のねらい。4年目の試験放流で初実施した変動放流は、河川環境に取り組む全国の関係者の関心を集めた。
5年目の変動放流は前年と同様に、4月1日から11月30日の間、ダム流入量毎秒85dから380d超を6段階に分け、前日の流入量に応じ翌日毎秒50dから100d放流する。ただ、秋のサケ遡上期は固定放流の場合もある。

  
 変動放流の課題は「夏の渇水期」。5年目の試験放流の協議にあたり、十日町市が問題視したのが「水温28度越え」の対応。魚類にとって28度は「生死の境」といわれるため、真夏の水温上昇を抑える取り組みとして試験放流への導入を要望。検証委員会・水環改善協議会の両委員である大熊教授との連携もあり、5年目の試験放流で『真夏の100d放流』が実現した。
 100d放流の放流方法も決めた。25日の協議会での信濃川河川事務所の説明によると、過去4年間のデータから、気温31度を越え、宮中取水ダムの水温25度を超えた場合、下流域に28度を超える流域が生じることが判明。「28度越えが想定される場合、100d放流を行う」と方針を示した。期間は7月26日から9月5日まで。これまでの調査で28度超えの日数は一昨年が23日間、昨年は9日間だった。

 地元要望が受け入れられた関口市長は「(西大滝ダム下流など)上流域では28度を上回ることがないなか、今夏の調査での100d放流の意義は大きい。河川事務所は納得いくまで行ってくれるということで、数字でどれだけ実現できるのか、重要な調査になる」と大きな期待感を示す。
 夏の渇水期の100d放流で、水温上昇を抑える効果が出れば、夏場の放流増量が要望できる。これにより試験放流後も変動放流が実現すると、春先の雪解けによる増量、夏の渇水期の水温抑制放流、さらにサケ遡上期の固定増量と、春から初冬にかけて相当量の放流増が実現することになる。 その意味でも、今夏の「100d放流」は、大きな意義を含んでいる。

市民主導の第三機関を、信濃川水問題で、『みんなの会』が  2月28日号  
 長年、発電用水の取水が続き、かつての河川環境を取り戻す運動に取り組む「信濃川を愛するみんなの会」は25日、市役所で緊急会見し、JR東信濃川発電所・宮中取水ダムの試験放流が最終年5年目を今年向かえるなか、来年の「水利権の期間更新」を視野に、流域住民主導による「第三者機関」の設置を掲げた。水利権の期間更新も「川は生きている。最長の20年間固定は問題がある」と、水利権の設定にも言及している。

 同会は2007年結成。5年目の試験放流方法を決める協議会は25日開催。その午前中、市役所記者クラブ室で会見。「5年目の試験放流が決まるこの日に、今頃こうした会見を開くことはおかしいとする声もあるが、信濃川の河川環境の改善のためには、流域住民がさらに声を上げることが必要」と、9項目の要望を説明した。
 なかでも河川環境を日常的にチェックする住民主導の「第三者機関」の設置を強く求めた。「いまの十日町市のあり方検討委員会、国の検証委員会とは一線を画す市民主導の第三者機関が必要」と専門分野の研究者、市民などによる組織の必要性を述べた。

 さらに、『水利権の期間延長』に関係し、「上流も下流も川は一体のもの。4年間の試験放流では『大きな変化なし』の報告だが、試験の期間が短すぎる。さらに継続的な調査活動が必要であり、固定的な水利権の期間更新は問題だ」と、事業者が申請できる最長20年間の期間更新には、強く反対する姿勢を見せた。
 元高校教諭で現在は自然観察指導員の同会・高梁洋一共同代表は「上流、中流、下流の流域全体で信濃川の河川環境を考える運動を広めたい」と同会の会員を増やし、流域全域の住民運動に広げたい考えだ。

明日へ「夫婦で取り組む山菜・うるい栽培」  2月28日号
 背丈をはるかに越える雪壁が道路両側に続く。津南町中子。道路沿いの鉄骨づくりの栽培所では、淡い浅黄色の芽が、顔を出している。「うるい」。タラノメ、ウド、コゴミなどと並ぶ人気の山菜。15年前から取り組む半戸康弘さん(75)、英子さん(70)夫婦。今季も2月初めから出荷している。

 しゃきしゃき感が、たまらない。セロリほど硬さはなく、レタスより歯ごたえがある。「とにかく、食べてみないと、このしゃきしゃき感は、伝わりませんね」。食生活改善活動に長年取り組み、手作り豆腐にも取り組んだ英子さん。長年、食べているが、この食感の良さに惚れ込んでいる。「毎日食べていますが、あきませんね。お酒のおつまみにも最高ですよ」。

 冬場の仕事にと、山菜栽培に夫婦で取り組んだのは15年前。「いろいろやったね。結局、労力的にも、施設的にも、うるいが一番だったな」。研究熱心の康弘さんは、試行錯誤を繰り返し、『コストをかけない』を第一に取り組み、時間がたっぷりある冬場の仕事作りとして山菜栽培に取り組む。

 スタートは、「タラノメ」と「うるい」だった。知名度が高いタラノメは、人気は高いが、労力的にも設備的にも、将来的な課題が多いと考え、「うるい」に絞った。10年前、仲間に呼びかけ「津南うるい生産組合」を立ち上げた。現在、8人のメンバーで約20eを栽培、年間20dを出荷している。そのブランドは『つなん雪肌うるい』。

 幸いしたのは、タラノメ栽培で建てた作業所を、そのまま栽培所に活用できた。さらに、米作りで出る「もみがら」を栽培床に活用し、4月末の栽培終了後は、使ったもみ殻は田んぼの肥料になるなど、無駄なく資源を循環活用している。
 12月に畑で育てた株を栽培床に移植し、約30日後、芽が出る。「雪肌うるい」の特徴は遮光栽培で、浅黄色のきれいなうるい。「緑化して、見た目の良さにも取り組んだが、食味に課題があり、遮光しての軟化栽培の方が、旨味が増す」。さらにコスト減のため、トレイ入りをやめ、袋入りに統一。 
 「主婦感覚では、あのトレイはゴミです。余計なゴミは出さない、これが大切と思います」。英子さんの生活実感が、商品価値を生んでいる。

 4月末まで、栽培・出荷が続く。「続けられることが第一です。関心がある方も多く、いろいろな方が訪ねてきますが、継続できることが大切ですね」。料理方法もアドバイスする。春の味、この食感、やっぱり、食べてみないと伝わらない。
                 (恩田昌美)

世界認証で市場評価アップ、グルーバルGAP、津南の割野きのこ組合が  2月28日号
 世界的に生産工場や品質安全を認証する「GROBAL・GAP(グローバル・ギャップ)」を昨年5月に取得した津南町の「割野きのこ」(小林一男組合長)に26日、同認証機関の本部があるドイツから審査官が訪れ、認証後の業務管理などを審査した。
 グローバル・ギャップは、世界の主要70ヵ国をカバーする世界的な認証機関で、その管理機関「インターテック」の本部がドイツにある。26日は、本部から審査官のハイコー・ザラー氏、日本国内の認定事業所を審査・管理する専門機関から審査員の内田修一氏らが同組合を訪れた。

 審査は、業務の安全・安心、生産工場の衛生環境、さらに労務の安全性など主要4項目の細部にわたり1日をかけて審査。ザラー審査官は、なめこ生産の施設やカット・袋詰めなどの製造ラインをチェックし、小林組合長などから説明を受けながら、製造の全工程と従業員管理、労働環境などをチェック項目に沿って審査した。
 ザラー審査官は「この認証を受けることは、国際的に高い品質であるということを証明するもの。世界に通用する品質である」とグローバル・ギャップの意義を話す。さらに「東京から新幹線で1時間ちょっとでまったく別世界に来た。驚きの世界が広がっていた。この自然豊かな地で生産される物には、魅力を感じる」と雪国に驚き、雪深い中で生産される同組合の産物に関心を示していた。 

 昨年5月の認証取得後、初めての審査を受けた小林組合長は「生産のすべてにおいてレベルを上げることが、安心で良質な商品を届けることになる。世界トップの認証を得ることは、最高の安心感を提供すること」と話す。イオングループのワンランク上の商品として流通し、年間約230dを生産する。なお割野きのこ組合は、2008年3月に国産安全きのこ認証を受け、2011年4月にJASリーファースを取得、同年6月にJGAPを受けている。

写真・ドイツ本部から訪れた審査官(右)が工場内を調査する

きもので百人一首、小学生も参加  2月28日号
 ○…「はい」、大きな声が会場に響いた―。十日町市の『万葉の会』(井口カズ子会長)が主催する「百人一首を楽しむ会」が22日、クロス10十日町で開かれた。会場にはきもの姿で参加した小中学生らの姿も見られ、華やいだ雰囲気の中にも熱気が。幼児から高齢者まで83人が参加し、札取り合戦を繰り広げた。

 ○…日本の伝統文化である百人一首を楽しむ機会をと開いて今回が9回目。予選で70枚も取った加藤里夏さん(十日町小4年)は「去年は2位だったので今年は1位をめざしたい」と小学高学年の部に入りながらも大張り切りだった。
 結果は次の通り。
 ▼幼児@村山壱(北越保育園)A中村源太(同)B庭野瑠唯(同)▼小学1〜3年@高橋泰成(十日町3)A山口瑞貴(西2)B大塚心晴(魚沼市・2)▼同4〜6年@中村小春(十日町5)A大塚麻由(西4)B加藤里夏(十日町4)▼一般A@中村俊太(十日町高)A中村久(十日町市)B目黒フサ(魚沼市広神)▼同B@中村宣之(十日町小6)A大塚美奈子(魚沼市広神)B山本美代(同)

冬のモニター観光ツアー、秋山郷の女性らが  2月28日号
 ○…冬の秋山郷で雪遊び体験を通し、都市部住民の反応を探る「栄村復興プロジェクトモニターツアー」は22、23日、秋山郷小赤沢で開催。JTB中部と栄村振興公社が連携し実施。山ガール向け雑誌『ランドネ』で募集すると120組の応募があり、抽選で関東在住の10組20人が当選。うち20〜30代の女性11人が冬の秋山郷を訪れ、かまくら作りなど雪遊び、地元民宿での郷土料理など堪能。同公社では豪雪活用の冬季体験プログラム策定を計画。今回の利用者アンケートは今後のプラン作成に活用する。

 ○…JTBと組んだモニターツアーは2回目。昨年11月は中高年を対象に行った。22日は小赤沢地内で地元住民10人余と共にかまくら作り、キャンドルライト設置などで雪遊び。千葉・柏市から友人と訪れた松村紀子さん(32)は積雪3b余の豪雪地で住民が当たり前に暮らす姿にびっくり。「冬は仕事とか暮らしとかどうなっているか知りたくて来ました。実際に訪れると、本当に雪が多い。めったにできない経験です」と興味深そう。一方、地元小赤沢在住で体験に協力した山田裕樹さん(25)は「秋山郷にはなかなか若い方は来ません。東京で雪が降りましたが、豪雪地を知って貰うのは都会の人には良い経験だし、地元は賑やかになるのでいいですね」と共に雪遊びを楽しんでいた。

雪のアート、もやは一級の芸術品、十日町雪まつり  2月21日号
 ◎…「これは、もはや芸術品。スノーアート・フェスティバルだ」。今年も見事な雪像作品が市内各所に誕生した第65回十日町雪まつり。昨年より5点多い76点の雪像が創られた。地域やグループ、職場など2週間前後をかけて製作。審査対象の36作品は力作が揃い、20人の審査員は14日午後5時から深夜午前零時過ぎまで厳正に審査した。最優秀の市長賞は「年賀状」(あてま有志の会)、「ホワイト・プリンス〜魔法の絵本〜」(アウト・ドア・ファミリー4クラブ・新座)の2点。年賀状(写真上)は「発想が良い。きれいな仕上がりも素晴らしい」と審査評。ホワイトはメルヘンの世界を創出。前年優秀賞の実力で、きめ細かな刻みで、今にも動き出しそうな童話の世界を創り上げた。

 ◎…雪不足で作品作りは苦戦した。審査員からは「少ない雪で、ここまで見事な作品を作りあげる十日町の人たちはすごい。雪まつりの伝統を感じる」と絶賛していた。ただ今回の雪まつりは、14日以外は大雪となり、素晴らしい雪像の鑑賞時間は短かった。審査員からは「その年の最優秀作品を夏まで保存できないか」などの声も聞かれるほど、見事な作品が多かった。

写真・市長賞を受賞した「年賀状」。製作は「あてま有志の会」 サンタ・クリエイト撮影

10代のまなざし「石澤奈津樹さん・津南中学2年」 空手で心身鍛える  2月21日号
 あれから半年、ちょっとだが、自分の変化に気づいている。昨年9月から空手に取り組む。毎週月曜夜、大割野の道場・拳心館に通う。道場には小学生も通うが、月曜の練習日では一番若い。午後10時まで、基本的な動きや相手との組み手など練習する。「祖父がやっていたようですが、見たことがありません。護身術を学びたいと思って始めました」。ネットのユーチューブなどで見た時、女性の空手もあった。「かっこいいと思いました。練習は、最初は大変でしたが今は楽しいです」。

 礼に始まり、礼に終わる、その通りの武道。毎夜、お風呂上りの柔軟体操を日課に、自宅でも体作りに取り組む。「集中することの大切さを、空手で学んでいます。勉強の時に役立っています」。空手を始めて半年、少しずつ自分が変わってきていることを感じている。  「動」の空手、一方で「静」にも取り組む。小学4年からの吹奏楽活動。トランペットからホルンに担当楽器は変わったが、津南中吹奏楽部の副部長として、3年生が抜けた後の1、2年部員を部長と共にまとめる。「新学期には、1年生からいっぱい入ってほしいです」。吹奏楽の演奏にも、空手の呼吸が役立ち、相乗効果となっている。

 心身ともに鍛えている先に、大きな目標を見ている。「看護師が不足していると聞きます。少しでも役立てたらと思います」。その目標は、看護師になること。同職の叔母の姿や病院で接する看護師の優しさと大切さを感じている。「人に役立つ仕事だと思います」。空手も吹奏楽も、『自分を鍛えてくれます』。 
                       (恩田昌美)

秋山郷で雪崩が民家に、2世帯が避難  2月21日号
 関東甲信地方は15日から記録的な降雪で大混乱が発生するなか、大雪は秋山郷にも影響。15〜16日朝までの24時間降雪量は計123a。固く締まった雪の上に水気の多い新雪が一気に降り積もり、表層雪崩が続発。屋敷地区の秀清館、かじか荘まで雪崩は押し寄せ窓ガラスが数枚割れるなど破損、2世帯が一時避難。さらに矢櫃地内のケーブルテレビの架線が15日早朝に雪と風により切断され、秋山地区110世帯全戸でテレビ・ネットが18日まで3日間使えなくなるなど被害が出た。

 14日未明からの連続降雪で栄村は15日12時半、雪崩危険で屋敷地区(30世帯57人)に「避難準備情報」を発令(18日正午解除)。同日夕、雪崩危険で2世帯5人が「のよさの里」へ一時避難(18日午後3時全員帰宅)。栄村秋山郷には宿泊者8人がいたが帰宅困難となり、宿泊日を伸ばすなど影響。さらに屋敷地区の秋山小教員住宅車庫や民家車庫が雪崩で破損。一方、17日正午頃、津南町結東地内で倒木のため国道405号線が5時間余全面通行止めとなるなど、一時孤立する事態も発生。自宅わきの車庫が一部損壊した山田輝一さん(81、屋敷)は「普段の軽い雪と違い、今まであまり経験のない水っぽく重い雪が一気に積もった。平成18豪雪時でも車庫までは雪崩は来なかった。降り続かなければいいが」と話した。

懐かしい「ごつつお」、津南で伝統料理を提供  2月21日号
 ○…昭和30年代頃まで冠婚葬祭時に振る舞われた「お膳」の精進料理。地域の食風習を次代に伝えたいと、津南町中深見の「ごっつぉ市・段丘風の郷生産組合」(富沢春江代表)では16、19日に料理教室を開催。今回は反里口集落で葬式時に実際に作っていた料理を再現。いくつもの椀をお膳に並べ、15人余が伝統食を再確認した。

 ○…つぼ(煮っ転がし)、からみ(きんぴら)、あまや(ゴマの白和え)などがお膳に並ぶ。肉や魚はなく、野菜の煮物や豆富などがメイン食材。漆塗りの一式を蔵から出し提供した中沢千恵子さん(66、中深見)。収納箱には『昭和38年に購入』と書いてある。「30年前まで使っていました。漆塗りを傷つけないよう絹のような布でふき、大事にしていました。久しぶりに使い買ってくれた亡き祖父母も喜んでいると思います」と嬉しそう。

 ○…和食のユネスコ世界無形遺産に認定で再評価が高まる現在。富沢代表(65、船山新田)は「家庭にはまだお膳が多く残っています。でも作る機会がなく伝統は失われつつあります。水、米、野菜に恵まれた津南。体にも良い郷土の精進料理を次代に繋げたい」と想いを話す。ごっつぉ市では予約制で精進料理(4人以上、一人前1500円)を提供、冠婚葬祭時の配達も行う。希望者には講習会を随時開く予定だ。同市рO25(765)5715。

きもの女王、長津さんが3人に  2月21日号
 ○…第3代きもの女王決まる―。18歳から63歳まで46人の応募の中から12人が本審査に出場した十日町きもの女王コンテストが十日町雪まつり最終日の16日、クロス10で開かれ、3人の女王が決まった。それぞれ「とてもうれしい。十日町の親善大使として地域をアピールしていきたい」と語った。初の外国籍での挑戦となり、本選に残って関心を集めたアメリカ人女性は選ばれなかった。

 ○…きもの女王に選ばれたのは、熊本市出身で新潟市中央区のドレスコーディネーター・浦田茉莉さん(30)、十日町市川治出身で川口市在住の栄養士・長津典子さん(25)、長岡市出身で新潟市西蒲区在住の遠藤実記念館勤務・志賀杏奈さん(21)。3月に挙式を迎えるという浦田さんは「外から見た目線で精一杯努めたい」と話し、長津さんは「おばあちゃんに買ってもらった振袖。この姿で選ばれてうれしい」と喜んだ。また志賀さんは「涙が出るほどうれしい。十日町にはよい観光地があるので勉強してアピールしていきたい」と抱負を語った。

写真・きのも女王に選ばれた志賀さん(左から)長津さん、浦田さん

最終5年目も変動放流を、JR東・宮中取水ダム、18日に検討会  2月14日号
 発電取水の不正発覚で水利権が取り消され、限定的な水利権で5年間の試験放流に取り組むJR東・信濃川発電所の「宮中取水ダム」。今年、試験放流最後の年を向かえ、5年目をどう流すか、大きな関心が集まっている。18日の「信濃川のあり方検討委員会」では、5年目の放流方針などが協議される。これを受け今月25日に開く宮中ダム試験放流検証委員会と信濃川中流域水環境改善検討協議会で、5年目の試験放流の具体計画を協議し、決まる。一方で最大の課題である試験放流後の「水利権の期間更新」がいよいよ迫り、平行して本格論議が始まる。

 十日町市が主導し、事業者のJR東も入る「信濃川あり方検討委員会」(委員長・池田春夫十日町商工会議所専務、アドバイザー含め委員21人)は、関口市長の諮問機関的な位置づけで、具体的な放流方法などを協議するのは、この下部組織の「専門部会」(部会長・池田商議所専務)が行う。メンバーは市、商議所、信濃川をよみがえらせる会、中魚沼漁協、JR東の代表5人。先月17日と今月4日、専門部会を開き、18日のあり方検討委員会で協議する具体案を決めた。

 専門部会が具体化した5年目の放流計画のポイントは2点。『4年目に実施した流況型変動放流を5年目も継続実施し、調査データをさらに収集する』、さらに『水温28度以上の河川環境を改善するため、夏の渇水期などに毎秒100d、あるいは毎秒120d放流を行い、水温上昇への効果を検証する』。

さらに専門部会では、河川利用の「ラフティング」への対応、特に実施時期の放流増を求める意見やサケの魚場の検証を求める意見が出た。ラフティング利用では、実施時期の流量問題や浅瀬の課題などの研究が必要とした。一方、サケの魚場は、放流量によって魚場が変わる可能性を指摘し「サケ捕獲期に毎秒60d、70d放流で魚場がどう変化するか検証が必要」とする意見が出た。
18日のあり方検討委員会では、この2点を中心に協議する見込み。25日の宮中ダム試験放流検証委員会で4年目の検証をし、同日開く信濃川中流域検討協議会で5年目の放流計画が示され、最終年の試験放流が決まる。

一方、関心が集まる『水利権の期間更新』は、今年末までに具体案がまとまる見通し。現在の試験放流5年間の限定的な水利権は来年2015年6月30日まで。期間更新申請は15年1月1日から行うことができ、申請者のJR東は、年内に維持流量など具体案をまとめるものと見られる。
                   (恩田昌美)

津南町、4月から保育行政を教育委員会へ、保小中を一貫子育て支援へ  2月14日号
津南町は新年度4月から保育行政を教育委員会に移し、出生から高校卒業の18歳までの子育てを一貫支援する体制を整える。上村憲司町長は、「行政として大切なことは、生まれた命をしっかり育てること。津南町での子育てのしやすさを希求していきたい」と話す。さらに「今年のテーマは『育』。育てるであり、育むである。子育てだけでなく、産業の育成を含め、すべての分野での『育』に取り組む」と、今年7月に任期満了を迎えるなか、2期目への基本姿勢を示している。

 4月から行政組織を一部改組する。これまで福祉保健課が担当の保育園7園の運営を町教育委員会に移す。これにより保育士(正職37人、臨時職32人=2月現在)は教育委員会所属となる。現在の教委・学校教育班を「子育て教育班」に改称し、保育園運営を担当する。
 組織改組には、来月の町議会3月定例会で行政組織条例の一部改正を提案し、同月末の人事異動で職員体制を発表する。職員は、従来の福祉保健課の児童福祉担当が教委に新設の子育て教育班に移る。さらに保健師1人を教委に配置する。これにより職員数は従来の学校教育班3人に加え、2、3人増員となる。新体制では、保育行政のほか子育て支援センター、学童保育なども担当する。

 町教委の桑原正教育長は、「2年前から準備を進め、ようやく4月から実施できる。子どもが誕生してから高校卒業の18歳まで、途切れない子育て支援をしたい」と話す。その背景の一つには、小中学校での不登校数が県内でも比較的多い津南町の現状がある。不登校数は減少しているが、「3歳から6歳時期の対応が必要と言われ、保育園・小学校、中学校の子育てを一貫して支援し、さらに18歳くらいまで途切れることのない支援に取り組む体制を作りたい」と、『保小中学一貫支援』の津南モデルを築き上げたい方針だ。

 さらに、増員される教育委員会に子育て全般の相談を受付ける『子育て相談窓口』(仮称)を設ける方針。桑原教育長は「保育園から小学、中学と、途切れがちな子育て情報などを共有し、困っている親などのバックアップに、これまで以上に乗り出したい」と話す。将来的には『子ども課』のような、出産前の妊婦指導から母子手帳交付、定期健診、さらに母子・父子家庭支援など、子どもに関係するすべてを一つのセクションにまとめることも視野に入れており、「順次取り組んでいきたい」と話している。

10代のまなざし「鈴木明彦さん・津南中等校6学年」看護師めざす  2月14日号
進路が決まった。春からは長岡の厚生連・中央看護専門学校に進み、看護師免をめざす。
 「他の志望校がダメで、3日に合格通知が来た時は言葉にならないぐらい嬉しかったですね」。
 両親は共働きで、主に祖父母に育てられたのが進路を選ぶ契機となった。
 「病院に行くといつもお年寄りの方が多く、自分を育ててくれた地域の人たちへの恩返しを考えた時、まず看護師になろうと考えました。血は苦手なんですが、なんとか慣れたいと思います」。

 もう一つの目標。それは『養護教諭』。学校で保健委員を6年間務めるなか、張戸望養護教諭がいつも生徒に笑顔で接する姿に憧れを覚えた。
 「最初は成りたい職業はなかったんです。張戸先生は何があっても動揺せず、生徒のケアをするのを見ていて、じわじわこんな風になりたい、と道が決まりました」。
 最初から大学に入るのではなく、あえて現場経験を豊富に積める専門学校進学を選んだ。
 「専門は3年。そのあと新潟大への編入制度があるんです。大学に行ったのと同じ4年間で、より多くの現場経験ができる。それは必ず社会に出ても役立つはずです」。

 趣味はフルート、十日町市民吹奏楽団に参加。さらにアマチュア無線歴は5年余。電波を通し世界各国の住民と繋がっている。
 「近所の人を始め、欧州やアフリカなどの方ともやり取りしています。拙い英語ですが、学校の授業のおかげで何とか通じています。基本、人と関わることが大好きなんですよ。今後も積極的に関わっていきたいです」。  (石沢修一)
 

雪の跡をキーホルダーに、十日町雪祭りで  2月14日号
 ○…雪に残る足形はいかが―。ほくほく線十日町駅西口前のギャラリー6坪の春日徹オーナーが、十日町雪まつりに合わせ、手づくりのキーホルダーを作成した。雪道についた長靴や動物の足跡をモチーフにしたもので、名付けて「冬の足おとシリーズ」。駅前テントなどで販売。1個500円で小さい形のガチャコン販売は3百円。

 ○…ベースとなる木材は津南町で調達。樹脂粘土をつけ、一つひとつ手作業で足跡をつける凝ったもの。春日さんは「200個作るのに3週間もかかった。雪まつりのお客さんに喜んでもらえれば」と話している。

女性・若者・Iターン者がポイント、栄村で直売所勉強会スタート  2月14日号
 全国的に出店数が増加し、売上も伸びている農産物などの「直売所」。国道117号沿いに「道の駅」を開設する栄村は来春、同所に直売所をオープンさせる計画を進め、参加者や地域の関心を高める連続講座を開き、機運を高めている。9日の第1回勉強会には女性主体に20〜70代まで50人余が参加し、講師の「仕入れ販売と直売所は違う。いま消費者は「個人」を求めて来ている」と、直売所の特色作りの必要性などをアドバイスした。

 この勉強会は「雪国の産直塾」と名づけ、参加自由で来月16日まで4回シリーズで開く。初回は全国直売所研究会事務局長の青木隆夫氏、上越市・安塚の雪だるま物産館の増野秀雄館長が文化会館ホールに集まった参加者に、直売所の基本的なノウ・ハウや消費者が求める商品づくりなどについて話した。
 全国の直売所の状況や事例を紹介しながら説明した青木局長は、全国的に直売所が増加し、売上も伸びている現状を話し、「これまでの直売所は『特産品』を販売するのが主流だったが、いまは『個人』。顔が見える個人の野菜や加工品を求め、お客はやって来る」。一方、実際に直売所を担当する雪だるま物産館の増野氏は、「品薄となる冬場も加工品などで営業し、冬場を補うためにも、シーズン中は積極的に外に営業することが大切」などと実践例を話した。

 さらに直売所運営のポイントについて青木局長は「女性や若い人、Iターン者が中心となっていくことが成功のカギ」と話し、「かあちゃんパワー」への期待感を述べた。なお栄村では、新年度予算約5500万円で道の駅に直売所を建設する計画だ。課題は運営母体で、勉強会を通じて具体化する方針だ。

会員拡大でふるさと応援活動充実を、東京津南郷会  2月14日号
 ◎…60年余の伝統を積む東京津南郷会(野村英夫会長)の新年総会は8日、東京のホテルグランドヒル市ヶ谷で開き、会員や津南からの来賓など50人余が集い、ふるさと談義で盛り上がった。津南からは高橋政徳商工会長、山田英治社会福祉協議会長、草津進町議会総文委員長、さらに新潟県人会の春日寛副会長(東京十日町会長)、高橋秀夫副会長(東京松之山会長)、東京栄村会・上辻旦泰副会長らが来賓出席。総会の事業活動報告では恩田政治事業部長が「新規の活動事業を計画し、新会員の加入運動に取り組み、東京津南郷会を充実したい」と述べ、会員拡充を呼びかけた。

 ◎…この日の東京は46年ぶりの大雪に襲われ、首都圏中央の市ヶ谷でも15aを越える大雪。「私たちが津南から雪を運んで来てしまいました」と高橋商工会長。来月15、16日に新潟市で開く「にいがた酒の陣」に津南の酒蔵2社も出店することをPR。町社協の山田会長は新潟県共同募金協会が取り組む「あったか雪募金」を紹介し、「県内6市町が参加し、高齢者方などの除雪ボランティアの活動支援を行っている。ぜひご協力を」と呼びかけた。

 ◎…総会で野村会長は「東京津南郷会はふるさとと首都圏に暮らす出身者との絆を結ぶ大切な応援団。さらに会員を増やし、絆をさらに太くしたい」と会員増強呼びかけた。総会では中沢光男顧問が「上野動物園パンダ飼育担当」の津南出身・阿部展子さんの著作を紹介。さらに塩沢信用組合津南支店(高橋真二支店長)が作成協力の「ギフトカタログ・ひまわりギフト」が出席者全員に進呈されるなど、ふるさと交流が交わされ、最後は恒例の「からす踊り」。藤ノ木辰三郎幹事長の音頭とりで全員が輪になって踊り、懐かしい曲調が会場を包んだ。

松之山地滑りから50年、記念誌発刊、93歳の田邉ハルさん語る  2月14日号
 人が暮らす地域では国内最大規模の地滑りとして日本の自然災害史に刻まれる「松之山大地滑り」。昭和37年春に発生し、松之山の中央部の7集落、約850fが動き、民家や公共施設など380棟が倒壊するなどの大被害を受けた。1日に2、3a動く地滑りは3年間ほど続き、当時の新聞は『一寸刻みの恐怖』『明日のない町』など連日報道し、「松之山地滑り」が全国に知れ渡った。あれから50年。当時の惨状を知る世代が減少するなか、松之山の住民グループや十日町市、新潟県が連携し、「世紀の大災害を後世に伝え、防災の教訓にしたい」と実行委員会を昨年6月結成。講演会や子どもたち向けの副読本「地すべりの話」を作成。今月末には集大成の記録集「大地と共に生きる」を発刊。地滑りの詳細記録や貴重な写真、体験者の証言集を収録したDVDも作成。後世への貴重な防災メッセージになる。

 街中央部の道路沿いで商店経営する竹野屋・田邉ハルさん(93)は大正9年生れ。地滑り発生の昭和37年は働き盛りの43歳。今は長男・慎一さん(66)が米販売する。
 「50年たったんかね、昨日のことのように覚えている。(当時の新潟県知事の)塚田知事、塚田十一郎さんが家に来たんだ。『何がほしいですか』と聞かれて、『助けて下さい、この地滑りを止めて下さい』と頼んだんだよ」。
 地滑りは昭和37年春、松之山で一番高い大松山(737b)の麓、兎口集落で始まった。雪消えと共に水田に亀裂と陥没が見られ、水梨集落にも広がり、道路に亀裂が入るなど被害が拡大。
 「ドーンというすごい音を聞いた。後で聞いたが、断層が切れる音だったようだ。あれから地滑りが始まった」。十日町市松之山支所・市民課長の中島健男さん(60)は鮮明に覚えている。三省小学校4年の時だった。この大音響は田邉慎一さんも聞いている。「隣の鉄工所のガスボンベが爆発したのかと思った」、それほどの大音だった。

 国県が総力を挙げて対策に乗り出した。調査で東北約2・4`、長さ3・6`の約850fが動き、地下水の影響で地下11bから20bの所で地滑り発生が判明。現場に地滑り防止の20b余の鋼管パイプを打ち込み、地下水を汲み上げる集水井戸を10ヵ所余に掘り対応。だが1日に2〜5aの地滑りは3年余り続き、住民は傾く家屋をジャッキで持ち上げたり、引き裂かれる母屋から家財道具を運び出すなど対応に追われたが、約380戸が崩壊するなど大きな被害が出た。
 食料品や配給米などを扱う竹野屋・田邉ハルさんは、夫・辰三郎さん(20年前に死去)と「動く家」で地域の人たちのために商売を続けた。「米の配給を止めるわけにはいかなかった。住めなくなって道路の反対側に移ったが、県から見舞金10万円がきたばっかで、みんな自前で出したんだ」。

 この地滑りで松之山の人口は年毎に減少し、過疎に拍車をかけた。だが一方で、『地滑り技術の発祥の地』でもある。昭和33年に制定の「地滑り防止法」。その直後の大規模地滑り災害だったため、当時の国の最高防止技術を導入し、松之山が実証実験の地になり、今の通じる鋼管杭や集水井戸など地滑り対策工法に大きく貢献した。現在も集水井戸は稼動し、地滑りは定点観測が続く。
 今月末に発刊の記録集「大地と共に生きる」は、旧松之山町の全855戸に配布。貴重な写真や証言集のほか、地滑りの最中の昭和39年3月、当時の松之山小学校、牧田太平校長がまとめた全校児童の文集『動く町』の証言も掲載する。地滑り地域の850fは今も地滑り危険地域に指定されている。
                    (恩田昌美)

10代のまなざし「小宮山紗理さん・十日町高1年」 砂漠へ行きたい  2月14日号
 小学校時代に十日町青年会議所が東枯木又で開いたサバイバル生活体験に参加した。ペットボトルでの水汲み、トウモロコシを粉にしての主食などを体験。そんな体験が高校に入ってから急に芽を伸ばした。地元の農産会社でのインターンシップ、さらに大学教授の講義で砂漠での農業の話を聞いたからだ。
 「大学は農学部に進み、夢に向かって歩みたい。砂漠は、水を通せば作物は育ちやすい環境にあるといわれています。やりがいがあると思います」

 下条小6年の時、生命の源である水に関係した内容の作品を募集する全国展『ざぶん賞』に応募した詩「海の色が青いのは」が優秀賞を受賞。その詩に地元シンガー・田村陽一さんが感激、曲を付けて詩にした。
 「とってもうれしかった。でも、ポンとつくった詩がポンと受賞し、歌にもなって、なんて言ったらいいか。今はダンスが大好きです」

 そのダンス、高校に入ってから高校のヒップホップクラブに入り、さらに幼児から一般まで参加するDSS、加えて大人のヨサコイチーム『風美舞天神』にも入る。
 「やってみたいと思ったことは何でも挑戦したい。十日町雪まつりでは、いろんな会場で踊るので、ぜひ見てください」
 ダンスのほか、学校では家庭科クラブや生徒会、下条地区では交流行事、さらに「ひとサポ」でのボランティア活動などにも顔を出している。
 「いろんな人との出会い、そして交流するのが好きなんです。新しい出会いを大切にしていきたいです」 

徳川将軍家に越後縮を納品、十日町「細尾」地区から、古文書見つかる  2月14日号
 歴史ある織物産業の地、十日町市で徳川将軍家に最高級「越後縮」を納品していた記録が見つかり、それも「和宮」と「篤姫」、さらに第14代将軍・徳川家茂と見られ、織物産地・十日町が江戸期から全国有数の産地だったことが判明。なかでも産地の一つ「細尾(ほそお)」の地域名が古文書に記され、同市の細尾地域では「驚きだ」と関心が高まっている。

 10年前の中越地震で被災した市内の老舗呉服問屋「加賀屋」(蕪木家資料)の整理中に発見。屏風を包んでいた和紙に記述があった。当時は縮絣の見本を和紙に張り、問屋を通じて注文を受けた。その不要になった和紙を張り合わせ屏風を包んでいた。さらにこの和には「越後縮」を納品した『覚』(納品書控)もあり、ここに「和宮様御召」「天璋院様御召(篤姫)」、さらに徳川家茂とみられる「御本丸別段御好」の記述がはっきり残っている。
 さらに納品書控「覚」には「御丈三丈壱尺」「御巾九寸弐分」など身丈も明記。「和宮」と「徳川家茂」の身長は資料で明らかになっており、サイズはこれと合致する。同様に「篤姫」も寸法が明記されており、「ほぼ間違いないと思われる」とする。
 加賀屋の資料は、江戸期に繁栄した十日町の縮問屋「村松屋」(根津五郎右衛門家)から引き継いだもの。納品は「御召縮」の品名で最高級品の越後縮。さらにその納品先として『細尾 助十郎』の書込みが記されている。
 将軍家に納品したのは「三井越後屋」(現在の三越)で、歴史的資料を収蔵する「三井文庫」には当時の村松屋との取引を証明する資料があり、十日町・細尾から将軍家に越後縮が納品されていたようだ。

 「細尾」は市内の旧水沢村。現在40戸で織物業はないが、同地の80代の男性によると『助十郎どん』という屋号があったという。「いまは違う屋号だが、機はしてなかったと思う。これが事実ならすごい。細尾の新たな歴史になる」と驚いている。
 歴史的な資料の発見について市教育委員会の高橋由美子主任は「当時、将軍家に十日町から越後縮が納められていたという史実を裏付ける貴重な資料」と話している。同資料は加賀屋・蕪木元昭氏が所蔵。資料公開の予定はないが、織物のまち十日町の貴重な資料になっている。

津南出身者、NHKのど自慢チャンピオン大会出場  2月14日号
 放送68年目の老舗NHK番組「のど自慢大会」。各会場のチャンピオンから選抜15組が出場、トップを決める「のど自慢チャンピオン大会」に、津南町と縁ある若者が出場する。長岡市の中澤卓也さん(18、開志学園高3)。実は父の徹さん(52)は津南出身、祖母の福子さん(80)は陣場下在住。3千人収容のNHKホールでの本番は3月1日。卓也さんはプロ志望で「選ばれてびっくりしていますが、なかなか出られる舞台じゃない。夢に向かってベストを尽くしたい」と燃えている。
 卓也さんは昨年3月31日にアオーレ長岡で開いたのど自慢に出場。出場を進めたのは福子さん。「歌が上手いんだから出てみたら」の一言がきっかけ。出場応募総数1340通、書類審査で250組に絞られ、さらに予選を得て出場20組に選出。観衆2千人余を前に森山直太朗『独唱・さくら』を歌い、見事チャンピオンに。これを契機にプロをめざし、新潟や長岡のホテルでディナーショーや県内各地のライブイベントに積極出演。来月1日の本番でも『さくら』を歌う。「小学生の頃最初に覚えた曲で、歌が好きになった原点。会場には音楽業界の方もいると思います。全力で唄い入賞を狙いたい」と卓也さん。高校卒業後は上京し、プロに挑む決意だ。

 独り暮らしの福子さん。孫の透明感ある声が入った自主製作CDを聞くと、元気が出てくる。「普段はだんまりですが、舞台に出ると笑顔が溢れ、話が上手くなる子です。心配もありますが若者の夢、やりたい道を突き進んでほしい」。当日は家族総出で上京し応援する予定だ。
 のど自慢チャンピオン大会は来月1日午後7時半、NHK総合、ラジオ第一などで生放送。グランドチャンピオン1組、優秀賞2組を選出。ゲストは前川清、藤あや子、つるの剛士。なお卓也さんの歌は動画サイト「YouTube」で閲覧できる。『中澤卓也』で検索。
 


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