津南町教育委員会は10日開会の町議会9月定例会に、中津小学校と外丸小学校の2校を2年後の平成27年4月、町中央部の津南小学校に統合する条例改正案を提案する。町教委・桑原正教育長は「小学校の存続を願う人たち、一日も早く統合を願う人たち、それぞれの意見を聞く一方で、集落の意見をまとめてもらった結果、7、8割の地区が統合賛成、あるいは統合はやむをえないという方針を出していただいた。この結果を受け、当初の統合方針より遅れたが、27年4月の統合を進めたい」と統合を進める考えを示す。町教委と地元との懇談会は何度か開かれているが、統合の議案審議する町議会は一度も地元校区民と懇談していない。町議会、さらに議員は何を判断材料に統合案を審議するのか、校区民は注視している。
町教委が両小学校区に要請した地区意見の取りまとめによると、外丸小校区は4集落のうち3集落が統合賛成、統合やむなしの方針。だが一方、校区戸数の過半数以上の外丸本村は、住民アンケート結果を町教委に提出、「地区総意」はまとめていない。特に「外丸本村は4区あり、外丸本村を1とカウントするのは疑問」とする声がある。特に外丸本村アンケート結果は、賛成55%余りで、賛否が拮抗する状態を表している。
地元外丸小後援会・福原喜世司会長は「当事者の親たちの大分部の意向が早期の統合を求めている。それが地域の思いではないか」と話す。一方で外丸小を考える会・滝沢秀行さんは「アンケート結果で結論を出さないと言っているのに、町教委にその結果を提出したのは問題だ。なぜ外丸本村が結論を出せなかったか、考えてほしい。これから子を持つ世代の大部分が統合には疑問を抱いている。次代を担う人たちの声こそ大事にすべきだ」と話す。同校区では2回以上の校区懇談会を開いているが、出席した町議員は数人。「地元事情が分からないで、統合提案をどう審議するのか。採決の判断材料は何なのか聞きたい」との声も多数上がっている。
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一方、中津小校区の14集落は、地区総意を出した11集落が統合賛成、統合やむなしの結論。一方、大集落の船山新田、船山、中深見では、住民アンケート結果を報告しただけで、地区総意は出していない。
3地区の結果は、船山新田は賛成36戸(87・8%)、反対3戸(7・3%)。船山は賛成54戸(63・5%)、反対30戸(35・3%)、中深見は賛成30戸(93・75%)、反対2戸(6・25%)。地区総会を開いた集落、アンケート実施の集落ともに統合を支持する意見が多数を占めている。
3年前、中津小を考える会を立ち上げ、独自に地域を活性化する活動に取り組むグループ「中津んしょ」事務局の鈴木淳博さんは、町議会への統合提案を「残念だ。我々が3年前、町や町教委に地域人口の増加対応など要望提出したことへの説明は、これまでいっさいなかった。これに応えてから次に進むべきで、町の取り組み姿勢に大きな疑問を抱く」。
さらに「津南町はこの先、今のやり方でこのまま存続できるわけではないだろう。どこかで反転攻勢に出なければ先細りのままだ。その反転に出るための大切な財産、アピールできるものを、自ら切り捨てているように感じる。この町は旧村単位に小学校がある。これは大きな財産。都市部などからの移住を求める時、そこに小学校があることは、ある意味、絶対条件でもある。そういう大切な財産を、単なる数の論理や当事者の一時的な思い、これは仕方ないことだが、この町の将来を考えれば、この大切な財産を切り捨てていくことは大きな損失だ」と、統合問題の基本部分を話す。
中津小校区は、小学校PTA、保育園保護者会のほぼ全員が統合を求め、このため校区民は今回の地区総意の中でも、当事者の思いを尊重すると、多くの集落が統合支持を出している。
だが、統合を支持する集落内では意見が多数出ている。秋山郷・大赤沢地区からは「通学は路線バスではなく、独自の通学手段をお願いしたい。冬季は休校中の大赤沢分校を再開」など。町教委は「2校の統合が決まったら、町内の交通運行を再検討し、通学への影響が出ないように取り組む」としている。
一方、今回の統合には関係しないが、今後課題が浮上する芦ヶ崎小学校、上郷小学校については「地元の取り組みを見守っていきたい。ただ上郷小学校は、保育園の再編の時期を迎えるなか、小学校だけが残る形となり、課題になるだろう」と見ており、地元の取り組みを見守る考えだ。
(恩田昌美)
写真・町教委による統合説明会に参加する校区民(6月19日、中津小で)