結婚できない、結婚したくない、「婚活」という言葉で表現される適齢期を迎えている男女の結婚問題。高齢化、少子化に直面する地域にとって、将来の地域の存続に影響する問題にもなっている。かつて、結婚は個人的なことだったが、独身者の増加で、地域の大きな課題となり、いまでは社会問題化になっている。さて、その当事者はどう考えているのか。津南町が取り組む「婚活」活動の現状を見た。
ふるさとに帰り3度目の冬を迎えているが、ちょっと気分が変わってきた。女性が多い職場に勤務の29歳の女性は、年齢が気になりだしている。『婚活』。そんな言葉を雑誌やテレビで見ると、気になりだしている。「そろそろ、自分でも感じています。いい出会いがあればと、初めて参加しました」。女性は先月30日、出会いを期待し、津南町が主催した出会いパーティー会場のスナックのドアを開けた。
津南町結婚相談員会議(山田泰会長、委員12人)は、毎年3回、独身男女の出会いの場となる交流パーティーを開く。30日は、ちょっと早いクリスマスパーティー。20代から40歳までの男女43人が参加した。だが、男性28人の参加に対し、女性は15人と半数程度。その多くは、「相談員の方々に進められました」と、自主参加した人は少ない。「限られた地域のため顔見知りが多く、参加を渋る人が多いのかもしれません」などと相談員は見ている。
交流会は、対面式で時間を決めて席を変わり、自由に会話する時間をたっぷり取った。29歳の女性は、何人かの男性から話しかけられた。「地元にいる方と知り合えて良かったし、男性の方から話しかけてくれ、とても楽しかったですね」。その後、何度か連絡を取り合っているという。
一方、数回、こうした出会いパーティーに出席した26歳の女性は、積極性のない男性を見て、感じている。「連絡先を交換しても、その後の誘いがないんです。世間話しも良いけど、出会った機会をうまく使って、デートの誘いを男性からしてほしいですね。女性は、誘われて嫌な人なら一緒に出かけたりしません」。女性心理への理解不足を指摘する。
ところで、当の男性たちは、こうした交流会をどう受けとめているのか。津南まつりなどイベント好きの28歳男性。この日は友人に誘われて参加した。「結婚願望はありますが、女性との飲み会を企画する人が少なく、機会がないので、こうした企画はありがたいです。なんとか30歳ぐらいまでには、良い人を見つけたいですね」。この交流会で知り合った女性と、その後もメール交遊している。
「ほとんど顔見知りでした。やはり、知った顔がいると、なんとなくやりにくく、動きにくいです」と話す31歳の男性は、こうした交流会によく参加する。「結局、男は選ばれる側です。男が主導権を取れる企画があってもいいのでは」と、出会い企画の見直しを求める声もある。
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「津南町の未婚率41%」。こんな数字がある。適齢期とされる25歳〜45歳の1983人の独身者の割合だ。2・5人に1人が独身者という数字。津南の将来を考えると深刻な割合だ。
詳しいデータは 男性1038人で未婚率49%、実に2人に1人が独身。女性945人で同41%。
今回の出会い交流パーテイーを開いた津南町結婚相談員協議会の山田会長は、以前から指摘される消極性を指摘する。「こうした交流会に、自分から参加を申し出るのは恥ずかしいという意識があり、誘われるのを男女共に待っている。普段でも、飲み会や合コンなどを企画する若者が少ない。結婚したくない人は少ないはず。一歩踏み出す勇気と、どう作り出し、こうした交流の場を多く開くことで、いい結果に結びつくのでは」。
古くて新しい結婚問題。個人の課題が、地域の課題となり、高齢化する津南町にとって、大きな行政課題になっている。
写真・津南町が開いた交流パーティー(先月30日、写真は加工)