『語彙』。こんな難しい漢字を、すらりと読む。「難しいから、おもしろいです」。来月2日、桑原クワン(38)は日本語検定2級にチャレンジする。 (敬称略)
毎週水、木曜、津南町公民館が開く「ことばのキャッチボール」に欠かさず通う。3年目になる。今春、3級チャレンジを考えたが受験日が合わず見送った。でも、勉強は毎日続け、「難しいですが、2級にチャレンジします」と、自分からハードルを上げた。
日本語は、ひらがな、漢字、カタカナが組み合わさり、言語的には世界的にもかなり難しい部類に入る。その日本語に果敢にチャレンジしている。
4年前、結婚を機に津南暮らしが始まった。タイでは、日本企業・京セラで働いた。「日本に来る前、日本語を勉強したけど、実際に使う機会が少なく、勉強だけでは覚えませんね」。ことばのキャッチボールに入り、さらに日本語への関心が高まった。
四季がはっきりしている津南に比べ、タイは温暖な気候風土。「寒いのがちょっと苦手ですね。でも、温かくしているから大丈夫です。津南は畑があり、野菜が作られるから嬉しいです」。
タイ料理が得意。日本の何倍も辛いタイの唐辛子や葉物のクーチンサイなど、畑を耕し、自分で作る。「タイと同じように料理を作ると、辛くて家族が食べられないから、辛さはちょっと抑えています」。魚や肉、地元野菜、きのこなどを使ったタイ料理と津南の伝統食などが食卓に並ぶ。
今年3月の津南雪まつり。イベント会場にタイ料理のお店を出した。8店が出店し賑わった。売り上げは2番目、人気を集めた。「辛い料理は、身体を温めてくれますよ」。
日本語検定に備え、あらゆる機会を活用する。ことばのキャッチボールでは率先して自分から話し、テキスト持参で練習問題に向かう。「話さないと覚えませんから」、アドバイスのスタッフと積極的に話す。JA津南町女性部にも入る。「日本の料理を学びたいし、日本語の会話をしたいので。いっぱい話すことが、日本語を理解するためには必要です」。
日本語検定は、語彙・文法・文字などの基本試験のほか読解、聴解の3つの試験があり、基本試験では83%の正答が求められる。意識や想像など、かなりハイレベルの漢字が出る。
「分からない言葉は、前後のひらがなで理解し、辞書で調べます。そうすると、なんとかく分かり、読めるようになります」
来月2日は、新潟市の新潟大学五十嵐キャンパスで受験。夫の運転で向かう。「3年前、車の免許を取りました。日本語の教科書で日本の試験を受けました。合格は嬉しかったですね」。
テレビで、本で、日常の生活で、日本語と向き合う。「難しいことが、魅力ですね」。どんどん、語彙(ごい)を増やしている。