
若者に絶大の人気の米国アウトドアブランド「KEEN」。津南町にKEENが来ると聞いた柳沢佐恵子さん(32)は、「えーっ、ほんと?」と驚いた。まだ雪深い頃。友だちからのプレゼントで、5年前に初めて出逢ったKEENサンダル。以来、虜になっている。
秋山郷入口、津南町太田新田の古民家で作品展開するKEENハウス「DEAI(出逢い)」の玄関で、そのKEENと、この民家の住人だった女性が編んだ「わら草履」が出迎える。
KEENは2003年、米国ポートランドで産声を上げた。独特のデザインと機能性を持ち、アウトドア派の若者の人気は高い。
棚田保全活動に関わり、「まつだい棚田バンク」に参加した2010年。その活動を支援するサンダルを製作し、大地の芸術祭オフィシャルグッズで販売。売上は「まつだい棚田バンク」の普及活動に役立てる。KEENの日本総代理店は伊藤忠。芸術祭参加を決め、野外ライブで人気のアーティストと共同で空家プロジェクトに取り組んだのが「DEAI・出逢い」。
10年余り空き家だった民家。作品制作の準備に入ったKEENスタッフは、民家でわら草履を見つけた。
3年前に95歳で亡くなった住人、藤ノ木マツノさんが冬仕事で作ったもの。このわら草履と、ライブ舞台などの空間工作人「Bubb」(バブ)、ライブペインテイングアーティスト「Gravityfree」(グラビティーフリー)の2組の作家との出逢いから、過去・現在・未来の作品「DEAI」が生まれた。
藤ノ木さんのわら草履(過去)、若者に人気のKEENサンダル(現在)の出逢いが、さらに地域の将来(未来)を描く拠点になる期待感を込めている。
わら草履の編み目をモチーフに、四季をイメージする緑、青、赤、白で独特の紋様を生む。同ハウス担当の伊藤忠ホームファッションの堀友暁さん(29)。「地域の人たちの憩いの場、癒しの場に使ってほしいですね」。時にはアーティストが作品製作の拠点に活用する。同プロジェクトは次回2015年の芸術祭に完成する。「製作を継続し、同時に毎年アーティストを招き様々なイベントを開きます」。12日午後2時から、両アーティストによるペインティングライブを行い、KEEN商品の特価販売も行う。
柳沢さんは期待する。「自然いっぱいのこの地にあることが、とてもKEENブランドと合っています。世界ブランドのKEENが津南にある、それだけでも魅力。KEENで人を呼べます」。10月には小松原トレッキングツアーを計画し、同家の畑で野菜作りも始めているKEEN。
今回のアーティストは、DJライブ界では絶大の人気。今月14日午後7時からマウンテンパーク津南で開くオールナイトライブ「フーズ・バー」を主催の福原太さん(28)。「Gravityfree」と「Bubb」も出演する。「呼びたかった人たちです。町外の反響がすごく、KEENと共にこれは確実に津南の魅力になります。特に両アーティストは自然派で、津南の良さを感じ取り、津南を世界に発信してくれるでしょう」。11回目の同ライブでは自分で作る無農薬・無肥料栽培の野菜や地元の安全食材を提供する。
DEAIは、過去・現在・未来がテーマ。人の暮らしを支えた「履き物」が出会いを創り、さらに3年後の2015年芸術祭への取り組みがつながっている。
写真・DEAIの玄関ではわら草履とKEENサンダルが出迎える(津南町太田新田で)