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2012年05月の津南新聞「トピックス」

過去の津南新聞トピックス
おもてなし四人衆、津南観光協会事務局、女性4人に  5月25日号
 ◎…女性パワーで観光振興を―。津南町観光協会の会長、事務局長、専従職員がすべて女性になった。尾池三佐子会長(64)、町地域振興課商工観光班長の田中ふみ子事務局長(58)、専従職員は2年目の磯部祐子さん(59)、今春4月から勤務の大島麻実さん(24)。今後、女性4人が観光の顔となる。「明るく元気に、そして笑顔で津南のパワーを発信したい」と話している。
 
 ◎…尾池会長と田中事務局長は、農村アドバイザーと担当職員として15年余の付き合い。野菜直売・たっぴ市、あんぼなど郷土食の伝承活動などに共に取り組んだ経験を活かし、「食」を通した観光振興を模索する方針。「食と観光は直結しており、口にしたものは一番印象に残ります。これに津南にあるもてなしのお茶のみ文化が加われば、お金をかけずに大きな誘客要素になる」と尾池会長。観光客に提供する食事など町旅館組合と連携したい田中事務局長は、「郷土食は旅館で出ますが、必要なのはアピール。観光と食を組み合わせたニーズは年々高まっている。旅館と共にアイデアを出し合いたい」と話す。津南の母ちゃんコンビが起こす新風に関心が高まる。

「村外村民」を増やす、居酒屋を拠点に、東京神田に開店  5月25日号
 ◎…「ここは栄村です。山菜が美味しいよ」。18日に東京神田に開店した「ふるさと酒場さかえむら」。開店初日は、同村を訪れた大学生や教授、同村出身者、さらに話題性から多数のマスコミが訪れ、30坪ほどの店内は立食パーティーさながらに賑わった。『村外村民を増やしたい』と同村をバックアップする早稲田大・大学院教授の黒澤正一さんが店長となり開いた同店。栄村宮野原駅前の旅館・吉楽旅館の女将、吉楽里美さんが協力し、山菜料理や郷土料理、旬の食材を使った創作料理などをこの日、30種ほど提供。栄村も受け入れている緑の協力隊を通じて同店開店を知り、横浜から訪れた中茎優子さん(23)、川上由布さん(27)は「このイモナマス、初めて食べました。最高ですね。まだ栄村には行ったことがありませんが、こういうお店ができると、栄村に行きたくなりすね」と吉楽里美さんが1週間前から準備した山菜料理を満喫していた。

 ◎…神田駅から3分の同店。店内は村の写真家グループの自然写真や観光パネル、特産のねこつぐら、民具などを展示。提供の山菜料理はレシピなどを解説。「栄村と共に津南などの食材も提供したいです。地域には煮豆名人、煮物名人、渓流釣名人など、いろいろな分野の達人が多くいます。そうした人たちもお店に来た人たちに紹介したい。きっと栄村に興味を抱いていただけるでしょう」と里美さん。栄村訪問ツアーも企画する計画だ。

 ◎…大学院で環境マネジメントや地域政策などを教える黒澤教授。高齢化、少子化が進む栄村など山間地域。「村外村民を増やすことで、IターンやUターンにつながる。いかに栄村ファンを増やすか、でしょう」。同店をその首都圏の拠点にしたい考え。運営スタッフの関係で当面、毎週木、金曜の営業だが、多様な企画を考えている。「実際に動いてみると、新しい可能性を肌で感じる。山村と都会のケミストリー(化学反応)はまだまだ可能性がある」と話している。

連載・明日へ「加茂農林から有機農業の道へ」 18歳・押川愛音さん
 「なんで、農業なの」。高校時代の進路決定の頃、同級生の何人からも言われた。  
小さい頃から、ものづくりが好きで、何かに集中し、作ることに関心があった。食べ物を作る農業も、そのひとつ。4月から津南町の株式会社ごはんに入社。毎日、田や畑仕事に取り組む押川愛音(18)。先輩たちからの「学びの毎日」だ。

 中学、高校と見附市で暮らす。生まれは十日町市。長距離選手で駅伝にも出場した中学時代。「ものづくり」への関心は、農業分野に絞られ、県立加茂農林高校へ進む。1年から3年の3年間担任だった恩師、並木智子教諭は、常に一番身近な相談相手だった。
 高校3年の時。進路相談を並木教諭にした。「農業をやってみたい」。一緒にインターネットで農業分野の企業を調べた。『有機栽培農業』。このキーワードが目を引いた。さらに調べる中で「株式会社ごはん」に目が向いた。
 「並木先生のアドバイスが大きかったです」。加茂農林高で、有機農業も学んだ。「食の安全は、これから一番重要なことだと思います。毎日食べるもの、その安全性が有機栽培に通じています」。安全な農産物を作る、ものづくりの原点である。

朝7時前に十日町市下条の家を出る。途中、十日町市街地と津南入口で渋滞にあいながら、約40分かけて通勤。「母から料理を学びました」という自作の弁当は、中学時代から作るオリジナル弁当。青空の田畑で食べると、ひと味違う。

 雪消えの遅れで、畑作、水田などすべてが同時進行の今春の農業。先日、同社の特産に育っている「イチゴ栽培」の春の準備を担当した。1袋10`の肥料を背負い、初めての散布作業。「体力には自信がありましたが、重かったですね。もっともっと体力づくりが必要です」。長距離で鍛えた負けない精神力で臨む。

農業は、全く初めて。高校では、勉強としての農業分野を学んだが、本格的な実践は初めて。『ものづくり』への関心が、さらに農業現場への関心に結びついている。「本当にすべてが初めてです。先輩の皆さんから学ぶ毎日です」。  
「有機栽培」が看板の同社。基本的なことは大島社長がレクチャーするが、現場では上司が指導する。「分からないことは、なんでも聞きなさいと言われます。ただ、一度言ったことは、今度は自分で考えなさい、とも言われます。勉強の毎日です」。常にノートを持ち歩き、すぐにメモする。 

 地域の農業者と顔を合わせる機会も増えた。「若いのに頑張るねぇ」と言われると、元気が出る。一方で、「女の子なのに、なんで農業なんだ」と言われることも。でも、「自分で決めたことですから」。なんら迷いはない。
今春、車免許を取得したばかり。農業も若葉マークだが、農業のまち・津南町に、またひとり、逞しい農業者が育とうとしている。

松之山で安吾まつり、全国の安吾会と連携  5月25日号
「堕落論」など独特の「安吾ワールド」を著した作家・坂口安吾ゆかりの地、十日町市松之山。安吾の甥にあたる故村山政光氏(元松之山町長)自宅の大棟山美術館で12日、第4回安吾まつりを開き、県内外から80人が訪れ、大学時代など再三訪れた安吾にまつわる逸話など関係者が語り合った。松之山安吾の会長で安吾の甥、故政光氏の弟にあたる村山玄二郎氏は、安吾が慕った姉・キクさんの壮絶な最期を語り、「安吾が最後に松之山に来たのは昭和13年の9月、20歳で自死した姉の葬儀の時でした」と語り、参加者は聞き入り、この母屋で安吾が悲しんだであろう姿を偲んだ。
 
 安吾祭には、新潟安吾の会(斉藤正行会長)、安吾の墓がある新津安吾の会(斉藤久夫会長)、群馬・桐生を語る会(奈良彰一会長)などから多数が参加。安吾の長男で写真家、坂口綱男氏は、安吾と桜と新潟の酒を著書などを引用し、当時の逸話を語り、「日本で始めてサティ(音楽家)を紹介したのは安吾」など、父の別の一面を紹介した。
 
 さらに著書「白痴」を映画化した映画監督・手塚眞氏(手塚治虫氏の長男)は、14年前の4日間の同地での撮影逸話を話し、「撮影前に安吾の全集を呼んだ。安吾への思いをここでの撮影で結集できたことは私にとっても大きかった」と、一緒に掲げられた安吾の遺影に語った。

栄村仮設住宅「仮設菜園」を設置、NPOながの   5月25日号
 ○…土いじりの楽しさを仮設住宅でも―。栄村横倉と北野の仮設住宅に「仮設菜園」が19日に計10セット設置された。仮設菜園はナイロン製で、長さ3b、幅60a、高さ25aの容器に土を敷き詰めたもの。横倉では入居者ら15人余でマリーゴールドやサルビアなど花、夏野菜のミニトマトやナス、ピーマンなどを植えた。自宅が全壊、現在仮設で独り暮らしする島田キミ子さん(72)は「土いじりが好きで自宅の畑仕事も続けているけど、近くに菜園があるのも遊び感覚で楽しめるからいいね」とにっこり。なお24日現在、仮設住宅には50世帯108人が入居している。

  ○…仮設菜園は昨年11月から横倉に出張所を置き支援活動するNPOホットラインながの(諏訪部真理事長)が設置。住宅全半壊で畑が遠くなった被災者支援をと村支援を受け約50万円で購入。月二回のお楽しみ会など、住民の心のケア活動を続ける同NPOの井出光人事務局長(72)は「畑仕事がいきがいだった方も多い。仮設でも土に触れる楽しみ、気持ちを安らげてくれれば」と話す。オープンのこの日、横倉仮設住宅では伊那市の歌舞伎劇団・田楽座の慰問公演、十日町市小嶋屋の無料そば振る舞いも行われた。

日食を記録、十日町・南雲敏夫さん  5月25日号
 最大93%ほど太陽が月に隠される部分日食となった21日朝、十日町・津南地域でも多くの人たちが世紀の天体ショーを満喫した。
 温泉を楽しみながら観測をと、十日町市松之山湯山の日帰り温泉施設「ナステビュウ湯の山」では午前6時から9時まで入場無料で一般に開放、百人余りが露天風呂で部分日食を楽しんだ。「地元はじめ、遠来客も多かったみたいですよ」と高橋樹男社長。小型花火も打ち上げられ、温泉客から「おお、最高」との声が上がっていた。

 執念で観測―。津南町辰ノ口の板場キヨさん(74)は、用意した観測用メガネを息子が仕事先に持って行ったことから「何とか見たい」と思案。子どもの頃、敷板に墨を縫って皆既日食を観測したことを思い出し、物置にあった長辺30a余りのガラス板に墨汁を塗り、手製の観測ガラスを考案した。「購入品に負けないほどよく見られるよ」とキヨさん。太陽にかざすと、月のような太陽だけくっきりとガラス板に映った。家族からも「これはいい」と太鼓判。「いつでも太陽観測できますよ」と満足そうだった。

 5月21日の金環日食。十日町地域は残念ながら部分日食でしたが全行程を見る事ができました。
 朝早くは少し雲がありましたが、日食開始の時間頃には条件も良くなり、最高に近い観察が可能になりました。
 当間高原リゾートでも日食観察会を行い、約120名以上の方が、欠ける太陽の様子を堪能しました。
 天体望遠鏡で見る太陽は、黒点が少しずつ隠される様子が分かり、宇宙で起こる自然現象の素晴らしさを参加者の人達が本当に身近に感じていたようでした。
(撮影場所は当間高原リゾート森のホール脇。撮影にはNDフィルターを3枚重ねて使用)。

魚沼基幹病院着工、次は十日町病院  5月18日号
 魚沼地域としては初の高度医療(3次医療)病院として地域医療体制の充実に期待が集まる県立「魚沼基幹病院」は4年後の平成27年6月開院のスケジュールが決っているなか11日、建設場所の南魚沼市浦佐の「ゆきぐに大和病院」敷地内で起工式を行い、建設工事が始まった。同病院は泉田知事方針通り公設民営病院となり、経営は今年4月に設立した一般財団法人「新潟県地域医療推進機構」(荒川正昭理事長)が、県の指定管理者制度により7月県議会で決まる見通し。病院長は新潟大医歯学総合病院長・内山聖氏に内定している。同基幹病院の着工は、同時期の一部開院の知事方針が示されている2次医療の中核病院・県立「新十日町病院」の建設にも弾みがつき、魚沼圏域の医療体制の充実にようやく光が見えてきている。

 起工式で泉田知事は「基幹病院を核として地域医療の再編を取り組み、医療の充実、再生の第一歩にしたい。(医師不足に対した)医師や医療スタッフが魅力を感じるマグネット・ホスピタルをめざす」と強い取り組み姿勢を見せている。同病院の総事業費は約227億9千万円で、

 建物は鉄筋コンクリート9階建て、延べ3万3064平方b、診療科は21科(総合診療科、内科(循環器内科、消化器内科、呼吸器内科等)、神経内科、精神科、小児科、外科、心臓血管外科、呼吸器外科、脳神経外科、整形外科、形成外科、泌尿器科、皮膚科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、リハビリテーション科、麻酔科、歯科口腔外科、救急科)。 

 医療スタッフは、医師約80人、看護師約380人を予定し、ベット数454床(一般400床、救命救急センター14床、精神50床、感染症4床)を確保する。高度医療の充実では「ガン医療」「循環器系医療」「新生児・周産期医療」「地域医療支援」などとしている。さらに人工透析20台、集中治療室14床(ICU6床、CCU2床、ER病床6床)で24時間対応する。災害拠点病院でもあり屋上へリポートを設置する。病院棟は免震構造となる。

 運営の同財団は出資金5千万円。新潟県4千万円、関係地元の魚沼市と南魚沼市3百万円、十日町市2百万円、津南町と湯沢町百万円を出資した。基幹病院開院に合わせ既設病院は市立病院化され、市立・新小出病院(100床)、新六日町病院(120床)、新ゆきぐ大和病院(40床)に再編される。なお、同基幹病院建設工事は「大成・中越興業・丸山工務所特定共同企業体」が行う。

次代を担う若き声を復興計画に   5月18日号
 『震災をのりこえ、集落に子どもの元気な声が響く村を』を基本目標に、復興計画策定を進める栄村震災復興計画策定委員会(委員長・木村和弘信州大教授、13人)は9日と13日、村民との懇談会を開き、住宅再建や資源利用など多分野に渡って出た意見、要望を同計画に反映する方針だ。特に13日は女性や若者主体の懇談会となり、基本目標の『子どもたちの元気な声が響く村』への期待感の意見が多く出た。「栄中学3年生が自分たちで復興計画を作った。次代を担う子たちの意見をぜひ取り入れて」など、参加数11人だったがほぼ全員が意見を述べ復興計画への関心と期待感を示した。

 懇談会では村行政の震災後の対応の不備を指摘する意見も多く出た。「自宅再建のために役場に相談に行くと、たらい回しにされた。被災者の相談窓口を一本化してほしい」(青倉・男性)。木村委員長は、「復興計画にも盛り込んでいるが、総合サポートセンターの必要性を村に訴えている」と話す。秋山郷の高齢化を心配する女性は「高齢化で独り暮らしが秋山郷でも増えている。安心して暮らせる村営住宅を村中央部に必要」など住宅対策を求めた。

 さらに復興計画そのものへの注文も。30代女性(横倉)は「子どもの声とあるが具体性が見えない。復興のキーワードは教育。栄村らしい教育に取り組むチャンス」と踏み込んだ計画を求めた。農業青年は「村内で働くが村に住めない者もいる。子どもの声以前に結婚問題が深刻」など切実な要望も出た。

 さらに定住人口の増加策の受入れ問題も出た。昨年から長瀬で就農する青年は「村に新規就農者の受入れ体制があるのか。個人まかせの感がする」と困惑ぎみ。策定委員からは「新規就農はIターン、Uターンの受入れに通じ、受入れ制度がないのは驚きだ」などの意見も出て、政策的な受入れ体制の必要が表出した。

 復興計画は、来月に計画骨子を発表し、10月には計画策定を完了する計画だ。

観光協会一本化、栄村と秋山郷   5月18日号
 全国的知名度の「秋山郷」、震災復興のムラで知れ渡った「栄村」の両ブランドを活かし観光振興をはかる「栄村観光協会」、「秋山郷観光協会」の一本化協議が始まった。16日、両協会役員が秋山郷小赤沢とねんぼで初会合を開き、事業内容を協議。7月に新生「栄村秋山郷観光協会」を立ち上げる方で合意した。

 
 両協会一本化は、宿泊業主体で独自活動の秋山郷観光協会(山田克也会長)、千曲川流域の商工業者らで作る栄村観光協会(会長・島田茂樹村長)は、共に高齢化が深刻で事業活動の継続が難しくなってきた背景があり、統合で村民総参加の観光振興がねらいだ。   
 だが課題もある。秋山郷観光協会は看板整備など独自活動を40年間継続し、秋山地域全戸加入で支援活動する一方、栄村観光協会は行政イベントの協賛など独自事業は少なく、活動の取り組みに温度差がある。山田会長が指摘するように「観光客を受け入れる村内宿泊施設は秋山郷以外は森の吉楽旅館と振興公社施設だけ。一本化は栄村すべての観光を伸ばす契機となりうる」という。このため秋山郷観光が主導する形で新観光協会が立ちあがる見通し。会長人事は「新協会長は村長兼務はしない」ことで合意し、民間力で観光推進を図る方針だ。
 
 16日の「栄村秋山郷観光協会設立準備委員会」は両協会役員、齋藤家富副村長、斎藤文成商工観光課長ら19人が出席。行政事務局が検討プランを作り協議。新協会設立に伴う会員加入が課題。「この機に辞める人が増える可能性がある。協会加入のメリットが必要」、「将来的に村予算で会長を専従職にできないか」、「津南との連携を強め、見玉や大赤沢までのバスを奥まで入れる対応を」など提案が多く出た。
 
 昨年の栄村観光入込は秋山郷2万4518人(うち宿泊1万1315人)、千曲川流域5万4791人(同3722人)で計8万人余、10年前の約16万人から半減している。次回会議は来月6日。

明日へ「観光産業、地域づくりの重要要素」高橋真人さん(NGP津南) 25歳
 今月10日、上司と2人で営業担当エリアの新潟県北部の村上、五泉、新発田などを営業してきた。朝7時に家を出て、職場のニュー・グリーンピア津南に帰ったのは夜7時。「まだ上司の後を付いて行くだけですが、勉強になります」。今春、営業部に配属になった橋真人(25)は、ちょっと緊張気味に話す。高校から大学とテニスに取り組んだ体育会系のフットワークの良さが持ち味だ。

 環境社会学の研究者、熊本博之教授ゼミで、「地域づくり、まちづくり」を調査研究し学んだ。東京郊外の日野市にある明星大人文学部で社会学を専攻し、全国の地域づくりなどを調査。特に卒論で取り組んだのは、全国はじめ世界が注目する『大地の芸術祭』。
全国の地域づくりの実践事例を調べる中で、その成功例として「大地の芸術祭」がクローズアップしてきた。それは、自分が生まれ、育った地を舞台に開く「越後妻有トリエンナーレ・大地の芸術祭」だった。  

 小学4年の時、第1回が開かれたが、「あまり記憶にないですね。ですが、調べるうちにその成功の要因が見えてきました」。過去4回の作家や作品資料、写真などを集め、時には作品の現場を訪れるなど徹底的に調べ、その作品の空気感を現場で感じた。
卒論のテーマは『大地の芸術祭がムラに与えた影響』。調べる中で見えてきたのは、この地の基幹産業である農業との関係、さらに中山間地独特の地域性だった。

 「農業には収穫の喜びがあります。芸術祭作家は住民を巻き込み、作品制作をします。さらに芸術祭に訪れる人たちと地元の人たちとの交流。その場面、場面に喜びがあり、感動があります」。今夏5回目となる芸術祭は、その農業収穫の喜びと同様に、その喜びが幾重にもなり、エネルギーとなり、継続のエネルギーになっていると考え、卒論をまとめた。
 
 この地域のために、自分は何ができるか。「やはり観光分野は、地域づくりの大切な要素です。自分を育ててくれた地域のためにと考えました」。大学卒業後の進路を地元志向に絞った。
 ニュー・グリーンピア津南は、地域観光の拠点。「地域づくりについて学んだことが、少しでも役立てばと考えました」。津南地域をもっと元気にしていきたいという思いが通じ、今春から同津南で働く。同期は4人。男は自分1人。「皆で盛り上げていきたいです」。
 
 営業部配属になったが、今はまだ研修期間。担当エリアは県北地域。1年間は上司と2人で観光関連会社や得意先、道の駅、企業や団体などを毎週1回巡るほか、ホテル業務すべてを経験する。「やはり津南のセールスポイントが大事。自分が、この津南の魅力をしっかり分かっていないと、営業先では話せません。もっともっと勉強が必要です」。
 
 首都圏から直通シャトルバスを運行する同津南。東京都内の区と保養所契約を結び、誘客効果を高めている。外国、中国からの利用も増えている。「自分の仕事の幅を広げられるように、視野を広げたい」。

インサイドリポート「住民が求める議会、議員とは」、住民懇談会取材  5月11日号
 昨年11月の改選で誕生した新生・津南町議会。「住民との直接対話を」と先月25日から1日まで町内20会場で行った「住民・議会懇談会」。住民の関心はいま一歩だった。最少は25日開いた貝坂公民館の2人、最多は1日の鹿渡新田集落センターでの21人。町中央部の大割野区民会館では8人だった。河田強一議長は「これまでの議会報告会より参加数が増えている。気軽に懇談できることで、今後さらに増えるだろう。いただいた意見や要望は議会活動に反映すると共に、町への要望事項にも入れたい。毎年開催する方針だ」と話している。

 今回の住民・議会懇談会で各集落代表に通知した開催日程資料に、同懇談会の考え方、議会の臨む姿勢が明記されている。
『地方分権時代にあり、自己決定、自己責任、自己負担が求められるなか、議会が住民に信頼され、住民と協働の町づくりを実現するためには、町づくり政策決定過程への住民参加が極めて重要』。情報の共有、議会の説明責任、議員は一部地域や職域の代弁者ではない、など懇談会の必要性を述べている。

 さらに、同懇談会開催の背景も指摘している。『4年に一度の選挙が済めば、その後はお任せ民主主義では、町政の進展は望めない。町民に役立つ議会づくりには、住民の声を聞き、住民と議会の距離を縮めること』としている。

 この懇談会、住民はどう受けとめたのか。議員経験年数別に縦割りで決めた1班3人編成が4日間、20会場で午後7時から9時頃まで開いた。最多世帯数、最多人口の大割野区民会館3階ホールでの懇談会は初日の25日。議会からは草津進、滝澤茂光、桑原悠の3氏。
参加住民は8人。余りの少なさから開会を5分ほど遅らせたが、その後の参加者はなかった。3月の新年度議会での議案審議、決ったことなどを説明。同時に懸案事項の町立津南病院、統合計画が出ている町立小学校の今後、さらに災害復旧状況など、町政が直面する根幹事業、インターネット中継などを説明し、住民からの意見を受けた。

 大割野会場では、少ない参加数だったがほぼ全員が意見を述べた。地元課題では県立津南中等校の通学歩道整備の必要、さらに小学生の通学道路の危険性なども指摘。一方で、町政の大きな課題である農業問題では「苗場山麓の有効活用のためにも畑を水田化するくらいの意気込みで、山麓開発地から収益が上がるような取り組みを議会でも真剣に考えてほしい」など、議会活動への期待か聞かれた。
大割野会場に参加した高橋修二さん(61)は、「この参加数は少ないのか、それとも8人も来たのか、だね。議会に魅力がないのか、住民に関心がないのか、きっと両方なんだろうね。ただ私は今夜来て良かった。こういう場はとても大切と思う。なんでも気軽に話せることで、議会と住民の距離が縮まるから」と参加数より懇談会の中味が大事を述べていた。

◆◆◆

 一方、20会場で最多21人が参加した鹿渡新田会場には、連休で帰省中の同地出身者も参加。津南町が昨年から実施の「認証米」の売れ残りが問題視された  
「なぜ売れないのか、議員の皆さん考えましたか。自己満足では売れない。営業努力が足りない、それが理由です」。住民の厳しいストレートな意見に、議員は言葉に詰まった。さらに津南の民間米業者が東京で高い高級米を販売している実態を話し、「議員の皆さん、その現場を見るべきですよ。単に認証しただけでは売れません。相応の売る努力が全く見えない」。

 さらに住民からは、上村町長の町政方針第一に掲げる「町民所得の向上」を取り上げ、「具体的な政策には何があるのか。目標年次を決めた具体的な計画はあるのか」と、同政策に対し議会内でどう議論されているのかを指摘。この質問に対して議員からは、認証米事業や農業振興などを説明したにとどまり、明確な意見は聞かれなかった。

 さらに議会審議では出なかった論点も出た。「町総合センターを1・3億円で改修すると計画だが、あの建物は相当古い。ならば、これから十日町市が中里に建設する総合体育館を津南町民も自由に使えるような、連携できる取り組みに予算を活用すべきだ。町総合センターは取り壊すべきだ」など具体論が出た。

◆◆◆

 一方、議員は今回の住民懇談会をどう受けとめたのか。2期議員のひとりは話す。「今回の懇談会を通じて、津南町の現状を知ってほしいと財政状態などを分かりやすく話したが、『そんな暗い話しばかりではなく、明るい話はないのか』などと言われた。確かにそうだが、先ず町の状態を知ることが、次へのステップになる。住民との懇談で距離が縮まったと思うが、今度はテーマ設定もいいのでは」。ベテラン議員のひとりは「これまでも議会報告会は開いているが、なかなか参加者が増えない。開催時期の問題もあるが、住民がその時、何に関心があるか、ポイントを絞った懇談の方が関心も高まるのでは。さらに議員が個人意見を言えないということも課題の一つだ」と話している。

 新生・津南町議会の意欲性を住民は認めている。インターネット中継もそのひとつ。議会という組織体での活動、さらに議員という個人活動、その境目の難しさが今回の懇談会に出ていた。その中途半端さを住民は鋭く感じていた。議会活動は、議員個々の活動の集大成。さらに一歩も二歩も踏み込んだ住民対話が求められる。

写真・先月25日開催の大割野会場の参加住民は8人だった

明日へ「女子美から十日町・きものブレイン」、櫻井奈津美さん  5月11日号
 小学低学年の頃、祖母がゆかたを作ってくれた。3歳違いの姉とお揃いのゆかた。姉は蝶をあしらった紺地、同じ蝶柄で色違いの赤。その生地を祖母は、木の尺物差しで2人を採寸、裁断し、夏祭りに間に合うように作ってでくれた。「嬉しかったですね。あの頃から、伝統的なもの、ものづくりが好きだったようです」。つくばエクスプレスが通る茨城・守谷市で高校まで過ごした櫻井奈津美(23)は、女子美術大学を卒業した今春、十日町で新たな一歩を踏み出している。今も時々、祖母のゆかたのことを思い出す。

 女子美大の卒業作品は「酔芙蓉(すいふよう)」。180a×200aの大作。「実家に置いてありますが、大きすぎて飾れません」。この作品で卒業制作賞を受けた。女子美では日本画を専攻。植物を多く描いた。教授から時々言われた。「君の絵の色使いは土の臭いがする。泥臭ささを感じる君らしい絵だね」。植物だけに緑を多く使うが、その緑の色使いに、それまでの経験が育んだ感性が表われる。

 「自然の色合いが好きですね。日本画は自然のものを使います。自然の色を見るのが好きです」。高校時代、美大進学を決め、高校に通いながら予備校に行った。「小さい頃の体験などが、自分も中にずっとあったようです」。油絵、デザインなどいろいろな分野の基礎勉強をしたが、「日本画はいちばんしっくりきました。肌が合うという感じでしょうか」。日本画は岩絵の具を使い、『にかわ』で色を定着させるなど扱いは難しいが、感性の世界は無限に広がる。

このまま絵を描こうか、社会に出ようか、迷った時期があった。「社会に出て、仕事をすることで、さらに視野が広がる」と、自分が好きな分野を中心に就職活動。新卒募集の中で「きものブレイン」に目が行った。『修正デザイナー募集』。「気になる会社でした」。実家の茨城から遠いと親は難色を示したが、「親には内緒で受けました」。女子美時代の作品録を持参。「きものを描きたいと、以前から思っていました。恵まれた環境に入ることが出来ました。感謝しています」。

 今は研修中。社会人としての一歩を歩み出している。いろいろなセクションを経験し、業務内容を体験する。  
女子美時代にも、きものを描いた。「でも、教授から言われました。『うそっぽいね』。私は、自分で体験し、自分の中に蓄積しないと描けないタイプなんです。それが絵に出たのでしょう。ずばり言われました」。
 それだけに、「今の恵まれた環境の中で、きものを描きたいです。だた、きもの姿なのか、きものそのものなのか、自分の中ではまだ決っていません」。さらに感性を磨きたい、という。

 きものブレインは今春、『第2回日本でいちばん大切にしたい会社大賞』の審査委員会特別賞を受けている。「とても良い雰囲気を感じています。毎日が勉強です。まず、自分を磨くことです。それが、自分が出来ることにつながり、仕事にプラスになると思いますし、自分も成長していけたらと思います」。

 女子美時代の日本画の画材一式は、十日町に持ってきた。初めての雪国暮らし。冬の通勤を考え、会社に近いアパートで自炊生活。「この街は、実家の雰囲気に似ていて、とても安心感があります」。これから、この地で育まれる感性は、どんな日本画を生み出すのか。その感性が描く「きもの」を見たい。

東京神田に「栄村」18日開店、早大教授らが復興支援、食材直送  5月11日号
 県境地震の被災地・栄村の復興を応援する居酒屋が今月18日、東京神田に店開きする。震災前から同村の村づくり活動や村民と交流する早稲田大・大学院教授が居酒屋オーナーとなり、同村から食材を取り寄せ、村の女性らが「女将」として店に立つなどして「栄村ファン」を増やしたい意向だ。18日の開店には、同村から村観光課長や村民が出向き盛り上げる計画で、同村の旅館女将が旬の山菜料理や郷土料理、地酒を提供し、東京のど真ん中に『栄村』が誕生する。

 「栄村の定住人口を増やしたい」。同村ならずとも中山間地の自治体共通の課題。環境マネジメントやCSR(組織の社会的責任)が専門の早大大学院・黒澤正一教授は、同村との関わりの中で、『村外村民』を増やすことを提言。Tターン、Uターンを定住につなげるためには、『栄村ファンの裾野を広げる』方策の必要から「居酒屋」を構想し、昨年から準備を進め、ようやく実現した。

 その思いを込めた居酒屋は『ふるさと酒場さかえむら』。JR神田駅北口(徒歩3分、ニューセントラルホテル前)の好地、元気ビル3階のフリースペース約30坪に出店。28席が確保できる。スタッフの関係で当面は毎週木、金曜の夜6時から11時まで営業。食材は栄村から毎週直送し、メニューは栄村料理に詳しい同村の吉楽里美さん(吉楽旅館女将)が担当。その時々の栄村や津南、十日町地域の旬の食材でオリジナルメニューを提供。地酒は津南町の酒蔵(津南醸造)の酒を使用する。

 時には自ら店に立つ黒澤教授。「栄村を知らない人へのアプローチの場。栄村はいいなぁと思っていただける場にしたい。そのためにもリアルスペースとして、五感で栄村を感じていただく。食は当然として聴覚、触覚も用意し、栄村ファンを増やしたい」。すでに栄村ファンの法政大の女性教授、大学ゼミ生などがスタッフ協力を申し出ている。店内は同村の写真家の風景写真や猫つぐら、民具、工芸品、さらに新幹線・湯沢駅から同村までのルート写真なども掲示し、「栄村への旅愁感」を演出する方針だ。

 旬の食材で伝統料理やオリジナル料理を提供し、月に一度は同店女将役に立つ吉楽里美さんは「食材と共に山菜取り名人や渓流釣り名人など、栄村の人たちをどんどん紹介し、『栄村に行ってみたい』と思っていただける情報もお話したいですね。私がそんなクッション役になれたらと思っています」と話している。提供の郷土料理やオリジナル料理は、それぞれ食材説明や由来などを表示する計画。開店の18日は、NHK「ニュース9」が取材に入る予定だ。

写真・18日の開店を前に打ち合わせをする黒澤教授(右)と吉楽旅館の女将・里美さん

県内初、魚沼産100%そば粉「ふのりそば」新発売、津南・旭商事  5月11日号
 ◎…創業75年の津南町の老舗のそば製造会社「旭商事」(鈴木敬雄社長)は、県内では初めて地元魚沼産そば粉100%の乾麺「ふのりそば」を商品化し、5月から全国販売を開始した。「地元の魚沼産そば粉の品質は高く、量的な確保がようやくでき商品化が実現した」と自信作を発表した。今後首都圏でもPR活動を行う計画で、新潟県アンテナショップ、原宿・表参道の「ネスパス」でアピール活動を行う方針だ。

 ◎…今回の玄そば確保は地元でそば栽培に取り組む「株式会社苗場農産」(滝沢元一郎社長)が、栽培面積を増やし、そば増産が実現したことによる。昨年4月設立の同農産は町内小松原や米原、沖ノ原などに用地確保し、昨年10d余りのそば粉(トヨムスメ)を収穫、うち6dを旭商事に供給。今季同農産は25f、約20d収量を見込む。旭商事は約10dを確保し、「さらに高品質な乾麺そばを提供したい」としている。
◎…商品化した「ふのりそば」は、同社が創業時に取り組んだ当地の伝統的な製法によるそば。海藻の「ふのり」をつなぎに、香り、風味に優れる地元魚沼産100%のそば粉を使い、その配合率は50%以上にした。乾麺で魚沼産100%、そば粉割合50%以上は県内では初の商品。「乾麺の場合、そば粉を増やすと、のど越しが落ちるが、今回の商品化ではのど越しの良さを保ち、風味と香りがさらに良くなった」と鈴木社長。県内でも上質なそば粉生産地の魚沼産100%使用によりコスト高になったが、「良質な地元そば粉の確保が実現し、長年考えてきた商品ができた」と話す。『ふのりそば』は1束180c380円。同社は5年前からすべて国産そば粉を使用。今回の新商品開発に合わせ「そばのゆで方」も提案。5分ゆでの場合、「1分間強火でゆで、あとの4分はそのまま湯の中で蒸らす」。食感の良さがよみがえる。旭商事рO25・765・2069

芸術祭作家、子たちと作品作り、沖縄の渡辺美和子さん  5月11日号
 今夏の第5回大地の芸術祭の出品作家に決っている沖縄のアーティストで児童館センター館長である川端美和子さんは、3年前の同芸術で沖縄や十日町、松之山の子たちと感動的な大合唱作品を展開し、今も松之山地域と合唱交流し、今夏の参加に向けた作品作りが始まっている。2日には川端さんが松之山を訪れ、「この地は私たちの命の大地なんです、と芸術祭に訪れる世界の人たちに伝えましょう」と集まった小中学生らに芸術祭参加を呼びかけ、地声に込めた歌・合唱への熱きメッセージを伝えた。

 川端さんの今回の芸術祭参加作品テーマは『伝統の風の中で』。前回作品は、当地に伝わる「からす踊り」をモチーフに、沖縄で主宰する児童センターの子たちと共に参加し、十日町地域の子たちと大合唱ステージを発表し、大きな感度を呼んだ。その時、同じステージに立った松之山の子たち。以降交流が続き、沖縄のグループ「風雲」と連携し、「松之山風雲」(高橋清一郎世話人)を作り合唱活動を続けている。今夏再度、川端さんと松之山の子たちが芸術祭ステージに立つことが決まり、2日は川端さんが作品構想を説明し、「すでに松之山の小中学校長さんには話しています。2百人合唱を実現したい。皆で歌うとエネルギーが伝わる。友だちを誘って、歌おう。皆さんが試されているのです。これが生きる力です」と子たちに話し、「沖縄からも仲間たちを連れてきます」と芸術祭への取り組みを求めた。

 川端さんの作品のステージ発表は芸術祭の最終日前日、9月16日のフィナーレ前夜祭で、まつだい能舞台のステージに立つことが決っている。計画では、沖縄の空手「小林法武聖館牧志道場」の瑞慶覧長美氏ら12人の門下生の演武、地元松之山の「湯山神楽」、そして200人大合唱を予定している。

ようやくカタクリ咲く、秋山郷見倉の大群落  5月11日号
 ○…薄紫の可憐な春の妖精、カタクリの花がようやく咲き始めた。秋山郷見倉のカタクリ群生地。いまだ林床に残雪があるなか連休から開花し始めた。見頃は
今月中旬まで。
 
 ○…春遅い秋山郷は、県内でも遅く咲くカタクリ群生地として知られる。津南町観光協会、秋山郷観光協会が共同で3年前から草刈り、遊歩道整備し、年々群落が広がっている。連休中には大阪のカメラマン一向がバスで訪れるなど人気だ。シラカバの萌える新緑、その林床には紫のカタクリのじゅうたん、最高の撮影スポットになっている。林道秋山線は落石や雪崩の危険で通り抜けできず、全線開通は来週末の見込みだ。

病気に克つ、生きがいにラーメン店を   5月11日号
 ○…津南町船山新田に小さな食堂が6日オープンした。「食事処和(なごみ)」。料理番は月岡和明さん(55)、女将は美枝子さん(同)。結婚37年目の同級生夫婦が営む、12席の小さな食堂。「いつもみんなが和み、明るく楽しく過ごせる場に」と話す。看板メニューは『和ラーメン』。シンプルで奥深い味にと鶏ガラベースのしょうゆ味、自家製チャーシュー付。一杯ワンコイン(5百円)で提供。誰でも手軽に楽しめるようにと想いを込めた。
 
 ○…和明さんは8年前からパーキンソン病を患い闘病中。昨年、調理担当で長年勤めた津南病院を退職。その後、しなの荘で2ヵ月余働き昔から夢だった自分の店を持とうと決意。「無駄を出さず、いかに喜んでもらい利益を出すか。職人の原点、働く意義を再確認した」。昨年末から開店準備を始め、自宅わきの小屋を改修。「開店は病気と闘い、勝つためでもある。体が動くうちは続けたい」。美枝子さんは「夫の念願でもあり、協力し一緒にやろうと決心しました。倒れる時は一緒ですね」と笑う。和明さんの一字を取った店名は美枝子さんが付けた。夜も営業し地域の憩いの場を提供。営業時間は午前11時から午後2時、午後5時から10時。水曜定休。食事処和пi765)3845。

写真・自宅わきにラーメン店をオープンした月岡さん夫婦

湖面に幻想空間、中子の桜満開、全国からカメラマン  5月4日号
 ○…鏡のような湖面に満開の桜、その木の下には真っ白な残雪。このベストショットをねらいに全国からカメラマンが訪れる津南町の「中子の桜」。先月27日頃から開花し、早朝から連日多くのカメラマンの姿ががある。県内はじめ京都、群馬や栃木、名古屋など県外車が多く、今季は撮影会の一行が大型バスで来場している。3年前から通う新潟市の木下信雄さん(71)。「写真雑誌で知ってから毎年来ている。今年は咲き方もいいし、残雪もある。最高だね」。
 
 ○…地元も盛り上がる。「今年はすごくきれいに咲いた」。湖畔に住む山本光夫さん(82)は最近、鳥害で開花しない桜が気になっていた。だが今年は久々の満開。「雪が多かったせいか、鳥がつぼみを食べず、これだけ咲くのは5年ぶり。見ていて気持ちがいいな」。28日と30日、投光器で初のライトアップ。3年前に植樹した新たな桜も花を付け、春の津南名所は今後も人気を集めそうだ。

毎週2品放射線調査、津南町が独自調査へ、県内初  5月4日号
 東日本大震災での福島第一原発事故で大量の放射性物資が大気中に放出され、保育園や学校給食の食材への汚染が心配されるなか、新潟県は4月から、県内の地域振興局に放射線測定器を設置し、市町村持込みで毎週1回1品の検査に応じている。十日町市では県事業を4月から実施しているが、津南町は独自で給食食材の放射線検査を実施する計画を進めている。単独市町村での検査実施は県内初で、町では「県の食品調査は実効性が薄く、特に毎日食べる米と牛乳も調査し、町民の安心感に応えたい」と来月中旬からの実施したい方針だ。

 津南町と町教育委員会が計画している給食食材の放射線量検査は、町内津南原の食品加工販売会社「津南高原農産」(鶴巻義夫社長)の協力を得て実施する予定。同社は昨年11月、独自に放射線測定器を導入し、自社製品などを検査しているほか、持込み検査(1回5千円)にも応じている。
導入した放射線測定器は県が地域振興局に配備した機器より精度が高く、約4百万円の高性能機器「EMF211型ガンマ線スペクトロメーター」。セシウム134、137などを約1時間の検査で検出ゼロから測定できる。県が4月から行う検査は20ベクレル以上を検出基準に置いているが、4月から国基準が厳しくなり県基準見直しを求める声も出ている。県は米と牛乳は各出荷機関が検査を行うため、県検査の対象外にしている。

 このため津南町は、検査基準をさらに厳しく「10ベクレル以上」を検出基準に置く方針。さらに県検査ではできない牛乳などの「液体検査」も津南高原農産の機器ではできるため、「日常的に食する米と牛乳の検査は、大きな安心感につながるはず」と実施する。

 町と町教委が計画している給食食材の放射線検査は毎週1回2品を検査。町内には給食センターなど小学校5校、保育園7施設の全町で13の給食調理施設があり、検査順番を作り、使用頻度が高い食材、出荷規制区域周辺の産物、さらに地元食材など各調理施設の食材を検査する方針だ。

 町教育委員会の桑原正教育長は「4月から国基準が厳しくなり、同時に県が行わない毎日食する米や牛乳の検査が独自に出来ることは、地域への大きな安心感につながるはず」と、来月中旬の実施にため準備に入っている。

写真・津南高原農産が導入した放射線測定器

連載「明日へ」 緑の協力隊から栄村定住、「ここに居たい」と思わせる魅力  5月4日号
 6年前、『青春18きっぷ』で飯山線に乗り、十日町市から長野へ向かった。「森宮野原駅という駅名が記憶に残っていました。私が住んでいる大宮に、宮原駅というのがあり、へぇーと、その時は思ったんですが…。まさか翌年、自分がその駅の村に来るとは思いませんでした」。

 埼玉・大宮生まれ。東京農大で生産環境工学を学び民間企業へ。現場業務から本社勤務となり自宅と会社の往復の毎日。「次第に疑問を感じ始めた。このままでいいのか、と」。

 2007年、NPO緑のふるさと協力隊に応募。「これまで経験したことがない全く別の分野、農業をしてみたいと思い、協力隊に応募しました」。第一希望は農業がメインの「栄村」に。面接選考を経て希望通り、栄村への派遣決定した。

 08年4月から1年間、村内農業や伝統工芸品作りなど多様な業務を体験。村紹介の月岡の空家で自活。「隣のおばあちゃんやおじいちゃんが『夕飯に来こらっしゃい』と誘ってくれるんです」。これまでの人生では、体験しなかった毎日。農作業協力で出向いた農家では夕食をいただき、収穫した野菜までもらった。

 これまでに栄村を訪れた協力隊員がそうだったように、1年間の契約満了後、「帰りたくない」と思った。「人と人のつながりの大切さを実感した。もっとここに居たいと思わせるものが、この村にはある」。一方で「このまま帰ったら、ここに来た意味がなくなる」と感じた。

 ムラには、生活の潤滑油ともいえる『お茶会』がある。どこの家でも「お茶飲んでいかっしゃい」と声がかかる。「おじいちゃんやおばあちゃんの中に、私がひとり。なんか不思議な感じだったが。でもそれが、なんとも心地いい」。
協力隊員の任期満了後も村に残り、自分で仕事探し、暮らし続けた。十日町市や中野市の民間勤務。その最中、昨年3月11日の東日本大震災、そして翌日の栄村の県境地震。地元消防団の一員として、住民支援の活動に取り組んだ。そんな中、夏頃に村職員募集を知る。

 栄村生活を通じてパートナーを紹介され、2010年、村内女性と入籍。「この村に暮らしたい」という以前からの思いを、より具体的な形にした。定住の思いは、さらに一歩、自分を進めた。「震災を体験し、自分がこの村の人たちの、何が役立てるのかと考えた時、村職員の応募を知り、これだと、思いました」。選考を受け採用が決り、今春4月から産業建設課に配属。農業委員会事務局など忙しい毎日を送る。

 「高齢化や子どもが少ないなど、将来的な課題はありますが、ここに居たいと思わせる魅力は変わらない。そう思わせてくれた人たちの温かさや優しさ、さらに自然の豊かさを、今度は訪れる人たちに、私が伝えたいね」。

 中学から取り組んだ卓球経験を生かし、ムラのスポーツクラブの卓球指導を毎週する。「長く暮らすと、魅力が当たり前になってしまうかもしれないが、『ここに居たい』というあの思いは、忘れないようにしたい」。今年2月、さらに定住の確たる要因、長女が誕生。夫として、父として、栄村での生活基盤が、根付きつつある。

任期満了まで1年、次期へ始動、関口市長後援会  5月4日号
 任期満了(来年4月30日)まで1年となった十日町市の関口芳史市長(53)。3年前の初当選が決った4月26日に合わせ、先月26日、十日町クロス10で講演会地区役員総会を開いた。市内91支部から150人余が出席。佐野良吉会長が「この1年が画龍点睛(がりょうてんせい)の仕事の1年になるように」と、任期最後の仕上げ年となるよう市政への姿勢を求めた。
 
 地区役員からも「財源厳しい市政のなか、資金・財源を生み出して事業を実現している市長で、その実行力が周囲から応援してもらえる市長であり、十日町市のために続けてもらいたい」と、出席の役員に支援活動を呼びかけた。

 後援会の激励を受けた関口市長は、就任後、取り組んだ懸案事業などの経過報告を行い、「今日(26日)泉田知事と会い、さまざまなご支援の言葉をいただいてきた。新十日町病院の公設民営方針は変わらないが設計予算がつき、魚沼基幹病院が開業する27年度に同時に一部オープンする」と見通し。懸案の市街地活性化策では、「4月20日までに旧市街地の再開発に投資したいという申し出が14件あった。さらに旧田倉、旧娯楽会館のさら地活用でも数件の事業計画が出ており、この取り組みが理解いただいている」と、1期目取り組んでいる事業実現への自信を見せた。

 さらに、全国の先駆けで導入した「地域づくり協力隊」の実践活動や大地の芸術祭を通じた東京・代官山との交流、さらに水問題で築きつつあるJR東日本とのパートナーシップなど、3年間の実績を示した。関口市長は「この1年は仕上げの1年。一日一日を無駄にせず、市民のために邁進したい」と感謝し、来年への強い姿勢を示した。
 

来たい、働きたい妻有を、今夏の芸術祭で世界にメッセージ  5月4日号
 今年7月29日から9月17日まで開く第5回大地の芸術祭。総合ディレクターの北川フラム氏は「芸術祭は第2のステップに入り、地域づくりの段階に入っている」と、妻有地域を訪れる人との交流が、「地域住民の誇りとなり、喜びとる観光へと変わる」芸術祭の方向性を強調。さらに、開催期間以外で約百人、開催中は4百人が常時働く雇用の場効果を指摘し、「来たい、働きたい妻有をめざしたい」と、芸術祭が「新しい公共」となると、官民協働の仕組みづくりの必要を力説した。
 
 今回は、既設作品やプロジェクトを含め約172作品を展開。新たにJR{飯山線の下条駅(みかんぐみ+神奈川大曽我部研究室)と越後田沢駅(アトリエ・ワン+東京工業大塚本研究室)で作品展開。田沢駅では地元グループが「駅弁」販売を計画。日比野克彦氏の松代・莇平の校舎は宿泊施設にし交流拠点に。これまでも開催の「かかしコンテスト」は世界規模に広げ、世界かかコンクールを開催。
 
 さらに津南町で前回開催の「東アジア芸術村」プロジェクトは、第1回で製作したドラゴン現代美術館、上野のレジデンスハウス、穴山や足滝での台湾や香港作家との交流を通じ、同地では過去最大規模で東アジア芸術村を展開する。芸術祭の中核、十日町市のキナーレでは2階すべてが越後妻有里山現代美術館となり、作家11人余りが作品亜展開。豪雪で倒壊した松之山・浦田地区のオーストラリアハウスは、再建工事がさらに始まり、開幕までに感性し、本格的なレジデンス拠点となる。

 この日の発表会で実行委員長の関口市長は「アートを通じた地域づくりに取り組み、人間は自然に内包される、このメッセージを世界に発信したい」と伸べ、前回36万人を上回る来場者が期待できると積極的な取り組み姿勢を見せた。

三つ子ちゃん、スクスク育つ、津南町の藤ノ木さん夫婦  5月4日号
 ☆…津南では珍しい三つ子ちゃんがスクスク育っている。津南町朴木沢の、藤ノ木仁さん(28)、涼子さん(27)夫妻は昨年10月14日に三つ子の2男1女を授かった。体重1200c前後で生まれ、最初の1ヵ月半は保育器に入っていたが、今はすっかり健康そのもの。「本当に無事に育ってくれてよかった」。一気に増えた家族に囲まれ、忙しくも楽しい日々を過ごしている。
 
 ☆…高校時代からの交際期間を得て3年前に結婚したふたり。昨年4月に妊娠。「病院では最初、双子っぽいけど、1人だねと言われました」。だが次の検診で三つ子と判明。「近い親族にも双子などはおらず、自然妊娠で三つ子と聞いた時は驚きました」。お腹にいる胎児3人の重みで出産が早まらないように処置を受け、長岡日赤で3ヵ月余入院、無事出産。長男は結斗、次男は陸斗、長女は仁菜(にいな)と名付けた。「母子手帳を3つください、と言ったら役場の人に驚かれたのを今でも覚えています」。
 
 ☆…結斗、「長男は家族を束ねる『結ぶ』という字です」。陸斗、「のびのび育つイメージ。陸には人に優しくできるという意味があります」。仁菜、「人に愛し愛される子になって欲しい。生まれた時は1100cと一番小さく、旦那と同じように大きくなって欲しくて一字を貰いました」。

 ☆…1人が泣けば全員が泣き、笑う時は共に笑う兄妹。一度に3人の母となった涼子さん。「初めての子育てで3人なので大変ですが、元気に大きく育てます」。約5fの稲作栽培を中心に生活を支える仁さん。「生まれた時はとても小さく、大丈夫かと思ったが、今は大きくなり嬉しい。子どものため稼ぎますよ」。笑顔を絶やさず、子育てする毎日が続いている。

笹沢少年消防クラブ発足、夏にはキャンプも  5月4日号
 ○…わたしたちが防火、防災の担い手に―。十日町市地域では初となる少年消防クラブが28日、津南町の笹沢地区(外丸、三箇)に発足。地域の小学1年生から中学1年生まで総勢47人が入団。「防火・防災活動に取り組みます」と誓った。
 
 ○…誕生したのは「笹沢少年消防クラブ」(涌井夏輝リーダー)。発足式で同クラブの福原照男会長は「防火、防災の対応を身につけ、元気で楽しいクラブにしていきましょう」と呼びかけ、桑原正教育長や高橋隆之十日町消防署長らが「みなさんの活動が地域の大きく影響します。火事を起こさない地域づくりを進めていきましょう」などと話した。真新しいクラブ旗を受けた涌井リーダーは「東日本大震で多くの人が犠牲になり、長野新潟県境地震でこの辺も大きな被害がでました。消防クラブ員として困った人たちに手を差し伸べていきたい」と決意を語った。同クラブでは今夏、地元で防災キャンプを開き、シートのたたみ方やナイフの使い方など実地体験を行う計画だ。


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