お問い合わせへジャンプ!
広告掲載のご案内へジャンプ!
購読のご案内へジャンプ!
トップページへジャンプ! 今週の津南新聞へジャンプ! テーマ別掲示板へジャンプ! なんでも掲示板へジャンプ! 妻有に生きるへジャンプ! ねっとわーくへジャンプ! リンク集へジャンプ!
home > 今週の津南新聞トピックス

2011年10月の津南新聞「トピックス」

過去の津南新聞トピックス
津南町議選、新人桑原悠氏(東京大大学院生)トップ当選  10月31日号号外
 任期満了(11月9日)に伴う津南町議選は25日告示、30日投票で行い、注目の新人で東京大大学院生、桑原悠氏(25、貝坂)が町議選史上、最多の1144票という驚異的な得票で初当選を飾り、新人4人は全員議席を獲得。だが、桑原氏のダントツの得票の影響で、他の新人票は伸びなかった。一方、4年前の前回、トップ当選した福原照男氏(69、外丸本村)は395票も減票し、最下位当選の草津進副議長(62、赤沢)に26票およばず惜敗した。
 
 開票作業は30日午後7時から町役場庁舎大会議室で行い、前回と同様、約1時間半で開票結果が出るなどスピード開票となった。トップ当選の桑原選対は、開票待ち会場の貝坂公民館に集まった60人余と共に「やったー、バンザイ」と初当選を喜び合った。なお当日有権者数は9226人(男4444、女4782)、投票率は81・67%(前回84・49%)。関連記事=2面、各選対当選の喜び、3面町議選写真ルポ、4面「保存版、津南町議選結果」


『郷土を愛す』。小学6年の時に、桑原悠さんが書した掛け軸を自宅から持ち込み、大広間に掲げた貝坂公民館2階。住民60人余が集まるなか、ニット系の白いワンピース姿で現れた桑原さん。「皆さんのおかげです」と深々と頭を下げると、「悠、おめでとう」の大合唱。後援会長の桑原稔さんは、「とんでもない数字を出してくれた」と1144票という津南町議選史上、最多の得票に驚き、満面の笑みで初当選を祝福した。
 
 「育ててくれた津南町のために」と、町議選出馬表明したのは告示1ヵ月前。選挙戦は、津南中学同級生で地元に暮らす7、8人を母体に、家族や親戚など限られた人員で臨んだ。9月末に車免許を取り、冬でも大丈夫と求めたジムニーが選挙車。「皆で考えました」と、丸いステッカータイプの名前シールを車体に張る。
 
 告示後、日ごとに変化が見られた。自宅の選対事務所に「こっちにも来てくれ」、「顔が見たいてー」とお年寄りなどから続々と電話が入った。責任者の村山文雄選対本部役員(48)は「全く知らない人からの連絡が増えていった。すべてが初めて。全く読めない選挙だった」と振り返る。
 
 来春大学院卒業の桑原さん。早大、東大大学院での活動で得た『アイディアは地方から生まれる』は、自分の信念ともいえ、これからの議会活動のベースになる。「自立の道を選んだ津南町。津南が本当の意味で自立するには、自らアイディアを出し、実現していくことが必要。そのアイディアの源泉は津南町すべての人たちです」。町民総参加の津南町づくりの必要を話す。
 
 選挙期間中、「何も受け取らない」方針を貫いた。当選が決った30日夜、集まった60人とお茶とケーキで乾杯。「初心を忘れるな」の声が飛び、「津南町をしっかり回ります」と約束した。

写真・トップ当選で選挙中、一緒に回った中学時代の同級生と初当選を喜ぶ桑原悠氏(中央、30日夜8時半、津南町貝坂公民館で)

解説

開票が始まり1時間半後の午後8時29分。開票所の津南町役場庁舎3階大会議室。確定結果の発表。「桑原悠1144票」。どよめきが起こった。その3分後、桑原選対の開票待ち会場となった貝坂公民館2階に電話が入った。黒板に張られた開票一覧の桑原悠欄に「1144」と書き込まれると、「オー」、「やったー」の歓声。出馬表明から大きな関心を集めた現役の東京大大学院生の、津南町議誕生の瞬間だ。

告示後の26日、桑原氏は卯ノ木で個人演説会を開いた。参加住民から、こんな言葉が出た。「25歳に頼らなければならない津南の現状は、情けない」。県内、いや全国が注視したといえる今回の津南町議選の、もう一つの側面を言い当てている。「私を育ててくれた津南町のために」。桑原氏の純粋な思いが、有権者に響いたのは事実としても、今回の「1144票」という驚異的な数字は、何を物語るのか。

「期待感のあらわれ」、「いや、今の津南町議会への不満の意思表示」、「何とかしてくれ、という悲痛な叫び」。どれも当たっているだろう。8月に被選挙権を得たばかりの25歳は、選挙戦で「議会改革」を全面に出して、支持を訴えた。個人演説会では、地方交付税の仕組みと津南町の財政状態を示し、「自立の津南は、自らアイディアを出し、自ら稼ぐことが求められる」と、持論である『アイディアは地方から生まれる』を強調した。

だが、住民からは、「税金も払っていない学生に、何が分かるのか」、「頭でっかちでは、何もできない」など告示後、声が飛んだ。桑原氏は、答える。「その通りです。私ができることから始めます」。掲げる議会改革。『議会基本条例の制定』を訴えた。支持を得た条例制定の実現は、議会の意識改革に通じることといえる。
公共政策学を大学院で専攻する桑原氏の教授は、最年少知事で話題を呼んだ岩手県知事や総務大臣を務めた増田寛也氏。町議選出馬を話すと、「絶対に当選しなさい」と言われたという。COP10(第10回生物多様性国際会議)に出席した学友は、同じ東京大大学院生。これまで津南町が、なかなか持ちえなかった人的交友も、今回の町議選で誕生した。津南町の「シンクタンク」財産になる。

さて1144票、今回の町議選を物語り、津南町が直面する課題を表している。有効投票の実に15・4%を1人の議員が得票した事実を、他の議員はどう受けとめるのか。そこには「25歳効果」だけでは語られない、根深い「議会不信」を感じる。今期限りで引退する議員が話している。「議員活動の見える化が必要。議員は、片手間ではできない」。議会活動、議員活動の根本的な見直しを、1144票は求めている。

同時に、津南町が直面する課題への取り組みも、この驚異的な数字は求める。投票当日、各投票所で聞いた声で、最も多かったのは『若い人の職場づくり』。20代世代の代弁者でもある桑原氏への期待感は、実はその親世代の率直な思いだろう。議会あげての取り組みを、1144票は求めている。(恩田昌美)

出遅れ挽回、吉野徹議長5選  10月31日号 町議選号外
 一時は引退も考えた吉野徹氏(63、秋成逆巻)。後援者らからの強い要望で出馬を決意したのは告示間近の10月中旬。「落選は覚悟していた」という強い危機感が、初出馬時代からの後援会「山びこ会」をフル稼働させた。前回の519票に39票上乗せする得票で、現職では草津進氏と同じ最多の5期目当選を決めた。
 
 祝勝会は正面地区公民館で行い、尾身孝昭県議や現町議・大島知美氏、支持者ら80人余りが駆けつけた中、「やったー」「おめでとう」と歓声が上がった。
 
 花束を受けた吉野氏は「これだけの得票をいただいたことに驚いている。初当選時代から応援してくれている力強い後援会のおかげ」と声を詰まらせた。和子夫人は「私の病気で一度は止めるという覚悟をしたが、『もう一回がんばって』という励ましの声に心が揺れたようだ。私は何にもできなかった。皆さんのおかげです」と頭を下げた。阿部政輝選対本部長は「議長とは言え、出遅れで本当に厳しかった。これまで支援してくれた人たちが、再び一丸となって動いてくれた。勝因はそこだろう」と語り、その場で山びこ会の継続を決めた。
 
 今後の議会活動について吉野氏は「5期の重みを感じている。何よりも町民の声を聞いて、要望を政策に反映されるよう努めることが第一。財政問題にも取り組みたい」と抱負を語った。

写真・苦しい戦いながら得票を伸ばした5選の吉野議長(30日夜8時半、正面の選対事務所で)

単独で「自転車選挙」、中山弘氏再選  10月31日号 町議選号外
 昨年の補選で「軽トラック選挙」を行った中山弘氏(58、大割野)。今回は「型式的なことは、いっさい行わない」と支持者に宣言し、リサイクル処分場から見つけてきた自転車で、5日間、全町を回った。「あとは町民が判断してくれるだけ」。その判断は、448票。6位当選という結果。「これが1年半の議員活動の評価。ありがたい」。
 

 昨年の補選で初当選した中山氏。今回、ポスターだけは作った。ハガキや選挙広告、事務所開設、選対要員などいっさい行わず、「自分ひとりで、すべての集落を回る」。その宣言どおり、4日間で全町を「自転車街宣」。最初の2日間は雨。全身ずぶ濡れになりながらも回った。3日目には、自主参加の同行者が現れた。
 
 「中山さんは、有言実行の人。言ったことは必ずやる人。住民の声を聞き、必要なことは必ずやってくれます。そこに魅かれます」。同行した中村由美子さん(24)。今回、驚異的なトップ当選を果たした桑原悠氏と同世代。「今の議会を何とかしてくれる、そういう期待感の表れでは。この1年半の中山さんの議員活動を見れば、有言実行がよく分かります」。
 
 開票の夜、自宅に支持者30人余が集まった。勝手連的に支援した活動グループ「Wa」が用意した「五右衛門風呂」に入り、5日間の汗を流した。「悠さんの票数は、今の議会への不満の表れだろう。議員は、自戒が必要だ」と、当選の笑顔はない。

写真・独自の選挙で再選を果たした中山弘氏(31日夜9時過ぎ、津南町大割野の自宅で)

津南町議選告示、定数16に17人出馬、サバイバル戦の決着は30日  10月28日号
 任期満了(11月9日)に伴う津南町議選は25日告示、30日投票で行い、改選定数16に対し、17人が立候補、1人超過の激戦になっている。政党別では共産公認が2人、民主系1人、他は自民など保守系。政権交代した国政の影響は薄く、地域代表の色合いが濃く、加えて女性4人、幅広い年代など、従来の選挙構図とは違った様相だ。特に関心は、告示1ヵ月前に出馬表明した25歳の現役大学院生の女性。社会経験が少なく、実績ゼロの未知数を有権者がどう判断するか、今回の町議選の最大の関心事になっている。一方で、新人4人の勢いに押される現職は、無投票ムードが一転、激戦となり、「誰が落ちてもおかしくない」状況で、横一線の緊迫した情勢だ。


 激戦の選挙戦になっている。空白域と大票田の行方が焦点となる。4年前の前回は候補がいた宮野原郷地区(約千票)。今回は候補擁立が実現せず、まさに「草刈場」。同様に平成7年の候補落選以降、擁立できない船山新田から中深見地区(約950票)の動向も影響する。大票田の町中央部と共に、各陣営入り乱れて攻勢をかけている。

 さらに今改選では、女性4人の集票が大きなポイントとなる。告示1ヵ月前に出馬表明した東京大大学院2年の桑原悠氏(25・貝坂)の動向が最大の関心事。家族、親戚、中学時代の同級生など限られた体制で臨み、「議会改革」などを訴える。一方で、これまで地域一丸に至らなかった地元貝坂がまとまり、全面的な支援体制の雰囲気になっている。

 福祉業務のキャリア充分の新人、石田タマエ氏(62、反里)は、告示前に各所で座談会を開き、障害者福祉や「子どもたちに未来を」や「地域力アップ」など積極活動を展開する。選対には上村町長を誕生させたスタッフが入るなど勢いを見せる。
他の女性2人は共産公認。昨年4月の町議補選で初当選の繻エ洋子氏(61、米原)と3期の藤ノ木浩子氏(51、反里口)。両氏は全町を二分し、守備範囲を決めて、再選を期している。
有権者数は女性が330人ほど多い約4千8百人。女性4人の出馬は町議選では最多。地域代表が薄れているなか、産直など活発なグループ活動をする女性が多く、女性票の行方が一つのカギになると見られる。

▼▼▽▽

 選挙活動の変化も、今回の特色の一つ。昨年の補選で議席を得た中山弘氏(58、大割野)は今回、街宣車を使わず選対も組まず、「形式的なことはすべて排除し、若い世代でも選挙に出られることを実証したい」とリサイクル処理場で見つけた自転車で全町をまわる選挙活動を行う。初日から雨に遭い、雨具に帽子、弁当持参で「自転車選挙」を全町を回る。行く先々で住民と話し、「後は有権者が判断するだけ」と飄々としている。

 同じ大票田の大割野からは新人、風巻光明氏(60)が出馬。いち早く表明し、全町を二度歩き、行動力見せる。「町政を身近に」と、議会改革を打ち出し、住民主体の議会の実現を訴える。

 隣接地の割野から新人、村山道明氏(59)が出馬。長年の町職員経験、特に町立津南病院の勤務経験などをベースに「安心して暮らせる町づくり」を打ち出し、雪資源活用などを訴える。同地には3期の現職、大平謙一氏(66)がおり、4選めざし積極活動を展開する。同地区は大割野、陣場下、正面を含め町全体の約35%、3千2百票あり、他陣営からの攻勢も激しく、最終盤ではこの大票田の行方が焦点となる。 

▽▽▼▼

 宮野原郷に空白域ができた上郷地域。3期の河田強一氏(58、亀岡)は、上郷地域唯一の候補だが、過去3回はいずれも地元候補がいたため競合を避けたが、約千票ある同郷、他からの攻勢が激しく厳しい戦いだ。同様に上郷地域に隣接の三里地区の2期、津端眞一氏(63、上野)。4年前の前回、わずか4票差で惜敗し、昨年の補選で復活したが苦しい情勢は同じ。だが上郷地区が空白域のため積極的な攻勢をかける一方、全町で危機感を訴える。

 議長の吉野徹氏(63、秋成逆巻)は、地盤としていた十二ノ木地域が状況一変、苦しい戦い。限りある秋山郷の支援をベースに、全町を回る。国道405号の改良など積極的に取り組み、実績づくりをするが、新人出馬の影響をもろに受けている。その十二ノ木から出馬の2期、伊林康男氏(73)。一時、不出馬宣言したが、「無投票はよくない」と再出馬。前回とは地元事情は一変しているが、商工会事務局長時代のつながりなど、根強い支持者で全町展開している。

 厳しい現職は、赤沢台地も同様。副議長の草津進氏(62、赤沢)は、津南駅前で経営する温泉旅館が県境地震で被災。両地を地盤に取り組むが、5期目への厳しい戦いになっている。同じ赤沢の2期、根津勝幸氏(56)も同様に厳しい。赤沢台地・上段地域は約千票あり、他から持ってこないと足りない状況。同じ赤沢の現職、滝沢茂光氏(69)は2期をめざす。4年前の前回、あと4票の最下位当選をバネに再選を期す。厳しい地元環境のため他への攻勢を余儀なくされる一方、他からの侵攻を受け、同地の現職3人の動向が全町に影響する。

▼▽▼▽

 地元のまとまりでは町内有数の外丸、三箇地区。昨年の補選で初当選の恩田稔氏(60、鹿渡)は、都市との交流で実績を作り、地元の人望も厚いが、人口減少で地元票の倍以上が必要。昨年の補選での足がかりをベースに、積極的に全町に打って出ている。同じく1期の福原照男氏(69、外丸本村)。4年前の前回はトップ当選。前年の町長選が好影響した結果だが、今回は苦しい戦い。福祉のプロだが、同様な分野の候補が多く、競合を強いられている。

写真・激戦の津南町議選。新人に勢い、現職には危機感が(26日、正面で)

自力で「わさび田」、地域特産に、津南町相吉の鈴木重治さん  10月28日号
 自家用の飲料水や生活用水に活用した湧水「清水」を使い、独自で「わさび栽培」を試験的に始めた人が津南町にいる。全国名水100選・竜ヶ窪の隣り集落、相吉地区の鈴木重治さん(81)は、山から流れ出る清水を使い、約4坪(12平方b)ほどの「わさび田」を自宅前に自分で作った。今月22日には、山に自生する「わさび苗」を植えた。「前から考えていた。いろんな人に聞きながら、自分流で作ってみた。良いわさびができると思う」と、清流に植えたわさび苗を見て、期待感を寄せている。


 鈴木さんは以前から、「この水は良い水。わさび栽培に合っているはず」と、わさび栽培を考えていた。同地出身で静岡・伊東市で全国に知られる「わさび園」を栽培、経営する鈴木丑三さんの存在を知り、「自分でも」と考えていた。重治さんは、伊東市の鈴木さんと面識がないが、「ぜひご協力をお願いしたい。一度、お会いしたいです」と話している。


 今回、重治さんが作った「わさび田」は、自宅前の山沢から流れ出る清水を引き、3b×4bの栽培田を造成。底をコンクリート張りし、深さ50aに下層から荒い砂、細かい砂を三層に敷き、自生している山取りわさび苗を130本ほど植えた。「全くの自己流だが、この水は良いので、きっと良いわさびが育つだろう。楽しみだ」。

 さらに、同地区内の重治さん所有の田がある場所には、同地区上水道に使う湧水源があり、余水は下流に流している。「この場所は、わさび栽培に最適だと思う。ぜひ、静岡の鈴木さんに見てほしい。栽培が成功すれば、この地域の特産になる」と期待感を膨らませている。

写真・津南町相吉の自宅前に作った「わさび田」と鈴木重治さん

サケ回帰、西大滝ダムで過去最多、贈放流効果  10月28日号
 ◎…サケが続々と帰ってきている。発電用水の取水で川を流れる水量が激減し、「水なし川」といわれた信濃川(千曲川)。十日町市にあるJR東日本・宮中ダムでの不正取水問題により、河川環境を考える運動が広がり、同ダムでは昨年から5年間、放流量を変動する試験放流を行っている。昨年毎秒100d、今年は毎秒80d放流。4、5年前の稚魚の大量放流も好影響し、今期はこれまでに同ダムで122匹の遡上を確認。すべて上流に放流している。同ダムから約22`上流の東京電力・信濃川発電所(津南町三箇)の西大滝ダム(飯山市)では、今月初めから遡上を確認し、これまでにダム稼動以降、最多のサケ遡上を確認。26日までに32匹。標識などを確認し、上流に放流している。


 ◎…25日朝8時過ぎ、遡上調査をする高水漁協理事の宮本惣次さん(74)と斎藤清さん(76)は、いつものように魚道に仕掛けたトラップを調べた。「おっ、入っているぞ」。2匹のサケが元気に泳いでいた。捕獲し、体長や体重、標識を確認、ウロコ採取し、すぐに上流に放流。サケは2・5`、70aと1・5`、58a、共にオス。秋サケ独特の深い緑色と黒色の縞模様。「いやー感激だな。日本海から120`、よくぞ帰ってきてくれたという感謝の思いだ。生まれ故郷に帰る、我々も見習わなければと思う」。ずっしり重い魚体を抱え、感慨深そうに話した。


 ◎…長野の千曲川から下流の信濃川一体でサケを通じた河川環境調査に取り組み、稚魚放流も行うNPO新潟水辺の会、加藤功事務局は「ダムができてから最多数だ。ただ河川環境の改善は必要で、東京電力信濃川発電所の放水路放流量が本流より多く、サケは流量の多い方に行く。迷入防止が必要。稚魚放流時にも発電タービンへの迷入防止が必要だ」など早急の改善を求める。さらに、『クイッ放流』の効果を話す。今月9、10日、西大滝ダム点検で一時的に放流量が増えた。「北海道などで行う『クイック放流』と同じで、サケを本流に導く効果があり、その後14日から続々遡上している。維持流量20dは多いとは言えないが、放流方法の研究がさらに必要だ」と話している。西大滝ダムの確認数32匹のうち、オス19、メス13と『夫婦サケ』の可能性もある。「自然産卵している可能性がある。さらに河川環境をよくしたい」(加藤事務局長)と、利水者の取り組みを期待する。

写真・西大滝ダムで捕獲したサケ(25日朝8時20分頃、同ダムで)

最後の思い出、歴史刻む、上郷小学・中学合同文化祭  10月28日号
 「絆を深め、思い出をたくさん胸に詰め込んでいきたい」|。県境地震で校舎が被災し、津南中での間借り授業を余儀なくされている上郷中と上郷小との合同文化祭が23日、上郷小で開かれた。今年度で閉校となる上郷中最後の「思い出づくりイベント」のひとつ。前半最後の小中合同合唱では、集まった学区民も一緒に「ふるさと」を大合唱。生徒も地域住民も「この文化祭をしっかり胸に刻んでおきたい」と話し、感慨深そうに歌っていた。
 

 小中学生が一緒に作り上げる人気の合同劇は、タイトル「時をかける少女〜この地に咲く永遠のサンフラワー」。脚本は中学生徒らがまとめた。小学校からは4年生11人が参加。学年差はあるものの、同じ地区の仲間たちだけに「全員、よく知っているから」と、小学生の配役は中学生が決めた。劇の中心は、生徒会のテーマでもある「向日葵・笑顔」と「絆」だ。
 

 笑顔が消えた上郷中に笑顔を取り戻そうと2211年の時代から2人の少女が時を超え歴史を遡る。創立当初の、生徒たちが作業員となって行ったグラウンド整備、生徒が大勢で体育館を奪い合った部活動、今年3月の歴史に刻まれる県境地震も場面設定。笑いを交えながら向日葵という名の笑顔を広げていくこと、人と人との絆の大切さを訴えた。練習では学年が離れ過ぎている難しさもあったが、そこは先輩、「君たち小学生がいないと劇は成功しないんだ。力を合わせてがんばって行こう」と励ましてきた。
 

 今月30日には同中閉校記念碑の除幕式と栄中との綱引き合戦「しなちく祭り」、また来月13日には閉校式典も開かれる。PTAの小林等会長は「心に響く文化祭だった。この文化祭の思い出が『記念碑』として子どもたちの心に刻まれたことだろう」と話している。

 

王者・女子レス日本代表、津南中等校で技披露  10月28日号
 ○…「世界チャンピオン・吉田選手と握手しちゃった。うれしいー」。2011世界レスリング選手権大会(トルコ)で、国別対抗で優勝した日本選手団が24日、十日町地域の学校や福祉施設を訪問し凱旋報告。学校訪問では児童、生徒らとの対戦も行った。このうち津南中等校では、生徒たちが選手に駆け寄って握手を求めるシーンもあり、握手した生徒たちは「やったあ」と大喜びだった。
 

 ○…選手たちは同市塩之又の桜花レスリング道場での第8次合宿に訪れたのに合わせて凱旋訪問を実施。参加したのは栄和人監督、丸山秀二団長はじめ大会で金メダルを獲得した吉田沙保里、伊調馨、小原日登美ら選手6人とコーチ、トレーナーら13人。全生徒が集まった津南中等校では、体育館にマットを敷き、実際に選手と生徒らが対戦。生徒も教諭もあっという間に倒され、観戦した生徒たちは「強すぎー」などと大喜び。高橋かずき生徒会長は「迫力あるプレーで勇気をもらいました。我々も夢の実現に向かって頑張ります。これからもしっかり応援して行きたい」と選手らにエールを送っていた。

国際大学の学生ツアー、津南の縄文に感激  10月28日号
 海外にも通じる奥信越の魅力を再発見をと、国際大学(南魚沼市)の外国人学生を招いたモニターツアーは22日に開き、東南アジアや中国など14ヶ国15人が参加。津南町の見玉不動尊、紅葉色付く秋山郷渓谷、栄村のよさの里など見学。「自然がとてもきれい」や「こんな奥地に人が住んでいるなんて」などと、外国人学生の関心を集めた。参加者アンケート調査も行い、今後モデル旅行プランなど作成し、海外からの交流人口増加に役立てる方針だ。
 

 同ツアーは新潟・長野・群馬の7市町村で作る「雪国観光圏」による観光資源潜在力調査で集落風景や山岳景観が高い評価を得たことから、実際に現地を巡るプランを十日町地域振興局で企画。外国人学生の提言を受け、来年の第6回大地の芸術祭などで国内外への発信力強化を図る。町なじょもん館縄文村の復元竪穴式住居を見たミャンマーのヨー・ヨーさんは「約5千年前の人がいた住居が復元されて、実際に入れるのはとても面白いです。ぜひ一度、泊まって見たいですね」と興味深そうだった。なお同ツアーは29日も行ない、十日町市の芸術祭作品と住民の暮らしを外国人留学生が目と耳で体感する。

まちづくり公開討論会、人口問題や町政課題に町議予定者17人が意見  10月21日号
 任期満了に伴う津南町議選(定数16)は25日告示、30日投票で行うが、津南町としては初めての候補予定者全員が参加した「まちづくり公開討論会」(津南新聞社主催)が18日、町文化センターホールで開かれ、約3百人が人口対策や産業作り、福祉政策など、多分野に渡り意見を述べた。討論会は一部「人口問題」、二部「自由テーマ」で約3時間20分に渡り、17人が意見を述べた。この討論会はインターネット中継され、約450件のアクセスがあり、関心の高さを示した。同討論会は津南新聞ホームページで録画、録音が見られる。

 一部の人口問題では、「空家活用のプロジェクトチームを立ち上げる」や「子ども出生に100万円の祝い金を交付する」、あるいは「困難性はあるが企業誘致は必要。津南の特性である雪資源を活用した企業誘致を」、「人口減少を嘆く必要はない。世界で活躍する人材を、津南はこれからも送り出すとこが大事」など様々な具体論が聞かれた。

 一方で、人口対策は就業の場の確保と直結しているとして、「津南は物流コストがかかる産業は難しい。この通信インフラを活用したコールセンターなどはどうか」、また、「やはり農業産業は必要。売れる農産物をどうつくるか、研究機関など専門分野のノウハウを活用する」など具体論が聞かれた。

 さらに「津南町はまもなく人口が1万人を割る。これは大きな問題。その危機意識が薄すぎる。住たち町造りは必要だが、暮らしが成り立つのが大前提。農業分野では、いかに他産地との差別化ができるかが課題」など、1人5分の持ち時間をフルに使い、17人が意見を述べた。

◇◆ ◇◆

 午後6時半に始まった同公開討論会。終了は午後9時50分。3時間20分の熱気ある討論会となった。17人を意見を聞いた参加者は、同感じたのか。終了後、会場を聞いた。

 高橋一巳さん(58、 大割野)「インターネットで見ていたんだけど、どうせ見るならと後半から会場に駆けつけました。やはり会場は臨場感があってよかった。大勢なので ちょっと聞いているのにきつい部分もあったが、政策面で勉強していると感じた意見もあった。とにかく普段から議員報告会を開いてほしいと感じましたね」

 80歳男性(芦ヶ崎)「元気がある発言は若いものだけだったが、候補者には言ったことを当選したらきっちりやって欲しい。選挙の時だけではまったく意味がないと思う」
石沢和巳さん(25、上野)「同世代の女性がいたので参加してみました。全体的にはみんな似た意見が多く、インパクトのある意見、主張は少なかったように感じました。しかし、それぞれの個性は感じられたし、選挙に関係する討論会は初めてだったので面白かったです」

 55歳男性(宮野原)「ただ原稿を読むだけの人が多く残念。丸読みは誰にでもできる。あと福祉政策を掲げる人が多かったが、一番票がある世代を意識して言っているように聞こえる。町全体が良くなる広い視点をもっと聞きたかった」

 島田福男さん(60、 宮野原)「やはり公開討論はあった方がいい。実際にナマの声、意向を聞けるから。ただ、大勢だけに討論になっていなく、グループ討論などもっと別 の方法があればいいのだが難しいだろうな。人口問題では半数以上が統計の話で、もっと政策を聞きたかったので、そこが残念だった」

 52歳女性(正面)「人口問題の話はみな高齢化率や若者の人数など数字を出すばかりで、まったく同じに聞こえました。事前に準備したのでしょうが、発想が同じということ。議員がみんな同じ発想では困るのでもっと勉強して、色んな意見を交わせるような議会に欲しい」。 

写真・予定者17人が一堂に揃い意見の述べた(18日、町文化センターホール)

懸案の国道405号歩道整備、「通学の安全最優先」で改良前進
 20年来の懸案となっている国道405号と津南町大割野地区の歩道改良。19日には、地元選出の尾身孝昭県議が県関係者、津南町議会、地元住民と同行し、現地を踏査し、歩行者の危険性を再確認し、早期改良への取り組みをスタートさせた。

 同箇所は、国道117号との交差点から約7百bに充分な幅の歩道がなく、特に6年前に開校し、現在433人が通学する県立津南中等教育学校の生徒通学路で、朝夕、通勤車両で交通量が多いなか、生徒が幅30a余の歩道で登下校するため、以前から危険性が指摘されていた。


 今回の踏査で特に重視したのは、国道交差点から津南中教校までの約350b。同こうした地元の大割野総区長、石原友三郎さん(57)によると、朝夕の中学時は、車とすれすれで生徒が通学しており、「特に冬場は危険が大きい。道路端に雪がたまり、道路幅が狭くなる。そこと生徒が車とすれすれで通学。これまで事故が起きなかったが不思議だ。魚沼全体から通学してきているなか、通学路の安全は、最低限の安全であり、地元住民の安全にもつながり、早急に歩道を整備してほしい」と訴える。
 
 同道路の歩道整備の計画は、前小林町長がスタートした20年前から取り組み、10年ほど前には「同区間の地元で歩道整備期成同盟会を作り、地元主導で地権者アンケートなどを行い、整備へと取り組みを進めている。だが、地権者と町との意思疎通がうまく進まず、そのまま時間が経過した。

 今回の県議、県担当者の現地視察は、津南町と栄村で作る国道405号整備促進期成同盟会(会長・吉野徹会長)が要請し実現。吉野会長は「この道を通るたびに、歩行者の危険を感じる。地元も協力姿勢を見せているので、県から本腰を入れ、早急に歩道整備をしてほしい」と改めて要望。この日、現地を訪れた尾身県議は「魚沼地域唯一の中高一貫校の津南中教校には、他の地域から多くの学生が来ており、今後も来てもらうためにも通学の安全が第一。早急に取り組みたい」と積極姿勢を見せた。
 
 この日、県議に同校したのは十日町地域振興局の地域整備部、計画整備課の上村康司課長。同課は昨年、この現場を見ており、「この場所の危険性はすでに県庁に上げてあり、地元からの要望も受けている。交通量も把握しており、学生の通学状況も調査している。今後は地元との話し合いで、どういう形での改良、歩道整備がいいのか、話し合っていき、地元の声に応えられるよう取り組みたい」と話していた。

 この約350b区間、地元地権者や住宅、商店では、両側歩道を要望しているが、「計画に従う」という確認をしている。町も住宅移転の代替地を用意するなど、今後、県への働きかけを強めたい方針だ。

写真・国道405号の大割野地区で歩道整備を要望する地元関係者

「やっと」、待ちに待った開通、大倉バイパス  10月21日号
 ◎…「バイパスは津南の虹の架け橋。さらには新潟、長野両県の大いなる架け橋になる」。悲願の開通を向かえた国道117号線大倉バイパス(全長1350b)。15日の開通式。町長職を5期20年勤め、大倉パイパスの全面改良を要望してきた小林三喜男前町長は笑顔でトンネルを歩き、感慨深そうに話した。同バイパスは13年かけ完成。総事業費約42億円。「交流人口増加や地域経済発展に繋がれば」と住民期待は膨らむ。
 
 ◎…開通式は雨が降る悪天候のなか、「新しい大倉を一度歩きたい」住民が次々と来場。先着4百人に配られる記念タオルはあっという間になくなり、5百人余が参集。整備が終わったばかりの真新しい道路を踏みしめ、最新型の照明設備を設置し電気利用量は従来の半分ながらも明るいトンネル内は親子連れなどの住民で埋まった。町内押付から孫と訪れた村山重政さん(73)は「前の道は狭くてすれ違いが怖かったが、これで安心。せっかくいい道になったんだ、いろんな人が津南に来てくれると嬉しいね」と歩き初めを満喫。
 
 ◎…式典は参議院議員の長島忠美、佐藤信秋、塚田一郎の各氏、村松二郎県会議長、尾身孝昭県議、長野・宮本衡司県議、関口芳史十日町市長、島田茂樹栄村長らを始め、県や工事関係者ら百人余が出席。国道117号線の最大難所解消に上村町長は「大倉地内は陸の親知らずと言われた難所。バイパス開通は百年の長きに渡る悲願の達成。渋滞緩和や交通安全、地域経済に大きく貢献すると確信する」と長野と新潟を結ぶ重要幹線のさらなる有効利用に期待感を語った。なお大倉スノーシェッド(885b)を含む旧国道1・13`は同バイパスとの接続工事完了後に町道となり、同シェッドの活用方法に関心が集まっている。

写真・大倉トンネル歩き初めには500人あまりが参加し、開通を喜んだ

栄村震災復興、信州大が「連携協定を」、笹本副学長  10月21日号
 本格的な震災復興へ、村上げてと取り組みが求められる県境地震の被災地、栄村に心強いタートナーが現れた。16日、同村で開いた「震災から7ヵ月、栄村シンポジウム」に出席した信州大・笹本正治副学長は「人の絆の強さを感じる栄村。連携協定を結んでもいいと学長から言われている」と、栄村の震災復興に信州大が全面支援する姿勢を見せ、大きな関心を集めた。


 同シンポは村役場文化会館ホールで開き、村民や研修者など百人が参加。笹本副学長は「今回の震災で州大は、栄村で9つの研究調査を行った。信州という名がつく大学であり、そこに暮らす人たちの幸せを側面から協力していく、それも大学の大きな役割。栄村は人の絆強さを感じる」と述べ、大学として震災復興を支援、サポートする姿勢を見せ、『連携協定』を視野にしたと取り組み方針を示した。大学が全面的に被災地を支援するのは異例のことで、調査を通じて同村住民との交流が、大学を動かしたと見られる。

 同シンポでは、20年以上に渡り栄村の田を始め山間地農業を調査してきた信州大・木村和弘教授や今回の震災後、集中的に同村を調査する同大農学部の内川義行教授が調査報告した。

 この中で震災で問題視される『見える被害、見えない被害』にも触れ、「農地被害、住宅被害、さらに集落の共同施設への被害。これからすべてそこに暮らす住民一人ひとりにかかってくる。とても個人では対応できない部分が多く、心理的な圧迫と共に、住民は大きな被害を受けている。そうした住民不安を和らげるためにも、村自身が、これからどういう村を作るのか、そのビジョンが求められる」と話した。


 さらに内川教授は、震災被害における復旧、復興の取り組みの個人の限界性を指摘し、「支援が必要だ。同サポートできるかであり、行政、地元、研究者、そしてコーディネーターの4者連携が必要。この村には、そのコーディネーターとなる方がいる」と、震災後、現地レポートを発信し続ける松尾眞さん(京都精華大准教授、青倉在住)の存在を紹介し、信州大の積極姿勢を見せた。

 シンポでは住民代表の小口重喜さん(横倉)、樋口利行さん(小滝)、広瀬明彦さん(青倉)、広瀬敏男さん(森)の4人が被災後の取り組みや今後の課題を述べた。明彦さんは「農地の震災復旧は、原形復旧ではなく、使いやすい復旧が望まれる」と国基準の見直しを求めるなど、国の不備を指摘する意見が聞かれた。

真っ赤なほっちゃりイチゴ、美味しそう   10月21日号
 ○…晩秋にも真っ赤なあまーいイチゴ―。紅葉の時期を迎えたなか、シーズン最後の夏秋イチゴが赤い実をつけている。ここは津南町中子地内のイチゴハウス。カムイレッドやティンカーベリーなど6品種4千株がある。露地ではなく、高設栽培という収穫しやすいように園芸パイプで組み立てた架台の上で栽培。三条や十日町、飯山などのケーキ屋さんに直接、販売している。
 
 ○…栽培しているのはフェアリーズ・ストロベリーズ・ファーム(早川史恵さん経営)。昨年から夏イチゴの産地化をめざし、栽培を拡大しており、「ケーキにぴたり」と人気が高まっている。今年2月には出荷用のイチゴを材料にした手作りジャムの販売も行っており、友人らのツテで東京のケーキ店にも商品が並んでいる。出荷はクリスマスシーズンまで続けられるが、秋物は今が真っ盛り。ぱっちゃりした雪国育ちの赤いイチゴ、津南の高原地帯で育っている。

「買い物できます」、栄村仮設住宅に商店開店  10月21日号
 ○…地震復興をめざす栄村の横倉仮設住宅に20日、敷地内にミニ商店がオープン。パンや野菜に加え、肉や魚などの生鮮、トイレットペーパーなど雑貨も揃えた。店名は「がんばろう栄村横倉店」。森の自宅が全壊、仮設独り暮らしの広瀬房子さん(83)は「車もなく今まで20分かけ箕作の農協に行っていましたが、近くに店があると助かります」。営業時間は午前10時から午後7時。横倉仮設住宅は現在49世帯116人が入居。うち高齢者は48人。開店は買物弱者の強い味方になる。
 
 ○…店舗は28平方b。仮設住宅集会場の一角を使用し、管理人1人が常駐。村から村商工会が委託を受け、田舎工房(石沢一男社長)が運営。厚生労働省補助を受け営業する。石沢社長は「開店は復興のスタート。入居者が笑顔で買物し、喜んでくれるのが一番。地震被害は大きいが、負けてられない。要望があれば何でも揃えたい」と話す。ミニ商店は12月上旬、森地区にもオープンする予定だ。

震災乗り越え、実った思い、唯一のトマト農家の秋  10月14日号
 震災を乗り越え、今年も完熟トマト100%のオリジナル特産品「さかえむらトマトジュース」ができましたー。県境地震の被災地、栄村。地割れした耕地を耕し、地震で種まきが遅れ、長雨で生育を心配した。だが、今夏の暑さで熟度が増し、村内で唯一の加工トマト栽培農家の宮川頼之さん(57、野田沢)は、自信を持って出荷した。その思いたっぷりのトマトがジュースになり、「震災復興のシンボル」と先月から発売を開始している。

 このトマトジュース、実は20年以上前からの同村の特産品。加工トマト栽培は30年余の歴史があり、最盛期は80戸ほどが栽培。だが収穫期、1ケース20`の出荷箱を運ぶなど重労働から減少し、5年前からは宮川さんだけに。約2・5f栽培し、今期は約2百dを出荷。食品大手・デルモンテに栄村振興公社が製造委託。今期は4400箱(1箱30本入)が商品となり、物産館経営の栄村物産センターが販売元となり、公社経営の各施設で販売している。


 今期の栽培は多難続きだった。3月の震災で宮川さんは12日から避難所暮らし。自宅や倉庫、農機具置場、農業機械などが被害を受けた。3月末まで避難所暮らしで、例年よりタネまきが10日ほど遅れた。「地震後、雪のひび割れを見て、畑が心配になった。雪消え後、畑はひどい状態だった。地震の揺れで畑の水はけが悪くなり、
場所によっては1b余の段差。人から畑を借りて、トマト苗を植えた」。6月の長雨。だが夏の高温が幸い。「あの暑さで熟度がぐんと増した。なんとか回復した」。収穫期には20人余の協力し、震災支援の学生ボランティアも協力し、真っ赤なトマトがぎっしり詰まった20`ケース1万箱(2百d)を出荷。「今年はトマトができるのかと不安だった。出荷できた時は、本当に嬉しかった。皆さんのおかげです」と宮川さん。

◇◇

 発売開始から1ヵ月余。同公社の福原一男総務係長(29)は、例年以上の早い売れ行きに驚いている。同公社が3400箱、栄村物産館1千箱を担当。公社ではすでに8百箱を販売。「来年8月まで在庫が持つかどうか。ありがたいですね」。復興支援で長野信用金庫が400箱を求め、全店で活用するなど支援の輪が広がっている。個人購入も増加傾向。「10年来のお客様も多数おられます。震災支援も含まれますが、皆さん、美味しいと継続して購入されています」(福原係長)。完熟100%使用が、美味さを引き立てる。

◇◇

 3月12日未明の県境地震。特産トマトジュースは村内倉庫で保管していた。激震で在庫の約8百箱が崩れ、缶がへこむなど被害を受けた。「売り物にならない」と落胆していたが、3月下旬、姉妹交流する東京・武蔵村山市の市職員互助会が「トマトジュースを買いたい」と支援。その後も新聞報道などで「震災トマトジュース」が流れると、全国ら支援が寄せられ、6月末までに在庫は完売。「それも定価で買っていただきました。ありがたかったですね」(福原係長)。

 震災復興支援の輪が広がると共に、村の特産品としての人気も高まっている「さかむらトマトジュース」。震災を契機に新たなヒット商品が生まれつつある。「トマトジュースが苦手に人も、これを一度飲むと変ります。今期は例年以上に甘みが強く、美味しいです」。さらに美味しくなるのは、熟成が進む年末頃。宮川さんの思いが詰まったトマトジュース、人気が集まっている。

津南町議選・展望「歩き、話す、それが選挙」、「自転車選挙も登場」  10月14日号
 4年前の町議選で、原付バイクで街宣した大島知美さん。今回の町議選には出馬しない。「わずかな選挙期間中、車は移動距離は広がるが、自分の姿は伝えられない。住民の足元まで行き、その一人ひとりと顔と顔を合わせることができた」。許可を受けた街宣車でマイクを使うため、バイクでは地声で通した。「根っから、声がでかいですから」。大割野商店街でも、大声を上げ、トコトコとバイクで走り、人と出会うと止まり、立ち話し。「話すと、その人の語気が分かる。私に何を伝えていのかが分かる。物事は現場で起きている」。
       〓 〓
 1人超過が濃厚な今回の町議選。2期目をめざす現職のひとりは、今回、「自転車選挙」を試みる。「本当は、すべて歩いてと考えたが、5日間ではとても全町は無理。自転車なら、回れるだろう。歩いていれば人と会う、そこで話しができる。これが自分流だと思う。後は、町民皆さんが判断すること」。
河岸段丘の津南町。坂が多い。前回、「軽トラック選挙」を行ったこの現職。「なるべく、自転車で行きたいが、長い急な坂は、軽トラックに自転車を載せるかも。そこは臨機応援だな」。
なぜ、自転車か。「町議選をバカにしているんか、と見る人もいるかもしれないが、これが選挙の原点だと思う。今度の選挙は、このスタイルでやる。選挙のたびに、多くの人の世話になり、迷惑をかけるような選挙は、本来の選挙ではないように思う。「選挙運動で人を決めるのか」という疑問がある。何を基準に、有権者は1票を投じるのか、そこを考えたい。自分の思い、考えを出すのが選挙。それを住民、有権者が判断するのが選挙ではないのか」。片手運転ができない自転車。いろいろ工夫するつもりだ。

〓 〓
 「これからの津南町議会議員選挙に係る提案について」と表題を掲げた一枚の文書がある。今回出馬の新人のひとりが、現職に提案した。その文書は今月5日の全議員協議会終了後に、議員に配布された。
そこには「お金のかからないクリーン選挙」、「町民の負担や迷惑のかからない選挙」などとして、選挙カー街宣の時間短縮、ポスター掲示箇所の削減、候補者の討論会の開催などを呼びかけている。
 
新人は、思いを話す、「選挙にかかる労力を、もっと町民サービスに充てるべきです。選挙費用がかからなくなった分、議員報酬を10%カットしても良いのでは。選挙のたびに、人間関係がからまり、頼む側と頼まれる側の迷惑を軽減することが望まれています」。
 
 この提案文書を一読した現職からは、「まず自分からやればいいこと。できること、できないことは、公選法で規定されている」と見る一方、「そう感じいる人は多いだろう。この提案は、まず自分で実行し、議員になってから、議会内部から改革していくのが筋だろう。趣旨には賛同できる」とする声もある。

〓 〓

 選挙スタイルは、様々だ。有権者数9千5百人余の津南町。住民代表16人を決める選挙は、実はその選挙への取り組み姿勢に、その人・候補者の姿勢が見てとれる。告示まであと10日。

写真・4年前の町議選で「原付バイク選挙」を行った大島知美さん

サケ、昨年の倍以上遡上、宮中ダム  10月14日号
 サケが戻って来ている―。信濃川・千曲川の上流と下流が連携して行うサケ遡上調査は先月11日から始まり、十日町市宮中のJR東・信濃川発電所宮中ダムでは今月13日午前中までに計73匹を採捕している。すべて上流側に放流していたが、22`上流の飯山市・東京電力西大滝ダムでは遡上が確認されていない。
 
 宮中ダムのサケ採捕数は平成18年度まで毎年11〜45匹だったが、同ダムの不正取水が発覚して取水を中止し、水量が自然の状態に回復した21年は160匹、JR東が水利権の再許可を受けて以前より量を増やし毎秒100dを放流した昨年は146匹(最多は10月25日の15匹)と水量の増加とともに採捕数は増える結果となっている。

  今シーズンの放流量は試験放流計画に従い毎秒80dと前年より毎秒20d少ないが、サケは先月30日の3匹から始まり、連日採捕。8日にはこれまで最高の12匹を採捕している。
 
 中魚漁協・長谷川克一組合長「順調に上がっている。稚魚放流を多くした時期から4年がたち、その成果が出ているものと見られる。昨シーズンより20d少ない80dの放水量だが、影響はないようだ。西大滝ダムの遡上の確認がいまだないのは、途中で産卵場所を見つけ、産卵している可能性もあるが、東京電力の信濃川発電所(津南町三箇)の放水路から、信濃川本流より多く放流されているため、サケがそこに行っている可能性もある。今回の7月末の豪雨の影響は今のところないが、飛渡川下流部で、土砂が堆積し、サケが上がりにくい状況になっているため、早急に改善したい」と話している。

マウンテンパーク津南のスキー、クロカン公認コースの存続要望  10月14日号
 「世界で活躍する選手を育てたこの環境。次代の選手のために存続を」―。4年後、民間委託の契約満了で廃止方針が出ているマウンテンパーク津南の存続を求め先月29日、津南スキークラブ(金子泰司会長)が上村町長に要望書を提出。子どものスキー授業やクラブ活動での活用継続や公認スキーゲレンデやクロカンコースの維持など求めた。
 

 クロカンやアルペン指導者らで作る同クラブの要望によると、小中学のスキー活動や全日本スキー連盟公認のアルペンB級、クロカンA級コースにより、町や地域、新潟県のスキー活動発展の拠点になるなどと要望。金子会長は「毎年スキー大会があるマンパク。公認コースがなくなれば大会も開けない。特にクロカンコースはローラースキー利用ができ、夏冬利用できる恵まれた環境で選手からの評価も高く、ぜひ存続してほしい。クラブでも協議を続け、活用案を今後も出したい」と話す。
 
 同津南廃止は町内観光施設を総点検する「観光施設検討委員会」(石沢哲委員長、7人)が今年6月に答申。『契約が切れる平成27年3月で廃止。廃止までの修繕費町負担はゼロにし、猶予期間の23、24年度は半額(7百万円)とすべき。スキー場営業廃止はやむを得ないが、スポ少活動が継続できる体制を』など提言している。
 
 一方、上村町長は経営委託費1750万円、クロカンコース整備委託費4百万円、さらに施設や圧雪車などの老朽化に伴う修繕費約千4百万円などの年間財政負担を踏まえ「ボランティアでスキー指導する方からの存続要望はありがたい。多くの選手を育てたコース、できるなら残したい。だが財政は厳しくいつまでも財政支出はできない。活用策は必ずあるはず。発展するなら投資は惜しまない」と方針を話している。

大倉スノーシェード、津南町に移管後の活用に関心  10月14日号
 新潟と長野を結ぶ国道117号線(総延長120・1`)最大の難所だった津南町大倉スノーシェッドは15日午後2時、46年の役目を終える。同日開通の大倉バイパスに伴い、同スノーシェッドを含む国道(1・13`)は工事完了後に町に管理を移管される。同道路の今後の活用策は未定だが、「きのこ栽培所に」や「大地の芸術祭に使いたい」、あるいは「雪室にし、夏は雪観光ができる」など住民から声が上がっている。町は「まずは開通が第一。町道になった後に協議し、活用方法を考えたい」(上村町長)としている。
 
 同道は大正9年『国道9号』に認定。昭和28年から現国道117号線に。信濃川断崖沿いの芦ヶ崎|小下里間は昭和30年代まで手掘りトンネルだった。現スノーシェッドは昭和40年に完成。46年に渡り地域交通の要として役立った。
 
 同道の活用策は今春から話題となり、トンネル部分885bの活用として、「冬場のトレーニングコースに」や「川側を閉じれば、そのままきのこ工場になる」、あるいは「川側を閉じて、雪を詰め込み、雪室にして農産物を貯蔵。その一部に雪街道を作り、夏場の雪観光にできないか」など、アイデアが出ている。この活用、住民アイデアが決め手になりそうだ。

長月の表情 「職場は断崖絶壁」、国道117号正面地区で  10月14日号
 ○…「おー、怖い!」。高さ60b余りの断崖絶壁。真下は信濃川。一般の人ならそう思うような工事現場で、屈強な作業者たちが1本の命綱を手にスイスイと上り下りしながら法面の崩落防止工事に取り組んでいる。安全対策はしっかり組んであるとはいえ、垂直に近い断崖。道行く人からは「よくこれほどおっかね場所で仕事が出来るもんだの」との驚きの声も。工事関係者は「降雪前までに大まかな所は終わらせたい」と懸命な作業を続けている。
 
 ○…場所は津南町正面の国道117号線、津南小前の信濃川右岸。3月12日の県境地震で崖の上部に亀裂が入った。国道まで8bほどに迫っている場所でもあり、緊急工事として6月から防止作業に入っている。崖の上部法面30b、幅150bをコンクートで固め、杭打ち式の十文字格子枠工で法面を安定させる。総事業費は約2億円。工期は年度末だが、今年中にはほぼ完成となる見込みだ。

写真・国道脇の断崖で崖工事をする。下は信濃川

審査の地をクラシックカーが激励  10月14日号
 ◎…1926年式ロールスロイスや1950年式フェラーリ、1954年式ジャガーなど往年の名車がチェックポイントを走る「ラ・フェスタ」が9日、国道117号を走り、県境地震の被災地住民などを励ました。参加した俳優、堺正章さんは9日、栄村役場を訪れ、島田村長や地元の子たちに色鉛筆セットを寄付し、「元気になってね」と励ました。


 ◎…国際クラシックカー連盟(FIVA)の公認で毎年開くイベントで、これまでには東北地域を会場にしていたが、今回は県境地震地域などを会場に、東京・原宿をスタートし1都8県1200`を4日間で走破。今回は88台がエントリー。9日は国道117号を栄村、津南町、十日町市と通った。栄村役場前のチェックポイントでは、島田村長が所定のスタンプを押し、ドライバーンらに村特産のトマトジュースをプレゼントした。


 ◎…栄村役場前では、堺正章さんや元プロドライバー・鈴木亜久里さん、前横浜市長・中田宏さんらが地元の小中学生に色鉛筆セットをプレゼントした。堺さんは「地震、びっくりしたでしょう。もうすぐ受験だね、頑張って」と、プレゼントを受けた栄中3年の大庭桜子さんを励ました。大庭さんは「とても気さくな方でした。すごい思い出になりました」。栄村までの途中、青倉トンネル内で交通事故が発生し、到着が1時間近く遅れたが、小旗を持って村民多数が出迎え、ドライバーらは手を振り、応えていた。

写真・クラシックカーで栄村を激励する堺正章さん(右)

津南町議選・t展望 「20代効果」、どう出るか、有権者動向に関心  10月7日号
 4年に一度の審判がやってくる。津南町議選(定数16)は今月25日告示、30日投票。これまでに現職13人、新人4人が名乗りを上げ、1人超過を想定した厳しい前哨戦を繰り広げている。「連載 町議選展望」では、過去の町議選データなどを参考に振り返り、高齢化が進む中での有権者心理の変化や直面する町政課題などを通じて、今回の町議選の断面をリポートする。


 ここに一枚の資料がある。4年前(2007年)の町議選データ。当日有権者数は9563人。年代別を見ると、20代877人、30代972人、40代1263人、50代1759人、60代1369人、70代1778人、80代1263人、90代269人、100歳以上13人。

 最小数の超過が予想される今回の町議選。まさにサバイバル選挙が予想される。20代から70代の幅広い年代が立候補の予定だ。特に関心が集まるのが、20代の出馬で、有権者心理はどう変化するのか。
 4年前の前回、当日有権者は9563人。20代、30代1849人は、全体の19・3%を占め約2割。だがこの世代は、投票率が低い。前回を見ると20代53%と約半分は投票していない。これは大学生など住民票がそのままのためと見られる。30代は81%とほぼ平均並みだ。

 今回の町議選、「20代出馬効果」で、この20代、30代、さらに候補が孫世代になる70代、80代以上(3323人、全体の34・7%)の動向が、大きな焦点になる。

 同世代は、20代の出馬をどう見ているのか。30歳になったばかりの会社員の男性。「勇気ある決意だと思う。その心意気は買いたいが、どういう考えを持ち、津南のために何ができるのか、全く未知数の部分もある」。一方、孫にも見える世代はどうか。もうすぐ80歳になる女性。「よく津南に帰ってきてくれました。大事な若い人です。学歴もすごいですが、ここでは学歴より、やはり行動力だと思います。期待したいですね」。この印象は、実は争う他候補予定者も同様な見方だ。町議経験者の男性は「津南の人たちが、即戦力を求めるのか、人材を育てる気があるのか、今度の町議選は、その選択でもあるのでは。関心が高まるのは、良いことだ」と静観している。

 「20代効果に期待したい。30代の男を出したい。まだ間に合う」。こんな声も聞こえてくる。議会の刷新、改革を求める住民の声は多い。だが今議会は、その幕開けとなる議員定数削減案を、自らの手で幕引きした。
 40代の男性は、話す。「現職で進退が揺れた人がいるが、その人たちが出なければ、定数割れで、結果的に定数削減になった。20代の出馬は話題を呼んでいるが、それより現職のこの4年間の検証こそ、大事ではないか」。

 前回有権者を見ると、津南の牽引力である40代、50代、60代は全体の45・9%、約半分を占める。実は、この3世代の投票率は90%前後をいつも高い。町議と同世代のこの3世代が、今回、どう動くかも、大きな焦点になる。

写真・政策を訴える地区座談会が各地で始まっている(5日、三箇地区で)

小水力発電、栄村が信州大と連携、合同で特区申請  10月7日号
 河岸段丘地形など千曲川(信濃川)が作り出した自然資源を活用する再生可能エネルギーの一つ「小水力発電」に、栄村は信州大工学部と連携し、県内5市町村と共同で国の総合特区を申請した。小水力発電は、水利権など国の許認可が煩雑で時間を要すため今回、信州大と県内6市町村が共同で特区申請し、地域資源活用の小水力発電実現に取り組むことになった。これに伴い栄村は年度内に「栄村地域資源活用研究会」を立ち上げ、事業化への取り組みをスタートする。

 栄村は7年前、「栄村地域新エネルギービジョン」を策定し、地域資源の研究をした。当時は風力発電を視野に秋山郷鳥甲牧場で民間と協力、実証実験を行った。だが、年間通じての風力の安定性に問題があり実現しなかった。同ビジョンは風力やバイオマス、小水力を研究し、「地域資源活用研究会」立上げを提言。今年研究会設立を予定したが、震災で事業着手を延期していた。

 信州大と6市町村(栄村、飯山市、野沢温泉村、山之内町、駒ヶ根市、木曽町)が合同申請した総合特区では、水利権許可手続きの煩雑さや流量データ調査などの簡略化を求めている。専門委員の評価を受け、年度内には総合特区指定の可否が決る見通しだ。

 同事業を進める信州大工学部、池田敏彦教授は「今回の申請は地域活性化総合特区で、地域のエネルギーを活用し、観光や産業に結びつけることが可能で、市町村ごとに独自プログラムを作り、この小水力活用で地域活性化につなげたい」と活動方針を話す。池田教授チームが開発の小水力水車は現在、全国で9基稼動している。共同申請6市町村と「信州小水力会議」(代表・池田教授)を発足。特区指定後、同会が事業推進役を務めることになる。

 栄村では昨年12月、村所有の北野天満温泉で湧出の湧水(毎分6d)を活用し、小水力発電モデルを民間事業で設置。今年度、これを村が買い取る方針。同小水力発電の実証データを基に村内の適地調査を行い、事業化をめざす方針。「村全体のコンセンサスを取り、何ができるかからスタートしたい」(企画財政係)と話している。

写真・昨年12月に北野天満温泉に設置し、実証実験している小水力発電

リポート 魔の現場、度重なる死亡事故、見えてくる原因  10月7日号
 魔の直線道路で、魔の時間帯で、また交通死亡事故は発生した。国道117号、津南町十二ノ木地区。長野方向から十日町方向にかけて緩い下り坂。この場所で過去10年、3件の死亡事故が発生している。その発生には共通の条件が重なっている。現場の状況を振り返り、なぜ同じ場所で死亡事故が多発するのかリポートする。

 事故は先月29日午後7時10分頃発生。現場から百bに自宅がある吉野タツ子さん(75)が、友人と立ち話し後、横断歩道がない道路を横断。長野方面から走ってきた津南町反里口の会社真、樋口辰雄さん(59)運転の軽ワゴン車と衝突。吉野さんは25b余り飛ばされ、救急搬送されたが約1時間半後、出血性ショックで死亡。ほぼ即死状態だった。現場には衝突時に生じたと見られる急ブレーキ跡が10b余り、生々しく残っている。

 現場の直線道路では16年、19年、20年に同様な条件で死亡事故が発生している。その条件とは。直線の緩い下り坂、発生時間は夕暮れ前後1時間、長野方向から走ってきた車が、運転者から見て道路右側から横断してきた歩行者と衝突している。4件とも、すべてこの条件で死亡事故となっている。回の事故では、さらに黒色系の服を着ていたため、発見が遅れたと見られる。

 この魔の直線下り坂は、地元でも恐がられている。現場近所の70代男性は「事故が多く、夜は出歩かないように仲間と話している。下りで車のスピードが出やすい場所で、横断しようとすると予想以上に早く車が近付いてくる」。一方、毎日同所を通る会社員の30代男性は「あの場所は、夜は左側は街灯で明るいが反対の右側は暗く見えにくい。注意して走るが、黒い服など着ていれば、正直分からないだろう」と話す。

 専門の立場からは、どう見えるのか。十日町署の矢尻大守家交通課長。「今回の事故は誰に起こっても不思議ではない。歩行者は夜間外出時に反射材を付け、必ず横断時に左右確認し車が見えたら立ち止まる。運転者は面倒でもこまめに上向きライトにするなどで安全確認を」と注意を呼びかける。ばお十日町署管内の交通事故死亡者は7人(6日現在)。前年比5人増で、県内30署中、佐渡西署と並びワースト1だ。

写真・死亡事故現場。左から横断し、右前方の車の前で衝突した

 

15日開通の大倉トンネルで救助訓練  10月7日号
 ○…いよいよ15日に開通を迎える国道117号線大倉バイパス(総延長1340b)。これに先立ち十日町消防本部、十日町警察署、岳北消防本部、十日町土木事務所が災害想定訓練。想定は大倉トンネル(885b)内で車両同士の正面衝突事故が発生。消防署員18人が横転した車から要救助活動。現場状況は事前に知らせず、本番さながらの訓練が行なわれた。
 
 ○…「開通後の訓練は難しい」と実施。同トンネル内部は照明で明るいが、全体は緩やかなS字カーブ。車道幅は7bで速度が出やすい環境となる。非常用電話は2百bごとに5機設置、消防署、警察署、十日町地域振興局直通の押しボタン式通報装置と消火器は百bごとに置く。橋隆之消防署長は「トンネル事故は大割野側、長野側の両面で対応する必要がある。岳北消防とも応援協定を結び、非常時に備えたい」と話した。

首都圏から誘客の拠点、豊島園前に、NGP津南東京事務所  10月7日号
 関東の営業拠点に―。ニュー・グリーンピア津南を経営する津南高原開発(松崎和秋社長)は首都圏予約センターを練馬区の西武豊島線・豊島園駅前ビル4階に事務所を移し2日開所した。松崎社長は津南観光大使と奥信越観光協議会観光大使であり、、都市部の誘客活動拠点が誕生した。
 
 新事務所は豊島園入口、さらに都営大江戸線豊島園駅から徒歩1分の好立地。同園は家族連れなど年間百万人余が来園するレジャー拠点。事務所の窓には棚田、ブナ林、ひまわり広場、秋山郷紅葉など津南の四季写真を貼り通行者にアピール。職員は10人体制。今後同園イベントなどに積極出店する計画だ。
 
 開所式には上村町長、吉野議長、尾池観光協会長など40人余が出席。友好交流する東京都老人クラブ連合会・増田時枝会長も臨席。上村町長は「津南、奥信越の観光拠点としてより一層の発展を願う」と期待。松崎社長は「人の目にとまりやすい新事務所。窓の津南写真を見てもらうだけで効果がある。この立地条件を活かし営業を強化し、首都圏から人を呼び込みたい」と意欲を述べた。同センターは平日営業、電話予約は無休。рO3‐5946‐2361。

写真・豊島園前の左のビル4階に事務所開設

一足早く初雪、苗場山系に  10月7日号
 ○…冬の到来間近に―。冬型の気圧配置で寒気が流れ込んだ3日、津南地域も10月下旬並みの冷え込みとなり、日本百名山の苗場山(標高2145b)も初冠雪した。ふもとの小赤沢では、まだ稲刈りが終わっていない田んぼもあり、農家の人たちは「寒くなった。早く収穫しなくては」と秋始末に追われていた。
 
 ○…秋山郷観光協会によると、山頂ヒュッテ付近では
2日夜に雨が雪になり、3日午前6時すぎには5aほど積もった。昨年より1週間ほど早いという。また、見事な岩肌の雄大な鳥甲山が目の前に広がる秋山郷上野原・のよさの里の管理人は「紅葉はこれから。地震や大雨などの影響で観光客が少なくなっているので、この秋にはにぎわってほしい」と期待している。初冠雪の便りで、秋山郷は厳しい冬を前に、山々に彩りを織りなす紅葉シーズンが到来した。

火を囲み交流、初の焔際、縄文を感じて  10月7日号
 ◎…火を囲み、世代を越えて語り合う「焔(ほむら)祭」は1、2日、津南町なじょもん館縄文村で開き、町内外から5百人余が参集。竪穴式住居6棟やテントで百人余が泊まり、20代から60代までがキャンプファイヤーに集い交流。稲はぜ木の特設ステージでは深夜まで太鼓のリズムに合わせ若者らが踊るなど、出会いを楽しみ交流を深めた。
 

 ◎…竪穴住居でわら細工やお茶席、薪割りや雑穀収穫なども体験。夜は明りを少なくし、竹キャンドルなど「火」を使い原始空間を演出。インターネットなど口コミで話題が広がり、岡山、京都などからも参加。湯沢町の曽根原勝さん(61)は「大きな火が使える空間がいい。暗闇のなかでもほんのり人の顔を照らす、この雰囲気がいいね」とにっこり。千葉市の平坂尚之さん(35)は「竪穴式住居が実際に使える施設は少ない。夜はたき火に集い、日の出と共に起きみんなと一緒に朝を感じる。この時間の流れにすごく自然の営みを感じた」と満足そう。
 
 ◎…同館友の会や地元若者などで実行委員会を組み運営。昼体験をすると同祭限定通貨を贈呈、夜の露店で利用できる仕組みにするなど、丸1日過ごせる企画を取り入れ津南イベントに新風を吹かせた。中心スタッフの原田義一さん(31、中子)は「本当に子どもからおじいちゃんまで来て、笑い合ってくれたのが嬉しい。町外の人も火を囲み楽しそうに会話していた。焔祭は人が笑顔で繋がる、そんな場なんです」と思いを話す。同祭は来年も継続し行う方針だ。


COPYRIGHT (C)2004 TSUNANSHINBUN-ONLINE. ALL RIGHTS RESERVED
!-->