栄村の島田茂樹村長(69)は今月10日で、村長就任2年を迎えた。折り返しを過ぎ、後半の2年間が始まっている。2年前の村長選投票日の夜、初当選が決まり、島田氏は「ゆいの心で、村民本意の村政をめざします。村民一人ひとりの心を大切に、栄村の舵取り役を果たしたい」とこれから向う4年間への決意と政治姿勢を述べた。その島田村政、スタートして2年経過し、村民からは「そろそろ島田カラーを出してほしい。元気が出る栄村にしてほしい」など声が聞こえる。「村民提案制度」、「村民自治条例」、「定住基金創設」、「栄村振興公社の経営改善」など公約を掲げている。任期折り返しを迎えた島田村政の今を見る。
昨年1月から今年1月までの村長出席の公務日程の資料がある。どの月も空白日は2日か3日程度。連日、フットワークよく公務をこなしている。18日には宮崎・西米良町議会が視察。朝9時、村の概要説明。すぐに次の公務へ。
前村長・高橋彦芳氏の5期20年の長期政権後の島田村政。高橋村政を収入役、助役、副村長として間近で見て来た。「住民自治」の村づくりを継承するが、機会あるごとに高橋村政と比較される。
島田村政を支える後援会も、そこは良く承知している。関澤榮市・後援会長は「比較されるのはしょうがない。だが手堅くやっているのではないか」と評価。昨年9月の新型インフルエンザ流行の時、村長自ら有線で予防接種を呼びかけた。「なかなかできることではない。長い行政経験を基に着実に実務型村政を行っている。島田カラーが出ていないという声もあるが、急激な改革は難しい。行政は一歩一歩着実な歩みが大切」とじっくり構える。
その島田村長。任期半ばを過ぎた自己評価は。「あっという間の2年だ。選挙の公約は7割ぐらい実現できているのではないか。行政課題の一つ、振興公社は抜本改革が必要で見直しプランに取り組む。村民自治条例はすでに草案はできており、最後の検討に入っている。財政的には公債費(借金返済)が減少し、新規事業への取り組みができる財政状況になってきた。少子化による学校統合は、地域の人たちの理解を得て進めており、来年4月には新しい小学校が誕生する。特養ホームが増床され、雇用の増加も望める。後半の2年、一つずつ公約実現に取り組みたい」と話す。どんな新規事業を打ち出すのか、関心が集まる。
一方、移住4年目で山村カレッジや古道プロジェクトなど、栄村の資源活用に取り組む京都精華大・松尾眞准教授。10年以上前から前高橋村長と交友し、島田村長誕生に立会い、これまでの島田村政を見ている。
「ビジョンなき村政は、村民にとっての悲劇だ。村長も村職員も含めて『忙しい』と言う。村民から見て、何がそんなに忙しいのかと疑問が出る。その忙しさは、村民と苦楽を共にしての忙しさなのか、ここをよく考えてほしい。国と県に振り回されているのではないか」。社会学専攻の視点は厳しいが、実態でもある。
さらに「3月にまとめた総合振興計画。島田カラーを出す絶好に場なのに、そこには何も島田村政のメッセージはない。行政と政治は違う。政治は、そこにある困難性に、一歩でも二歩でも近づく努力、これが政治だ。島田村長は人間性はとても良い人だが、今の島田茂樹さんは行政の人であり、政治家ではない。自分の長所を生かしながら、自分の足らざる部分を補い、改めていく、その自覚が必要だ」。来月14日、6月村議会が始まる。村民へのメッセージが聞かれるのか。