
JR東日本・信濃川発電所の不正取水で水利権を取り消され、利水再申請に関心が集まるが、十日町市の関口市長は1日、申請期限の今月9日までに同意しない方針を決めた。一方で同発電所宮中ダム下流への放流量が1日の同市内10団体で作る市民協議会(会長・関口芳史市長)に示され、平常時毎秒40d、50d以上、渇水期とサケ遡上期毎秒100d、さらに可能時は毎秒120d放流する5年間の試験放流案は了承した。だが関口市長は「市民理解を得る事が最重要」と現時点でのJR東再申請に同意せず、今月末に市民説明会を開き、JR東が関係する地域振興策を協議する方針。このためJR東は「申請期限の延長願」を国土交通省に提出する事態に迫られている。
JR東が水利権再申請で同意が必要なのは十日町市、小千谷市、川口町の3自治体と中魚漁協、魚沼漁協、十日町土地改良区など13団体とされる。不正発覚後、JR東に真っ先に反発したのが十日町市。宮中ダム下流の慢性的な渇水状態を20年以上前から訴える市民運動などが続く同市。この不正取水問題は「十日町市対JR東」の構図が鮮明となり、関係ニュースは全国ネットで流されている。
今回、十日町市は「流量は同意」したが、「共生の地域振興策が具体化していない」と期限内同意を蹴った。特に関口市長は「この問題、プロセスが大事。市民理解と市民代表の議会同意が最大のポイント」と強い姿勢を見せた。今月末までに市民説明会を開き、これに合わせ議会も動く。「期限内には時間的に間に合わない」と、交渉主導権を引き寄せる姿勢を見せている。
だが、流量など検討した信濃川あり方検討委員会や市民協議会幹事会メンバーからは、異論が出ている。「主導権を取るなら、流量問題と地域振興策は切り離すべきだ。試験放流量を了承するなら、期限内同意し、その後の地域振興策の交渉でリードすれば、より条件が良い交渉ができたはず。『期限には拘らない』と表明した市長自らが、それに拘束されたのでは」などの意見が聞かれる。
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一方で、同じ幹事会メンバーは「スタートが遅すぎた」と言う。水利権取消し後の6月、林常務が来市。7月に清野社長が謝罪に訪れる方針を述べたが、実際に来市したのは11月25日。
「清野社長の謝罪と過去の清算が事実上のスタート。11月25日までの空白期間が無駄だった。JR東の体質的な問題を感じる。申請期限は最初から分かっているわけで、それに合わせるJR東の本気の姿勢が、あの時点ではなかった。それがここに来て時間切れとなっている」などJR東の姿勢を疑問視している。
同意の先送りを受け、JR東・佐坂所長は1日、記者団に話した。「びっくりした。真摯に対応してきたので、期限内に間に合わせてくれるものと思っていたが残念だ」と話している。
今後、再申請同意の時期が焦点。関口市長は「JR東しだい」と同社の姿勢を問うているが、試験放流5年後の協議方法、地域振興策などで同社と交わす「覚書」のまとめがポイントになる。今月末に開く市民説明会、さらに議会、関口市長の主導性が問われることになる。きょう5日午後、市議会特別委員会は議会同意の方法について決める。