JR信濃川発電所の違法取水で水利権を取り消されたJR東日本は25日、十日町市で開いた第2回JR対策市民協議会に参考人として出席し、不正取水を改めて謝罪すると共に、来月中には清野智社長が再度同市を訪れ、謝罪する方針を説明した。だが、関口市長は「先ず過去の清算と償いであり、JR側がどの範囲内を過去と考えているか具体化し、その後に社長の謝罪を受けたい」と話し、同協議会でのJRとのやり取りは、「もっと踏み込んだ、整った話が聞かれると思ったが、率直のところ落胆した」とJR側の誠意不足を指摘している。
同協議会は4月、行政、議会、商議所、農協、土地改良区、漁協、青年会議所など10団体代表で結成。会議途中から参考人としてJR側から林康雄常務、中井雅彦・信濃川発電所業務改善推進部長、佐坂秀俊・十日町事務所長が出席し、協議会委員ら出席し、違法取水を謝罪し、質問などに答えた。協議会が非公開を行い、終了後、JRと関口市長が個々に記者会見した。
今回の違法取水について林常務は「本社の支持はなかった。現場判断で行い、現場は不正を行っているという認識はなかったようだ。従って国土交通省への2度の報告も、不正の認識がなく、報告した」とプログラム改ざん、リミッター設置など不正行為に対し弁明。
さらに「過去のけじめが先という市長提案に対し、来年中旬、十日町市とこれから相談するが、清野社長が再度来市し、お詫びしたい。現在、かんがい用水を通水しているが、これを含め社会貢献させていただく。先ずは信頼回復であり、地元理解を得て、水利権の再申請へと進みたい」と、清野社長は触れなかった再申請への姿勢を示した。
だが、過去の清算に関し林常務は「許可された中で取水を行っていた。超過取水は全体の0・7%程度で、特定でき内面があり、超過取水への賠償は特定できない面を持ち、損害賠償ではなく、別の形で社会貢献したい」と語り、超過取水に対する損害賠償には応じない姿勢を見せている。
一方、受ける側の関口市長は「市民への謝罪と過去の清算、償い、この2つをクリアーし、新たなステップ(再申請)となる。これとは別に、従属的発電・たなぼた発電で得た利益の地元還元、この基本姿勢は変わらない」と、JRに強い姿勢を求めた。
この中で、『たなばた発電』、つまり水利権取り消しで発電中止になった小千谷の信濃川発電所への通水が、途中の十日町市左岸の農業用水の必要から、最大毎秒55dのかんがい用水を通水し、これにより最大2万KW発電し、上越線などに活用している。この発電による利益還元を関口市長は求めている。この日の協議会でJR側から『従属的な発電によっての利益は、コストを引いた利益を十日町市や関係の小千谷市、川口町との話し合いで還元したい』と方針を述べたという。
協議会のメンバーの中魚沼漁協組合長で信濃川をよみがえらせる会会長代行の長谷川克一さんは「これまでの繰り返しで、改めて誠意のなさを感じた。地域貢献策というが、何をどうするのか、それを具体的に示してほしい。特に漁協との損害賠償問題はどうするのか、である」と話している。JR側は来月上旬、地域貢献策の具体案を示す方針だ。