改選後の初議会、十日町市議会は13日開会し、正副議長など議会構成を決めた。「議長は1票差」、「副議長は市政史上初のくじ引き」という異例の展開となり、前夜までの多数派工作の激しさを物語っている。正副議長人事で「なぜ?」の行動を取ったのが共産党市議団(4人)。最多会派「かけはし」と連携し、常任委員長ポストとの条件連携を仕掛けたが、結局、常任委員長確保はできなかった。「なぜ独自候補で投票しなかったのか」の疑問が残る過去最多の議席数を確保した共産十日町市議団。一方で重要ポスト争いを演じた30人の新しい市議。「市民不在」と声が上がる中、新生・十日町市議会の任期がスタートした。
「なぜ?」に対し、村山邦一・共産党市議団長は本紙取材に答えた。「結果的に我々がキャスティングボードを握る形になったが、独自候補という選択も当然あった。だが、こうした情勢では、一致できる部分は一致し、市民のための市政を実現することが重要で、今回の正副議長選では、我々の要求を受けた会派と連携した。結果はご承知の通りとなった。このシコリは全くないだろう。我々は今後も是々非々で一致できる部分は連携し、市民主体の市政実現のために活動する」と語っている。
議長選挙は無記名投票で行い、「涌井充15」、「小堺清司14」、白票1と1票差で最大会派かけはし所属の涌井氏が議長。副議長は「庭野政義15」、「山岸角太郎15」と同数。公選法でくじ引きを行い、庭野氏が当選。
「こんな状況は初めて」(市役所関係者)の通り、前夜までの多数派工作の激しさを物語る結果となった。
事態は正副議長選挙後、急速に動いた。最多会派かけはしと連携した共産市議団は、涌井議長誕生の条件としていた総務常任委員長ポスト確保に動いたが、対抗勢力の切り崩しで、同ポスト獲得は実現せず、辛うじて厚生環境時常任副委員長に尾身隆一氏が就くにとどまった。
新議長に就任した涌井充議長は、「市民に身近な市議会、分かりやすい議会をめざす。議会の和を基本に、意見を出し合いながら市民のための議会運営を行いたい」と就任の抱負を語っている。なお涌井議長の妻(市課長補佐)は今月11日に辞表提出し、今月末で市役所を退職する。
常任委員会、議運役員は次の通り。
▼総文・小林正夫委員長、小林弘樹副委員長▼産業建設・飯塚茂夫委員長、鈴木一郎副委員長▼厚生環境・庭野茂美委員長、尾身隆一副委員長▼議運・小堺清司委員長、阿部晃一副委員長。
【涌井充議長】昭和27年3月22日生れ、日大短大卒。市議連続4期(旧市含む)、改選前・総務常任委員長。十日町土地改良区副理事長、吉田、農業、57歳。
【庭野政義副議長】昭和23年2月26日生れ、十日町実業卒、市議連続5期(旧市含む)、改選前は副議長、十日町市芸術協会顧問、四日町、染色作家、61歳。