
第18回新潟県中学駅伝大会は、県内地区代表の男女42校が出場して快晴の5日、長岡越後丘陵公園特設コースで開催。激戦の男子は前評判通り、持ちタイムトップの燕、津南、中里の3強の争いが予想されたが、2区以降は津南と中里がダントツの強さを発揮し、最後は津南が追いすがる中里に1分差をつけゴール。津南は5区・藤ノ木光が区間賞、中里は2区・6区で区間賞を取り、両チームが実力通りの力走を見せた。女子は燕が圧倒的な強さを見せ4連覇。十日町南が3位に入り、北信越出場を果たしたが、吉田は1秒差の6位で北信越を逃した。
スピードランナーが揃う1区。津南はチームキャプテン・安部拓也(3年)。「中越の悔しさがあり、必ず優勝すると誓い合い、仲間を信じて走った」。落ち着いた走りで先頭集団につき、トップと24秒差の9位で2区・山田亮太(3年)につなぐ。絶好調の山田。「前を行くすべてを追い抜くつもりで走り、勇馬(中里・服部)を狙って走った」と最初から果敢に飛ばし、中間点でいっきに2位に。3区は大会直前、足を疲労損傷し、新潟市へ病院通いした原由樹人(3年)。高橋監督が「使えないと思っていた」ほどだったが、「自分のイメージ通りの走りができた。ラスト1㌔でのスパートは決めていた」と気力で走り、残り1㌔で中里を抜きトップに出る。
8秒リードでタスキを受けた4区・志賀文也(2年)。「中越大会の悔しさがあり、自己ベストの走りを心がけた」とペースを守り、堅実な走りで差を広げ、29秒差をつけ5区・藤ノ木光(3年)へ。中越大会では快走を見せたが、県大会前の練習では不調でチーム最下位。津南中での壮行会で全校生徒を前に「どの区間を走っても、しっかり走る自信があります」と決意表明。その通りの区間2位の力走で、後続の中里に1分10秒の大差をつけ、アンカー2年・宮澤圭太へ。「中越と同じく中里は服部弾馬だったので、不安はあったが、中越のリベンジと思い、先輩がタイム差をつけてくれたので落ち着いて走れた」としっかりした走りを見せ、父母など50人余の応援団が待つゴールでは、6人でつないだタスキを高々掲げながら、歓喜のゴールテープを切った。
津南男子は、全員がクロカンスキーにも取り組む。昨年の冬季国体クロカンで3位入賞している高橋監督。駅伝練習も高橋流メニューで取り組んだ。夏場、標高2千㍍付近の志賀高原や妙高高原で合宿。「スピードより確実に走る練習を積み、クロカンのローラー練習も取り入れた。秋になり、その効果が走力と共に精神面にも現れてきた。9月の富士登山でチームのまとまりが増し、睡眠時間や日常生活など自己管理にも、それが出てきた」。富士登山では、翌日リクレーションも取り入れ、「高橋マジック」で選手の走力、精神力を育んだ。
14年余の教諭生活で初の駅伝全国出場となる高橋監督。「全国がどうゆうものか分からないが、ケガと体調管理を万全に望みたい。クロカンシーズンにも入り、両方の練習に取り組んでいきたい」と話す。津南中の全国駅伝出場は女子が平成12年から3年連続、男子は同5年から3年連続出場し、全国順位では平成7年の9位が最高で、新潟県男子では最高順位となっている。
服部兄弟はじめスピードランナーを揃える中里。「ライバルは津南。津南に勝てれば全国へ行ける」。母校・津南中時代、全国中学駅伝9位の黄金時代を経験する中里・江村浩一監督。選手も津南を意識した練習を積み県大会に臨んだ。1区キャプテン・南雲裕斗(3年)はトップと14秒差の4位でエースの服部勇馬(3年)に。「気持ちが入りすぎていた」。最初から飛ばし8百㍍付近で早くもトップを奪い、さらにスピードを上げ、区間賞の走りで2位に上がった津南に15秒差をつけて3区・鈴木健太(3年)へ。
「前半の3年でいかに貯金が作れるか、ここが勝負と見ていた」(江村監督)。思うようにタイム差がつかず、逆に差を広げられる展開。4区・阿部誠人(2年)、5区・大口貴裕(2年)が先を行く津南を懸命に追うが差は開くばかり。「アンカーの弾馬で30秒差なら行けると見ていた」が、津南との差は1分余。勇馬と兄弟出場の服部弾馬(2年)は懸命に津南を追い、区間賞の走りで10秒余り差を詰めたが及ばす、うつむいて2位ゴール。メンバーのねぎらいを受けた。
全国が見えていた中里・江村監督。「ライバル津南のチーム総合力に負けた。うちの選手も今持てる力のすべてを出し切った。2年生がこの悔しさを次につなげてくれるだろう。津南は伝統校、中里は発展途上のチーム。まだまだ進化できる」と選手を称えた。県中学チャンピオンで注目される服部勇馬。「気持ちが先にいってしまいタイムが出なかった。中学最後の駅伝、全国が目標だった。悔しい。この悔しさを高校につなげ、将来は箱根を走りたい」と話す。中里は今月23日、松本市での北信越大会に出場する。県中学陸上界屈指のトップアスリートは、まだまだ進化し続ける。
第18回新潟県中学駅伝結果(男女上位5校が北信越大会出場)
男子(6区間・18㌔)①津南59分59秒②中里1時間58秒③燕1時間1分21秒④刈羽⑤小千谷南⑫中条⑭吉田23川西
女子(5区間・12㌔)①燕42分03秒②新潟・藤見44分21秒③十日町南44分33秒④小須戸⑤新井⑥吉田⑧十日町⑬川西