中高一貫・6年間教育の県立津南中等教育学校は開校3年目を迎え、在校生223人と前期過程(中学過程)の全学年が揃い、学業と共に部活動など学校体制が整いつつある。9日、地元対象の授業参観と報告会を同校で開いた。小熊牧久校長は「地方のこういう地域にこそ教育の場が必要。こうした地域を知っている人材が育ち、地方も都市も知る良識を持った人材になってほしい」と話し、一部の難関大学が都市部の中高一貫校卒業者で占められている現実を述べ、『この国を担う人材を』が育つことへの期待感を述べた。
報告会では、これまで3年間の学業状況を、全国テスト結果などを示しながら説明。現在の3年が今年1月に受けた全県学力調査結果は、県内中等校でトップの最高値だった。得点70点以上の達成率は、県平均52・3に対し津南中等校98・4と高数値。津南町53・5、十日町市47・0、南魚沼市48・2だった。
一方、3月末時点の各種検定合格状況は、英語検定2級(高校卒業程度)1人、準2級(高校在学程度)5人、3級(中学終了程度)23人。数学検定は中学卒業程度の3級13人。漢字検定も2級(高校卒業程度)2人、準2級(高校在学程度)22人など、自主的に全校でチャレンジしている成果を出ている。
報告会では参加者から「夢の実現は素晴らしい目標理念。だが親のレールに子どもが乗っている、乗せられているのでは。目の前の学業成績も大事だが、本当に生徒本人が本当に勉強したいと臨んでいるのか、まずここを生徒に問うことが必要」など意見が出た。
小熊校長は「学習しようという意欲はどこから出てくるのか。子たちに学問の面白さ、学ぶことの面白さ、大切さを体感させたい」と基本部分での取り組みを強調。
さらに小熊校長は、「地方の人材がこの国を背負ってほしい。その意味からも地方を知り、大学生活で都市も知る良識ある人材が求められる。このまま都市部の一部の人の集中では、ますます格差は開く。その意味で山間地の子たちにこそ、こうした教育の場が必要になっている」と、持論の『教育格差が地域格差を生む』現実を指摘し、中高一貫校の存在意義を強調した。
津南中等校の理念は「夢の実現」。同校では「50%の生徒を国公立大学に合格させる」という目標を掲げている。