県高校再編計画に「平成20年度募集停止」と盛り込まれた県立十日町高定時制と県立安塚高松之山分校は、平成20年度も生徒募集する可能性が、地元県議や関係者などに伝えられた。公式発表は県議選後の5月県会で県教委が報告する見込みだが、内定段階ながら地元関係者の期待は膨らんでいる。県立高校は20年度から「全県1学区募集」となり、従来の学区制が撤廃される。「全県からこの自然豊かな地に来て学べるわけで、これを好機と捉え、存続運動に生かしたい」と両関係者は学校存続の要望運動をさらに強める方針だ。
今月1日、十日町高定時制振興会・庭野雅弘会長、同保護者会・藤木晴夫代表らは2万4758人の存続署名を添え「県立十日町高校夜間定時制存続を求める要望書」を県教委・武藤克己教育長に提出した。
地元選出の村松二郎県議は、「再編計画で募集停止が決まっていた十高定時制、県下に1つとなった松之山分校に、もう1年チャンスを与えようと県教委が英断を下した」。これは事実上、1年存続延長を意味する。
十高定時制は昭和23年開設。先月28日の卒業式では20人が恩師やクラスメートに送られ、4年間の学び舎を後にした。一般入試合格の芝浦工大など4年制大学に3人、短大、専門学校への進学者が増えている。
同振興会・庭野会長は「定時制学生の8割余が何らかの理由による不登校経験者だが、定時制で先生との信頼関係により学習意欲が出て、進学など大きな実績を上げている」と話す。
同定時制を守る会・藤木晴夫世話人も実情を語る。「今年度、小学5年から不登校だった学生が一般入試で4年制大学に進学する。途中で学校に行けなくなった子たちに、進む道が用意されている事は、その子らにとって大きな希望。この希望の灯を消してはならい」。
一方、松之山分校(松高)。今月6日、第56回卒業式。「期待される人間に成長する姿で、皆さんに恩返しをしたい」と答辞を述べた高橋健伍さんら10人が、在校生や父母など多くの関係者の拍手に送られた。松高対策検討会長の佐藤利幸・前松之山町長は、19年度募集停止の延期を県教委から聞いている。「20年度募集から県立高は全県1学区になり、この自然豊かな地で学びたい子、学ばせたい親がいるはず。これを好機と捉え、全県に松高をアピールしていきたい」と話す。
今季の卒業生10人は、56回の歴史に中で最小数。特色づくりに迫られる。卒業生進路は新潟医療福祉大、長岡技術科学大、千葉工業大など4年制5人、専門学校など進学が多数。在学中に英検2級、準2級、数学検定2級、準2級取得など学力向上している。