特別栽培など徹底した安心・安全のコメ生産・販売に取り組む津南町の「株式会社ごはん」(大島知美社長)は昨年11月、にいがた産業創造機構(NICO)が台湾・台北市で開いた新潟物産展に初参加。民間単独でのコメ販売は県内初で、特別栽培米や餅、おかゆなどを販売し、好評を得た。「台北で販売した日本のコメでは最高値」(NICO)という同社特別栽培米が反響を呼び、年末には追加2百`を出荷するなど、新たな市場開拓の可能性が見えている。
今回の新潟物産展は、現地法人・新光三越の、3年前開店の天母店で11月9日から19日まで開催。 3年前から同展を企画担当するNICO経営支援グループ国際ビジネスチーム・井上正敏チーフは「これまで台北で売られた日本米で、一番高い米だったのではないか」という。この高値米を試食した多くが買い求めるなど反響は大きかった。2`850元(1元3・6円前後)は、新潟コシヒカリ2`5百元より高く、千葉産米3百円の3倍近く、標準米150元の6倍近い高値だ。
NIKO・井上チーフは今後の市場性を展望する。「台湾が米不足かというと気候風土からいって二期作、三期作が可能な地域。だが病害虫の防除が課題で当然、農薬を多用する。安心・安全に加えおいしい米が求められる。3年前からコシヒカリ輸出を始め、新潟米輸出協議会や上越の生産者グループなどが台湾輸出を行っているが、民間単独で販売に参加したのは、ごはんさんが初めて。台湾の標準米の6倍近い高い米が関心を呼んだ。高くても安全でおいしい米を求める消費者がいることが分かったことは大きな成果」と市場開拓の意欲を評価している。
今後について大島社長は、「コメ文化がある台湾、中国での販売に力を入れたい。日本国内のキャパは限られている。次は中国。すでに大連日本事務所を通じて、栽培地の研究に入り、現地生産、販売を視野に入れて取り組みたい」と意欲的に話している。なお、同社は販売先の確保で許可される米生産面積拡大で、新たに9・8fの増反が認められている。3月には台湾・高雄市の伊勢丹で開く新潟特産フェアにも参加する計画だ。