脱ダム宣言やガラス張り知事室など「改革の田中知事」で全国に長野を発信した田中康夫知事は、その個性的な県政、特にトップダウン県政の政治手法が批判の的となり、6日投開票の知事選では69歳の新人、村井仁氏に7万8千票余の差で3選を阻まれた。田中氏と連携関係を続け、自律の村づくりに取り組む栄村・高橋彦芳村長は、「(知事交代の)影響はそれほどないだろう。新知事の村井氏は市町村の姿勢を重視していくと明言している。ただ、70%が支持する県会の圧倒的与党との関係が表面化してくるだろう。官僚出身、自民党系だけに、国の方針に沿った県政体制を作っていくことが予想されるが、まずスタートしてみないと分からない部分が多い」と村井県政に関心を寄せている。今度の知事選結果について高橋村長に聞いた。
==田中敗北の要因をどう見るか。
「脱ダム宣言などを通じた公共事業のあり方、さらに県政改革など、人に分からせることが大切だったが、田中は節足な面があり、人間関係の築き方がきちんとできなかった。その行政手法に違和感を感じた人が多く、それが選挙結果につながった」。
==田中県政のトップダウン手法に批判が集まっていたようだが。
「田中はトップ(首長)を超えて、住民がどう思っているか、これを重視してやってきた。統率力がない首長は、無視されてしまい、そうゆうやり方がひんしゅくをかった。だが、田中は県政全体を理論的に見ており、その手法も論理的には分からないというものではない。特に、知事を身近に感じさせ、県民との距離を縮め、県政への関心を増したのは田中である」。
==村井新知事に期待することは。
「実直な人である。地方議会における政党性を難しい。究極的には住民の自治であるべきだ。市町村の姿勢を重視するというが、その市町村の中身が問題。議会と首長の馴れ合いを尊重していくのであれば、それは旧来型のまま、元に戻ることになる。住民自治に立った市町村の姿勢、個々の住民がいかに生き生きと暮らしていくか、これを重視してほしい」と要望している。
写真は告示に栄村を訪れた村井仁氏