記録的な大雪で『豪雪の津南、栄村』が全国ネットで流布した今冬。「このままではマイナスイメージの地域になってしまう」と両町村住民が連携し、豪雪を逆手に取った誘客キャンペーンを行うことになった。先月30日、津南町総合センターで初会合を開いた。観光施設、地元住民など25人余が参加し、実施母体となる「津南・栄村観光振興協議会」を立ち上げた。「春になれば豪雪は忘れられる。『豪雪』での知名度を逆手に取り誘客につなげたい」と意欲的だ。まだ雪深い両町村だが、豪雪に負けない住民活動の芽が出始めた。
この活動の呼びかけ人のひとり、津南町観光協会長の伊林康男町議は話す。「豪雪であれほど連日、津南と栄村の名が全国に知れ渡ったことは、これまでにないこと。このチャンスを逃す手はない。雪が多いことは、自然が豊かな証拠。この地の素晴らしさを全国アピールする絶好のチャンス」。
呼びかけに集まったのは豪雪ニュースでキャンセルが相次いだニュー・グリーンピア津南・伊藤信夫総支配人など観光施設関係者、交通規制が続き観光に大きな痛手が出ている秋山郷民宿や旅館、特産販売の民間業者、賛同した町村議、津南と栄村行政など25人余。
参加者の思いは一致している。「豪雪というが、例年より早い程度の大雪。だが、これだけ全国ニュースで報道されると、津南、栄村は『豪雪の過疎地域』というマイナスイメージが広まってしまった。この豪雪による知名度を逆利用したい」。
意見交換では、「雪に苦しんだ後のすばらしい新緑をアピールできないか」、「JR東京八重洲口近くの商店街ビルの一階を借り、雪どけ感謝フェアを」、「東京や新宿の歩行者天国で『津南祭』を開いたらおもしろい」など活発な意見が出た。さらに「豪雪報道したマスコミに『こんなことをやるから、今度来て下さい』としっかり働きかけ、小さくても光る両町村をアピールできないか」など積極姿勢が見られた。
豪雪報道でダメージを受けているニュー・グリーンピア津南の伊藤総支配人は、「今回の企画は、短期的と長期的なものに使い分ける必要がある。いま動いたとしても短期的で4、5月になる。対象も全国ではなく、首都圏に絞っていいのでは」など意見を述べた。秋山郷で民宿を営む相沢博文村議は「豪雪をきっかけに住民の連携が生まれ、その住民エネルギーを活かす企画を行いたい。津南と栄村のお互いの良さ取り入れ、大きな活動に結び付けたい」と両町村の住民連携への期待感を話している。来週9日午後7時半、津南町文化センターで2回目の協議会を開く予定だ。