今月10日午後2時半頃、親指大の大きな雹(ヒョウ)を伴う激しい雷雨に襲われた津南町で、稲作や畑の農作物などに局地的な被害が出ている。町西部・寺石地域では、収穫間近の稲がヒョウと突風に襲われ、稲穂が削ぎ取られたように落穂し、50〜60%減収の地域もあり、推計で1億円前後の被害になりそうだ。寺石地域は先月の8・16豪雨災害を受け、災害復旧を進めており、今回のヒョウ被害でダブルパンチを受け、収穫の秋を向かえたが住民の表情は暗い。
津南町の調べでは、寺石、子種、大井平地域の水田で落穂、茎折れ倒伏などの被害で約7千万円、沖ノ原と津南原のユリと栽培施設、契約キャベツ畑などで約2千2百万円、春にんじん(雪下にんじん)や葉タバコなどで約450万円など、推計で約9700万円。ただ、「茎折れ倒伏は成長を止めるため、品質低下、減収などで被害はさらに5千万円前後増える要素がある」(町地域振興課)と見ている。
〓 〓〓
今度の突風は、子どもたちに親しまれていた中津小の大木、ポプラを倒した。同校グラウンドの山側にあった樹齢60年余のポプラ。幹回り4b前後の大木だが、突風で根こそぎ倒れ、脇の水路を壊し、一時、水がグラウンドに流れ込んだ。このほか校庭のアメリカスギなど3本倒れた。
グラウンド脇の民家では、トラクター小屋が吹き飛ばされ、百bほど離れた民家の屋根と3階、1階の屋根に倒壊した小屋の角材が突き刺さり、一部は3階窓ガラスを突き破り、部屋が雨で水浸しになったが、けが人はなかった。同家の高橋ツギさん(63)は、「突然、すごい風と雨と雷になり、ゴーを鳴ったと思ったら、ガシャーと音がして、3階に行ってみたら窓が割れ、部屋が水浸しだった」と当時のようすを話している。
〓 〓〓
寺石地域の開拓地、山伏山高原への途中の上山の11fの水田は、稲穂の半分以上は落ちた。まもなく収穫の稲穂が、削ぎ落とされたような無残な姿になっている。状況を調査に来た農業改良普及センターや町農業委員会関係者は、「こんなヒョウ被害は初めてだ」と被害の大きさに驚いていた。
隣り集落の羽倉・久保田晋介さん(69)は、「稲は山側からみんな同じ方に倒れている。ここでは親指ほどの氷のかたまりが降った。子種では3aもあったという。窓ガラスが割れた家もあり、こんなヒョウは初めてだ」と話している。