15年前の1990年(平成2年)6月24日、小林三喜男氏は、津南町長に初当選した。当時56歳。以来、4期在職中。来年7月8日、その4期の任期満了をむかえる。1年後に迫った改選。「今年は自律元年」と市町村合併の流れのなか、自律宣言をした小林町長(71)。具体的な動き、言葉はないが、周辺の声を聞いた。
4年前の3期在職中の6月定例議会。4期目への出馬を聞く一般質問があった。今年の6月定例議会では、来年の改選に関する質問は、まったくなかった。議員のひとりは、「まだ早いし、微妙な時期だ。自律元年というが、自律の方向性が見えてこない」という。ただ一方、来年の改選に向け、取り沙汰される名前が聞こえる。
支援組織、小林後援会はどうか。「昨年の新潟中越地震で、予定していた後援会総会は延期のままで、その後、集まりは開いていない」と山本三雄後援会長。死去した幹事長の後任人事もまだで、昨年来、後援会は休止状態にある。
「1年後ではあるが、私の所には『もうやめるべきだ』という声は届いていない。逆に、自律元年のなか、しっかりした土台を作る責務がある。特に、国や県への働きかけがより重要になり、これから大変な時期をむかえるだけに、トップの責務は重要だ」と、続投を示唆する山本会長。一方で、「本人の意思が一番。何も話しを聞いていない。考えていると思う」という。
3年前の前回、新人2人が立ち、「争点なき選挙戦」といわれた。来年の改選は、やはり「津南の自律」が争点のひとつになるだろう。市町村合併で新・十日町市が誕生。隣接地の津南町との人口差は歴然。独自の取り組みが求められ、国や県との直接折衝は、トップの力量にかかっている。
町議のひとりは話す。「自律の道筋が、明確でありそうで、具体論では不明確だ。財政的に大変な時期を向かえ、この難局をどう開いていくか、トップの力による部分が大きい」と言う。
15年前の初当選時、小林町長は「地方の反乱」という言葉をよく使った。当選後の本紙インタビューに答えている。「これからの時代、人マネでは進歩がなく、多くの人による議論を積み重ね、その中から『津南のにおい』、『津南の味』がする独自性を生み出していきたい。そのためにも、『町長、オレはこう思う、こうしたどうだ』という声が必要。町がやること、進めることに疑問を持ったら、どんどん町を突き上げてほしい」。
現場を重視する小林町長。15年前の津南町、そして自律の道を選択した今の津南町。1年後に改選が迫り、その検証が求められる。