県立十日町病院(275床)は中越地震で被災後、改築を求める動きが具体化し、移転先候補地に関心が集まる。一方で県は今年度、県立病院の「改革計画」に着手。今春3月末、県立病院改革検討会議がまとめた報告書では、県内15県立病院の累積赤字を「抜本改革」するため、高度医療体制の充実と合わせ県立病院の再編・縮小、「公設民営」など大幅改革に取り組む方針。県は「魚沼エリアをモデル地域として取り組む」方針で、広域基幹病院、地域中核病院の配置、整備を進める。そこで課題は十日町病院の今後。田口直人・十日町市長は、「県は公設民営など、抜本改革を進める方針。地域医療整備をどう進めるか、県の改革プランと連動する必要があり、医師会や県議など関係者との話し合い、地元の合意形成を進めたい」と対応を話している。
魚沼地域の県立病院の再編整備は、平山県政時代の県方針から始まる。「県内どの地域でも30分以内に高度救命救急医療が受けられる医療体制」を実現目標にした。その結果、魚沼エリアは県と協議を進め、「魚野川沿い(南魚沼エリア)に高度救急医療ができる広域基幹病院。信濃川沿い(十日町エリア)に2次医療を含む地域中核病院」とする方針を出した。
この広域基幹病院は、関越高速道・六日町インター付近への設置構想が出され、小出病、六日町の2県立病院との関係が焦点になっている。一方、信濃川エリアでは、十日町病院の地域中核病院化を構想。その最中、中越地震発生で十日町病院が被災。早期の移転改築を求め、地元自治体で取り組みが始まった。その移転候補地に、六日町ー上越地域高規格道路・十日町インター(小黒沢地域)周辺が浮上。地元医師会、自治体長が合意したという。ただ一方で市内下島地区への誘致運動も起こっている。
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県は昨年7月、「県立病院改革検討会議」(議長・下条文武・新大医歯学総合病院長、委員9人)を設置。経営改善策や今後の方向性などを協議。3月28日報告した。(新潟県HP掲載)
この中で改革は「規模縮小、機能変更など一時的な痛みや負担を伴うが、このままでは県立病院事業の継続経営が難しくなる現状を説明し、改革後の姿を分かりやすく説明することが大切」と方向性。改革方法として「再編・統合」「民間へ運営委託」、「地方独立行政法人へ移行」を上げている。
地元県議・上村憲司副議長は、「地域医療が全うできる医療は、十日町地域内の完結型ではなく互換性を持ち連携した医療体制が求められる。魚沼エリアの県立4病院(十日町、六日町、小出、松代)、さらに構想する基幹病院、これら全体の中でどう地域医療を担っていくべきか、それを踏まえ十日町病院の形づくりが始まる。そのためにも情報公開による議論が必要」と取り組みを示唆している。
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震災による改築、県病院改革のモデル地区としての整備。魚沼エリアの取り組みがポイントになる。田口市長は、「県は、魚野川沿いと信濃川沿いで整備する病院は連携し、ある程度の完結型医療機関をめざし、十日町病院は2次医療を含む中核病院と位置づけている。県は公設民営を視野に入れているようだが、地元の合意形成と共に、どんな医療体制を作り上げ、安心ネットを作り上げるかが重要だ」と話している。
県が進める改革モデルに乗ると、改築整備が速まるのも事実。県立の維持を求め、改築整備を求めるのか、県方針の改革モデルに乗り、「公設民営化」を模索し、早期改築で地域中核病院を実現するのか、地元地域の合意形成が求められる。