「やったー」「ばんざーい」。午後11時過ぎ、田口当確の一報が入ると、開票を見守っていた十日町市高田町の選挙事務所は割れんばかりの歓声に包まれ、集まった60人余りの支持者が抱き合って田口氏の当選を祝った。
田口氏は「実感が沸かない」と当選に驚きながら、「みなさんがこの地域をよくしよう、公平な町にしようと自分のことのように選挙を頑張ってくれたおお陰だ」と支持者に深々と頭を下げた。その上で「対話の政治、信頼の政治を掲げて闘って来た。当選できたのは『新市はやっぱり新しい形で進んでもらいたい』という有権者の気持ちの表れが票に結びついたのだと思う」と勝因を語った。
また「周辺の首長として過疎化、衰退の一途をたどる周辺部をどうするか、本気に心配して訴えて来た。周辺をよくすることは全体をよくすることだ。新しい十日町のために、力一杯働きます」と述べ、割れんばかりの歓声のなかバンザイ三唱、駆け付けた小林津南町長の発声で乾杯した。
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田口氏は午後10時、家族らとともに早々と同事務所に到着、支持者とともに開票の行方を見守った。事務所には当初から支持を表明していた上村憲司、村松二郎両県議も顔を揃えた。第1回目の開票速報で他候補が1千票台のなか「田口7025票」と発表されると「よし、いけるぞ」と活気づいた。しかしその30分後、旧十日町市の開票が進み「田口1万1091票、滝沢信一1万0030票、残票6968票」と滝沢氏の追い上げが知らされると、「逆転されそうだ」「ちょっと厳しいか」と暗いムードに。そして午後11時過ぎ、だれともなく「やったぞ、当選だ」と大声が上がると、会場は「タグチ、タグチ」と大コール、喜びを爆発させた。
田口市長会見
新市長に当選し、新・十日町市の初代市長となった田口直人市長は2日午前、市役所で記者会見し、「住民との対話を重視し、できる限り自ら現場に出向き、住民との信頼感を得る生きた市政を進めたい」と、『田口市制』の方針を述べた。
注目の3役人事は、「まったく白紙だが、6月定例議会に上程したい。私自身、行政経験はなく、助役、収入役のどちらかは経験者から就いてもらいたいと考える。教育行政は大事で、公募的なものを視野に入れ、考えたい」と、教育長の公募を考えている。
住民対話では、「毎月2回、第2、第4土曜の午前中、市長室を開放し、市長と対話の日として、住民対話を進めたい。支所にも積極的に出向き、地元要望に基づき、夜の移動市役所なども考えたい」など、住民対話を全面に出した市政運営の方針を述べた。