県教委が津南高に18年4月開校を予定している中高一貫校(中等教育学校)は、方針通りの設置が濃厚だ。一方で津南高は、一貫校開校と同時に募集停止になる公算で、地元地域に不安が広がっている。特に、そのはざま年代の現在の小学6年、中学1、2年は、中等教育学校にも行けず、すべて津南町外の高校に行かざるをえない状況となる。津南町教委では、通学費用などへの対応に乗り出す一方、県へも対応策を求めている。「地域教育の向上と進路選択の多様性」をねらいに導入する中高一貫校。だが一方で、その移行期の3年間、進路選択が限られる子たちが出るなど、一貫校設置の「功罪」が出ている。
中学、高校を6年間一貫して教育する中高一貫校。津南高では当初、高校はそのまま存続する併設型で進めてきたが、「一貫校の教育効果を高める」ために、独立タイプの中等教育学校を設置する方針に変更。昨年9月、県教委は「18年度、津南高に中等教育学校を設置」する方針を表明。来週開かれる県議会総務文教委員会で県教委方針が示され、今月中にまとまる「高校中長期再編計画(3ヵ年計画)」に明示される方針だ。
中等教育学校は、これまでに村上、柏崎に開校し、今春4月から燕に開校する。燕は、地元高校事情から、「燕高は3年間募集継続」の方針。地元に私立高校しかなく、公立高校へは遠隔通学となり、3年間の暫定措置で募集継続する。
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一方、十日町4市町村エリアの来春の中学卒業生は674人。津南高が募集停止になった場合、3学級120人の定員が減少。その場合、郡市3高校(十日町、十日町総合、川西)の総定員は640人(16学級)で、40人余り不足する。県教委は、中等教育学校の設置に合わせ、その年度、郡市内の高校に1学級40人の定員増を行う方針。これにより津南高募集停止による不足定員数が確保されることになる。
ここで関心が集まるのは、どこの高校の定員を増やすか。関係者によると、「一般的に見て、津南から通える範囲内」と見られ、当初いわれた川西高の定員増とはならない状況。定員増は2年間行い、十日町と十日町総合の両校の定員を増やす方針と見られる。
地元選出県議の上村憲司副議長は、「方針通り18年度開校となるだろう。移行期の3年間、中等教育学校にも行けず、すべて町外の高校へ行かざるをえない状況は、考えなくてはならない。燕は地元の特殊事情があり、3年間継続募集する。途中入学を認めると、教育カリキュラムなどの問題も出て、さらに難しい面が出てくる。対応を考えなくてはならない」と困惑気味だ。
地域の父母からは、「その時期に当たったのは運が悪かったでは済まされない。教育の機会均等というが、まったく逆」や「津南の伝統スポーツがどうなるのか。一貫校でバラバラになるのではないか」など、中等教育学校設置に対する不安、困惑が出ている。
津南町教育委員会の根津紘教育長は、「中高一貫校設置の場合、津南高の募集停止は避けられない状況。それだけに設置が決まった場合、早急な説明会など、的確な進路指導が必要になる」と、県教委などに働きかける方針だ。