国の廃止方針に伴い、津南町が購入を決めているグリーンピア津南。町は経営を民間委託するため全国にプロポーザル(企画提案)公募し、2次審査を経て3事業者に絞り、25日、優先交渉順を発表した。交渉順1位は、東京で医療、福祉施設を運営する医療法人財団「光善会」グループ。企画案では、同財団と関係深く、ジャスダック上場企業で自社特許の発光ダイオード機器製造「光波」相談役を中心とした現地法人を設立し、ホテル業務などにあたる。従来のグリーンピア津南の経営形態は継続する一方、新たに医療・福祉分野を取り入れ、現ホテルの一部を福祉的要素として活用し、3年後をメドに敷地内に老人保健施設、ケアハウス、特養ホームなどを建設、開設する方針。同グループは、「総合的な保健・医療・福祉ビジョン実現のために、グリーンピア津南は理想のカンバス」と、経営理念の方向性を示している。津南町は、「町が求めている方向性と合致しており、有力な交渉相手」と、同グループへの委託が濃厚だ。今後、計画書の精査を行い、3月中には基本合意を締結したい方針だ。
同グループの経営企画案では、現在のグリーンピア津南の事業は、現地法人「株式会社津南高原開発」(仮称)を設立して継続経営。これに医療法人財団・光善会の事業を加える。「特定民間施設」(厚生労働省認定施設)を現在のホテル棟の一部を改修し、滞在型の福祉施設として活用する。さらに3年後を目途に、同敷地内に介護老人保健施設、ケアハウス、特別養護老人ホームなどを建設、開所する方針。これに伴う雇用多数が見込まれ、ホテル事業部門と合わせ、将来的には3百人の雇用体制となる見込みという。
同グループは、ホテルなどリゾート業務の実績がなく、今回、札幌や長野のホテル、リゾート施設を再建させた実績を持つ人材を招き、ホテル経営全般を担当する方針。現地法人の新会社は、同グループ代表の久保氏が5千万円出資で設立し、さらに地元などから5千万円募集し、資本金1億円でスタートする計画。現在の従業員は、国の廃止で一旦は解雇されるが、希望に沿う形で対応する方針だ。
経営委託の有力な交渉相手が決まったことについて、津南町の小林三喜男町長は、「町が求めている方向性と合致している。当初から熱心で、その熱意に期待したい。広大な敷地を活用する事業展開の可能性も持っており、高齢化社会に対応し、保健・医療・福祉の方向性は、期待できる事業展開であり、津南病院との連携も期待できる」としている。
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町が全国公募したプロポーザルには、昨年9月の現地説明会に14社が参加。一次審査で6社に絞り、二次で3社となった。施設は賃貸契約し、その賃貸料は「今の固定資産税(約8千万円)と同程度を期待したい」としている。同グループに決まると、4月には現地法人を設立、10月開業をめざし、当面の契約期間は10年。なお、国からの譲渡価格は、来月には参考価格が示される見通しだ。264億円が投入された具ルーンピア津南。小林町長は26日来町した年金資金運用基金の野末理事に、「身の丈にあった数字にしていただきたい」と要望している。当初「5億円以下」としていたが、さらに減額される見込みの感触を得ている。
医療法人財団「光善会」=平成16年2月10日設立。設立代表者・久保善治(副理事長、株式会社光波相談役)、岡部富士子理事長、資産2億1千万円。「クリニックこはるび」(葛飾区青戸)、介護老人保健施設「青戸こはるびの里」、短期入所生活介護事業所「こはるび」など運営。
津南高原開発株式会社(仮称、4〜6月設立)=設立時資本金5千万円(久保善治氏全額出資)、開業時資本金1億円(5千万円は地元企業などから募集)。主な取締役予定者は久保善治法人設立代表者、医療法人財団光善会常務理事、株式会社オプシード津南相談役、設計会社主管、リゾートホテル役員(前ホテル総支配人)など。来月に法人設立準備室を光波津南研修所に設置。ホテル・レジャー施設経営コンサルタントと顧問契約を結ぶ。