「励ましの絵手紙、ありがとう。ようやく前に進むことができそうです」。真っ赤なポインセチアを描いた絵手紙に、思いが短く添えてある。十日町市の小林さんからの絵手紙。
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『絵手紙のむら、栄村』。絵手紙世界展や全国絵手紙展などを開き、人口2600人余の村は、「絵手紙のむら」で全国に知られる。
先月23日の新潟中越地震。栄村絵手紙・芽吹きの会、滝沢英夫会長(67)は、「私たちに、何かできないか」と、仲間たちと相談。「震災地は、とても絵手紙どころではないだろうが、絵手紙を通じて知り合った人たちが困っている。励ましになれば」と今月4日、世界展、全国展など、これまでの絵手紙展に来村してくれた名簿から、被災地の人たち約300人に、メンバーで手分けして、「励まし絵手紙」を送った。長岡市、川口町、小千谷市、魚沼市、十日町市、川西町、中里村。滝沢代表が、「皆様、力を合わせて頑張ってください」と、大小しめじが寄り添っている励まし絵手紙を描いた。「この混乱のなか、届くのだろうか」、芽吹きの会メンバーは、ちょっと不安だった。
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「元気が出る絵手紙ありがとう」。一週間後、真っ赤に色づいた柿の葉の絵手紙が、メンバーのひとり、福島さかえさん(60)のもとに届いた。旧堀之内の人から。「家には何とか住んでおります。またまだM3〜4の揺れが続いております。フワフワした不安な毎日です」。
その1週間後の今月23日、栄村の森駅前の福島さん方に、本人がひょっこり顔を見せた。「絵手紙の企画展には、時々来てくれたんですが、まさかこの時期、来てくれるとは」とびっくりの福島さん。堀之内の森山さんは、「ちょっと、息抜きに来てみたんだよ」と、自家製の大根と白菜を持ってきてくれた。
久々の再開。「どうしようか」、「温泉に行こうか」。2人で中条温泉・トマトの国に行き、ゆったり語り合った。「きっと、大変な状態にあるのでしょうが、そんなこと全然、感じさせませんでした。でも…」。福島さんは、被災地の苦労を思わずにはいられなかった。
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100通を上回る絵手紙の返事が返ってきている。赤い獅子唐を束ねた脇に、「私達、魚沼人、みんな手と心を繋ぎ合って頑張りますー」(魚沼市、山本さん)、真っ赤な大きなリンゴに、「いまだ余震が続いています。自衛隊のヘリコプターが活躍しています」(長岡市、江口さん)、「皆でスクラム組んで、元気だし、仲良く、カッコよく、頑張ります。早く平和な地球になりますように」(十日町市、池田さん)、などなど。
「励ましの絵手紙が、逆に私たちが励まされた感じです。こうして、人と人がつながっていること、嬉しいですね」と滝沢会長。芽吹きの会のメンバーは、何度も何度も、届いた絵手紙を読み返している。