この畑は、7月上旬頃から「しあわせ色」の黄色一色に染まる。切花栽培に取り組み23年。毎日畑に通い、花たちと向き合う。「出荷するまでは自分の評価ですが、一端、出荷したら検査員の評価です。自分がいいと思っても、それは通じません」。栽培の花たちと語り合う時間に比例するように、市場評価が安定する。津南の花ブランド「雪美人」の箱が高品質の証しだ。
標高差を活用した花栽培。6月中旬から「アルケミラモーリス」を一ヵ月余、7月初めから「ソリダゴ」を11月くらいまで出荷。畑のわきには「ヒメヒマワリ」も作る。「これは出荷しない。咲いたら十日町の花屋が取りにくる」。いずれも黄色。「うちはみんな黄色だ」。
昨年、金婚式を迎えたパートナーの淳子さんとの二人三脚の花作り。「家内はこの春、50年間の無事故無違反で表彰を受けた。これまでよく頑張ってくれている。今年は膝が悪くなってしまった」とねぎらう。「家の借金も昨年終わり、もう年だし、そろそろと思っていたら、この地震だ。家を直すのに、また借金だ」。壁が落ち、2階と3階の間が少し開いた。被害判定は一部損壊。家の修復は、まだ手をつけていない。
地元の18戸で「清友会」と作り、1年おきに旅行に行っている。昨年は津南出身者がわさび栽培する静岡の天城湯ヶ島へ。「今は子どもたちは行かなくなったが、小さい頃は70、80人の大所帯だったな」。この親睦会も50年以上続いている。
孫5人、ひ孫7人。「内孫はまだだが、集まると賑やかなもんだ」。昨年夏、「親においていかれたんだ」という茶トラ猫のミーが、家族になった。「家内の布団の上で寝ているよ」。