学友や前の会社の人から「いい所へ行くね。あの芸術祭をやっている所だよね」と4年前に津南移住を決めた時、何人からも言われた。2000年第1回芸術祭から「越後妻有」は知っていたが、その地が妻の出身地であることは、3年後の第2回で一致した。「以前から子育ては自然の中でと考えていました」。その地が妻の出身地、津南に決まるには時間がかからなかった。
千葉大工学部で工業デザインを専攻し、広告代理店に就職。15年余り在職。広告媒体の全般にかかわり、映像関係も担当。「そうですね、やはり仕事のことが一番心配でした」。津南に移住し1年半後、前会社の同世代4人で広告制作「株式会社4CYCLE」(フォーサイクル)を設立。本社は東京・表参道。「ここは新潟支社ですね」。実績あるメンバーだけに仕事は広範囲。新潟支社では県振興局や新潟市、湯沢など業務拡大している。フォーサイクル。「種を育て、花が咲き、実がなり、再び種になる。そういうサイクルに関われたら」との思い。地域づくりグループ「Wa」のメンバーで活動に関わる。
2年前、「田んぼをやりたいと言ったら、親戚の人が田んぼを貸してくれました。3eですが家族で田植えや稲刈りをしています」。最初の年は3俵、天候不順の昨年は1・5俵だった。「素足で田んぼに入る感覚は、なんともいいですね」。デザイン企画の刺激にもなっているようだ。
小学1年で津南移住した長女と今1年の次女の娘たち。「東京には帰りたくないと言っています」。来年の第5回芸術祭。盛上げ隊のメンバーだ。「数ある里山の中で、世界が注目していることは奇跡的なこと。地域の人たちの関わりをもっと広げたいですね」。