朝5時には家を出て、給食の準備に入る。町立津南病院栄養科で入院患者などの朝昼夕の3食をスタッフ6人と共に作る。「素材は同じですが、油を使わない、軟らかめなど、種類が多いです」など、入院患者の症状やカロリーコントロールなど、栄養士が立てた献立を、食べる人の身になって調理している。年中無休の業務だけに、スタッフ6人の体調管理が大切になっている。
高校卒業時、2つの進路を考えた。家業に関係する美容師、もう一つが料理人への道。「男は着付けができないことが分かり、料理人へ進みました」。東京の調理士専門学校へ行き、卒業後の初職場は、湯沢のニューオータニ。厳しい総料理長に仕込まれた。「関西人の人だったので、関西弁が分からなかったのが、大変でした。『ほかしておけ』など、最初分かりませんでした」。
ほかすは、捨てるの意。聞き返すと罵声が飛ぶ。「最初、関西弁を覚えることが大変でした」。
専門は和食。湯沢のホテルなどで経験を積み、「自分のお店を考えた時期もありましたが、初期投資がかかりすぎます」と津南病院の調理担当になり8年目。日曜は休めず、平日は休日の場合が多い。そのため好きなゴルフも休日。前の職場の仲間などで月3、4回行く。リフレッシュになるゴルフだが、「なかなかうまくいかず。ストレスをためて帰ってきますね」。
昨年7月、13年間、家族同然だったチワワの「ナナ」が心臓疾患で亡くなった。「あの悲しみは、もう二度としたくない、という思いです」。居間に可愛い写真が置いてある。ここ数週間、休みなしの勤務が続いた。「ゆっくり休みたいですね」。