静まり返った本堂わきの30b余りある廊下。「いけないんですが、小さい頃、子どもたちは走り回りましたね」。高い天井、広い部屋、多い部屋数、これから大変な季節をむかえる。「12月に入ると、すぐに始めなくてはならないんですが…。掃除は、これで良いということがありません」。暮れの大掃除。小学2年、4年の息子たちも、大事な働き手。「床みがき、窓ふき、なんでもやらせます。結構やってくれますね」。
中学、高校の同級生の夫・和貴さん。津南町船山の船秀山・大龍院の副住職。神奈川・鶴見の総持寺で修行後、東京・駒込の吉祥寺で2年間つとめ、津南へ。
「まさか自分がお寺さんに嫁ぐとは、でした。檀家のみなさんの名前が、なかなか覚えられません」。年間、決った行事があり、その段取りやまかないなど、「お母さんに教えてもらっています。覚えなければならないことがたくさんあります」。先月、2人で町文化センターで開いた青葉古流花展を見てきた。「素晴らしいですね。ぜひ私も今度、習いたいと思います」。
兄は歯科医師。村山歯科医院は、姉が手伝う。「ちょっと影響を受けました」と、歯科衛生士になり、千葉で勤務している頃、同級生だった和貴さんと知り合う。「子どもたちの歯には気をつけていますが、先日も虫歯で兄の所に行ってきました」。
毎朝6時と夕暮れ6時に境内の鐘楼を住職が打つ。「留守の時は、私が時々打つのですが、近所の人には分かるようです」。12月31日、大晦日の除夜の鐘。「近所の皆さんが来て、打ちます。どなたでも打つことができます」。静寂の中庭に建つ鐘楼堂、参拝者が打つ神聖な音が響く。そんな光景まで、もうすぐ。