…雪国に移住し22年目。生まれは川崎市だが転勤族の父と共に静岡、大阪など各地を転々と過ごし、京都市立芸術大学に進み、小学生の頃から興味があった染織を専攻に学んだ。
「近所のおばあちゃんが染織りをしていて、母はいつも毛糸の織り機を持っていました。遊びながら覚え、本格的に学ぼうと進路を選びました」
…卒業後、大阪でのアルバイト時代に西宮市生まれの英利さんと出会い、結婚。2人で染織家をめざし、基礎技術を学ぼうと十日町テクノスクールに入校するため平成元年に同市に移住。
「大学で学んだのは芸術的で商品にならない織り。まず基本の毛の量や太さなど、基礎の基礎を学べる地を探したらここだったんです」。…在学中に津南町自然に親しむ会メンバーと知り合い、秋山郷散策など誘われ、夫婦で参加した。
「たまたま前の席に座っていたのが津南の方。自然に話すようになり、友人が増え、2年後に津南に引っ越しました。縁って、本当に不思議ですね」
…10年前から、年賀状用に版画を彫る。題材はどんど焼、雪堀りの様子など、どこか懐かしい津南情景。10周年記念展を北越銀行津南支店ギャラリーで開催中。「年賀状用なのでまとめて見ることはなく、自分を見直すいい機会になっています。次にやるとしたらまた10年後、ですね」
…津南ワラ工芸部に加入したのも10年前。紅一点で、一番の若手。ベテランの話を聞き、手の動きを目で覚え、図入りでまとめた記録ノートは10冊を超える。「やはり覚えるには見る、聞く、作るが大切。師匠たちを見ていると物に対する愛着を強く感じます。雪国の職人技を受継いでいきたいですね」