…山梨・甲府市出身。高校3年の1年間、アメリカ西海岸・ワシントン州のアルマイラ高校に留学。たった一人の日本人だった。
「両親が早くに亡くなり、社会に出て行く上に必要なスキルとして英語を選んだんです。貴重な経験でしたね。ジャズと出会ったのもこの頃。切なさ、どこか心にひっかかる悲しさがあるジャズが好きなんです。州の音楽コンテストにも歌い手で出場したりしました」。
…大学卒業後は造船会社勤務。シンガポール、香港など東南アジアが主な取引先。24歳で津南出身の悦男さんと結婚。ただ仕事は午前様が当たり前の日々だった。「あまりにも疲れ、長女の小学進学を機に6年前、15年間勤めた会社を辞め津南へ来ました。忙しいのが当然だったせいか今でもじっとしているのが苦手です」…その長女も先月、小学校を卒業した。「小さい学校の、温かい雰囲気が良かったですね。東京で毎日塾に通う生活より、四季が豊かな地で子どもが人間らしい生活を送るのはすばらしいこと。津南に来たのは間違いじゃなかった、と心から思います」
…13年余前からプロが主催するジャズ教室に入門。現在も月1回通う。持ち歌は70曲余。エラ・フィッツジェラルドを敬愛する。
「ジャズは元々黒人の音楽。切なさ、悲哀があり、歌うと私のなかの感情が溢れてきます」。2日は地元での初ライブ。「築2百年の古民家を改築した、日本的な空間でのライブは新鮮。『ジャズって何』という方も多いでしょうけど、場の雰囲気や感情で演奏が変わるのがジャズ。2度と同じ演奏はできません。素晴らしい一瞬を、来た人全員と楽しみたいな」。