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2008年10月の妻有に生きる


過去の妻有に生きる
津端保さん 52歳 津南町外丸本村
「カメラを手にすると、どうしても侘しい情景に目がいくんです。これは性格なんでしょうね。そんな情景を残せるから写真が好きなんでしょうね」
 …津南町の写真愛好家を中心にしたグループ「フォトつなん」に入会して丸3年。主に風景や植物など自然を撮り続けている。
 「仲間の写真から刺激を受けます。指導に来てくれるプロの先生もいますから、本当に勉強になります」
 

 …今年の十日町市展で市展賞を受賞。
 「長野県豊野での仕事を終えて帰る途中、夕立ちにあい、その時、畑の所に虹が出たんです。ただ夢中でした。遠くから鳥が飛んで来るのが見え、『虹が消えてしまう、早く来い』と心の中で叫んでいました。笑い話のようですが」
 …昨年から県展や市展に応募するようになり、今春、県展初入選。栄村・野々海で撮影したもので、残雪とミズバショウが印象的な静謐(ひつ)な写真だ。今、撮りためているのはホタル。
 「5、6年前からホタルに熱中しています。あの幻想的な光がいいですね。時期が来ると町内に3、4ヵ所ほどいっぱい発生する場所がありますが、一つだけ気に入っている所があって、そこで毎年、撮っています。天候の具合もあるので、だいたい4、5日が勝負といったところでしょうか」


  …カメラは、リバーサルフィルムを使った一眼レフと中判カメラ。
 「デジカメも持ってみたけど、使い慣れているからやはりフィルムがいい」
 …これからも自然を撮り続ける。
 「自然は文句もいわず、じっと撮らせてくれるから。人間だと、そうはいきませんね。感じたものを写していく、そうした楽しさが写真にあります」
(2008.10.24)

涌井慶子さん 42歳 津南町正面
ブナ林に浮かぶツリーハウスをライトアップ。独特の雰囲 気を醸しだす。町内十二ノ木で先日行われた第1回ツリーハウスコンサートでボーカルデビュー。
 「まさか自分が人前で歌うとは思わず、緊張でがちがちでした。あとで自分の唄を聴いたら凄く震えてた。歌って自分の心が表現されちゃう、と実感。凄い世界に踏み入れちゃった」
  

 今年3月の誕生日を機にギターを購入し独学。6月に地元バンド「Flosky」の練習見学が転機に。
 「私の父は42歳で亡くなり、自分がその歳になった時、父よりも生きられるなら新しい趣味に挑戦しようとネットでギターを買った。そんな時、『一緒にやろう』と誘われたんです」
 『ボーカルがいないから歌って』と言われ、いつの間にかバンド『ペーパームーン』ボーカル担当。
 「今回初めてステージに上がり、歌う人がどんな感性を持っているか、ぼんやり感じるようになりました。ギターも基礎から教えてもらっています。いつか、家族の誕生日にハッピィバースディを弾きたい」。
 

 渋谷の美容師学校を卒業。同級生が倉俣出身で、津南の男性と結婚。その式で夫・正範さんと出会った。
 「二次会で隣同士でした。当時旦那は東京に住んでいて、職場に『結婚式の写真ができた』と電話があったのがきっかけ。突然でびっくりしたのを覚えてます」
 津南雪まつりではダンスグループ『チョベリバーズ』で出演。会場を盛り上げる。
 「家族の協力もあっていろいろやらせてもらっています。ダンスもバンドも、いい仲間に巡り会えた津南の人に感謝です」
(2008.10.17)

鈴木浩孝さん 35歳 工房妻有
 …ザク、ザク、ザクと彫る。ノミを使ったり、彫刻刀で細かな作業をしたりと、製作に取り組んでからは神経を休めるひまはない。
 「二十歳ちょっと過ぎからこの道に入ったので、もう15年余り。なかなかうまくいかないけど、黙々と取り組むことができる、こうした仕事が好きだ」
 …大工の見習いからの転職。幼少からの病気もあり、父親の勧めでもあった。
 「いま彫っているのはフクロウのキーホルダー。器ものも結構、作った。自分の手で作ったものが売れるということは、本当にうれしいこと」
 

 …ザク、ザク。時々、うまく彫れているかじっと見つめる。小さな木片が、新たな形となって、生まれ変わる瞬間だ。
 「毎日、朝来た時にスケッチの練習をしているけど、なかなか上手くならなくて。でも何回も何回も練習して描くしかない」
 …ひと口に彫刻刀といっても、机には7種類ほど置く。ノミも同じほどある。うまく使い分けながら、思い通りの形に仕上げる。製品は県内のみやげ物店が主。
 「これからは、自分でデザインし、自分ならではのオリジナルな製品にも取り組みたい。そうしてくれ、とも言われている」


  …仲間の先輩からは「製作はゆっくりだが、まじめで一所懸命に取り組んでいる」と信頼も厚い。「うれしいです。これからはネコを題材にしたものでも、なんて思ったりしていますが、周りのアドバイスを参考に、考えていきたいです」
 …ザク、ザクと木を彫る音。自分だけの世界。
 「彫っている時は、何も考えていません。ただ、失敗するとガクッときます。いつもすばらしいものを作っていきたい」
(2008.10.10)

篠原美可子さん 20歳 津南町外丸本村
「週3日はカラオケに行ってるかな。基本的にはヒップホップですね。でも、専門学校などに通っている同級生などに会うと、『若いな』と感じちゃう。遊びに行こう、と言われても『明日は仕事だしなあ』なんてね」
 …地元に仕事があれば、地元に残りたいと思っていた。東京など都会に出ようという気は全くと言っていいほどなかったという。
 「我が家はといえば、ユニホッケー大好き一家で、私も小中と県大会や全国大会など行った思い出があります。最近はご無沙汰ですが、機会があったらまたスティックを持ってみようかな」


  …今年、成人式に出席。地区の青年団にも参加している。
 「祭りの神輿にも参加したし、津南まつりに合わせ、地区でビアガーデンも出しました。楽しくやってます。ただ、名前が一緒の同級生が最近、結婚してちょっとショック」
 …ちょっとした目標も。
 「そうですねえ、字がうまくなるようボールペン字を習おうかなと。それに漢字検定にも挑戦してみたい。ケイタイやパソコンで漢字を書かなくなっているから」
 …最近、自宅に子ネコがやってきた。
 「弟がもらってきたんですが、もう私が世話係でママ役をしています。もうかわいくて。家に帰る楽しみになっています」


  …小説はよく読む。最も好きな作家は、「血塗られた神話」で第7回メフィスト賞を受賞した新堂冬樹。
 「気持ちが悪いことから美しいことまで、うーん、感動しますよ。大好きです」
 …最近、近所の女性から「飲みに行こう」と誘われる。
 「周りのおばさん、いやお姉さん方は元気です。私も負けずにしっかり仕事をして、しっかり遊びたい」
(2008.10.04)


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