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2008年05月の妻有に生きる


過去の妻有に生きる
高橋愛子さん 67歳 津南町見玉
「小さな小屋みたいな店を開いたばかりの時、十日町で商売をしているというお客さんから『とにかく10年頑張らっしゃい。10年すれば商売も分ってくるし、お客さんの顔も見えてくるから』と言われたんです。まだほとんどお客もいないような時。その言葉が胸に染みました」。きもの産業が低迷期にさしかかり、それまで内職していた出で機ばたなどの仕事がな くなった時、見玉不動尊からの勧めもあって始めたのが土産物屋だった。「始めたばかりの頃は、お客さんも来なく、周りの人が忙しそうに田植えなどしていると、恥ずかしくて店の陰に隠れていたこともありました」
 

 それから23年余。たまたま姉の近所に嫁いだこともあり、隣りには姉が同じみやげの店を開店している。「姉妹だから気兼ねしなくていいし、時々、一緒に温泉に行ったりしています」。お客さんは、バブル期が弾けてから年々減少傾向だが、迎える気持ちは開店当初から変わらない。
 

 「中年が多いせいでしょうか。お茶を差し上げると、本当に喜んでくれます。ひとりしかいないので、忙しい時に孫の世話をしていたら、子守をしてくれたお客さんもいたということもありました」
店には、夫が好きで集めた民具も展示。お客さんの目を楽しませている。「懐かしい時代がここにあります。都会から来た人が驚いたり懐かしがったり。お客さんの笑顔が励みになります。『津南に行ってよかった』と言われるよう、気持ちよく対応していきたいです」。春の新緑から季節は夏へ。苗場登山などのシーズンを迎える。「雄大な自然、来て下さい」
(2008.05.30)

富井善一さん 57歳 十日町市
指先にちょっと力を込める。すくっと立ち上がる土。無心になる時。「夢中でやるから2時間、3時間はあっという間。土も釉薬も自分で探して作っている。みんな地元産。もう面白くて仕方ない」
 

 青年期から焼物づくりに興味があった。が、実現することなく時間が過ぎた。「飲み屋で焼物をやっている地元のおじいちゃんから『陶芸教室があるからやってみないか』と誘われ、もう我慢の限界で即始めたんだ。それが今から7年前のこと。以来、熱が冷めたことはないよ」。清津峡焼の陶芸家・高野秋規さんに学び、会社勤めを終えた2年前には妻有焼の陶芸家・吉田明さんに弟子入り同然で指導を受けた。
 

 土は市内の山間地から集める。ふるいに掛けて粉状にし、ある作業を行って粘土にする。釉薬も川西や松代で探した長石を使う。ろくろは3年前に、LPガス窯と乾燥機も昨年購入した。今現在の自信作は料理など入れる器「三 島手」。ハンコで模様を入れる「印花」などにも取り組む。「焼物には自分の心が表れるね。完成を待つ楽しさ、出来た作品を使ったり飾ったりする楽しさ、楽しみがいくつもある。もう『生涯の友』だな」
(2008.05.23)

風巻美穂さん 20歳 津南町大割野
「毎日が勉強です。家には両親はじめ、おじいちゃん、おばあちゃんもいるので、いずれは介護福祉士の資格を取って、いろんなところで役に立っていきたいです」毎日、30人余りのディサービス利用者がやってくる。戸惑う毎日だったが、少しずつ慣れてきた。「先輩から教えてもらいながら利用者と接しています。入浴介助も初めて体験しました。まだまだ初心者といった感じですが、早く一人前になりたいです」


  緊張して失敗したことも。「先日は、お茶を出そうとしてこぼしちゃったんです。幸い、利用者にかからずによかったですが、ちょっとしたことでも気をつけなくっちゃと思いました」。来月からは恵福園の特養老人ホームが仕事場となる。「いろんな介護の場を体験して、研鑽を積んでいかなければと思います。職場のみなさんに迷惑を掛けることもあると思いますが」
 

 津南小では音楽サークル、津南中はテニスだったが、十日町高時代は再び吹奏楽部に。いずれも担当はパーカッションだった。「高校を卒業してから取り組んでないので、もううまく叩けないかも。何かチャンスがあれば、またドラムなどに挑戦してみたいです。職場でもイベントとかに生かせれば、と思います」
 
(2008.05.16)

荒井清一郎さん 53歳 魚沼酪農協議会長
「酪農家にとって産業リストラの危機といっていい状況なんだ。安心、安全な牛乳の生産のため、乳価`30円アップに理解をお願いしたい」津南で酪農に取り組んで16年。中魚沼酪農協議会(13戸、うち津南8戸)の会長として、牛乳の「正当な価格転嫁の実現」を呼びかける。「飼料の価格は2年前に比べ2倍近くになったが、生産価格はわずか3%アップのみ。もう赤字経営で所得税を払うほどの酪農家はいないよ」
 

 世界的な穀物や原油価格の高騰で、配合飼料などが 高騰、今、酪農家にかつてない厳しい経営状況が続いている。「牛乳は、なかなか値段が上がらずに『物価の優等生』などと言われいるが、もう止めてくれ、といいたい。限界だよ」。千葉などで酪農家有志が立ち上がった「安全安心な国産牛乳を生産する会」に呼応、来月15日に県内の酪農家(3百戸)で組織する県酪農政治連盟が開く「危機突破酪農家大会」に向け、活動を活発化している。
 

 「何事も組織で動いている業界だけに、有志の会への協力も惜しまないが、まず県での組織運動に力を入れたい」。生産者の厳しさも知らず、「モー」と健康な牛が牛舎に並ぶ。経営の悪化は粗悪な飼料への転換など、経営環境悪化につ ながらないとも限らない。
「牛乳は、とくに子どもたちの成長に大切な食品となっている。輸入の乳製品は、日本では使用禁止の魚粉や成長ホルモンなど使って飼われた牛から作れらている。安心、安全な牛乳を維持していくという使命を果たしていくには、健全経営の継続が必要なんです」
(2008.05.09)

高橋孝一さん 41歳 津南町見玉
「今年の青年大会、津南チームは全国出場をめざしますよ」8月に予定される県青年大会野球種目。昨年、中里チームが全国大会出場したのに刺激を受け、今年、津南チームが全国をめざす。そのコーチ。「すでにオール津南のメンバーも決め、この冬から練習に入っている。過去3回ほど全国出場の経験がある津南だが、大会参加は3年ぶり。コーチとしてがんばりたい」
 

 一球に込めた思い。ナインの意欲は高まっている。「私自身も24歳の時に全国出場し、4位に入った。その再現を今度はコーチの立場で味わいたい」自らも現役選手として楽しんでいる。「同世代の仲間で作っているのがビクトリーズ。町のナイターリーグに参加しているんだ。そこでは選手兼監督をやっている。60歳までは現役でやろうと言い合っている。楽しいですよ」
 

 その楽しさを子どもたちにも、と町内の少年野球、中津川イーグルスのコーチも努める。「試合に勝つことが第一でなく、精神的に強い選手に育ってほしい。試合に負けるのも勉強だ。勝ち負けは中学、高校でこだわればいい。小学校時代は先ずは楽しく、だ」大リーグや国内で活躍するプロ選手たち。その選手らを見て感じていることがある。「実に個性的なんだ。もちろん、基本はしっかりしている。子どもたちにも、画一的なことばかり要求するのではなく、もっと個性を引き出し、伸ばしてもいいのかもしれないと思っている」
(2008.05.02)


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